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過剰なまでの「介入」の果てに。

今の政権になってから、経産省がやたら元気よくあちこちに首を突っ込んでくるようになったこともあって、一部の政府機関(特に目立つのは総務省と公取委だろうか・・・)が競い合うように存在感のアピールに走るようになったし、官邸は官邸で時々人気取りの「口先介入」をすることもあって、本来であれば「民」の領域を担う事業者の責任において決めなければいけない事業モデルの根幹にまで「公」が介入するケースが目立つ。

昨今やたらあちこちで話題になるコンビニエンスストアのフランチャイズモデルに関する問題などはまさにその典型だし、もう一つ例を挙げるなら、昨年の「官製値下げ」発言以降、完全に政治的なイシューになってしまっている携帯電話料金・契約の問題もこの例に含まれる、ということになるだろう。

確かに消費者の目線で見れば、今の携帯電話各社の契約(約款)に、分かりにくく自由度が低い部分があることは間違いないのだが、それはあくまで事業者・消費者間の問題として、消費者庁に委ねるなり、司法的解決に委ねるなりすればよい話で、そこでわざわざ総理官邸サイドから「値下げ」のプレッシャーをかけるのは明らかなお門違いだろう、という怒りのエントリーを上げたのは昨年の夏のことだった*1

しかし、料金体系の変更等で自主的に対応しようとする事業者の努力もむなしく、介入はより深度化し、18日付の夕刊には、とうとうこんな記事まで掲載される事態になってしまった。

「総務省は18日、携帯電話料金に関する有識者会議を開き、今秋からの新ルール案をまとめた。2年契約を途中で解約する際の違約金の上限を1000円通信契約とセットの端末値引きを2万円までとする。利用者が携帯会社を乗り換えやすくし、通信と端末それぞれで価格競争を促す。」(日本経済新聞2019年6月18日付夕刊・第1面)

携帯電話通信市場が寡占化している日本の場合、「競争政策」の名の下での介入が正当化されやすいし、かつて携帯大手3社に対して起こされた消費者訴訟でも明らかになったように、どの会社も約款に基づく契約条件として似たようなルールを導入しており、こと「契約条件のレベル」では事業者間の競争があまり機能していなかったことが、より「公」が介入しやすい状況を作ってしまったのは事実だろう。

だが、携帯電話が普及し始めた時代からかれこれ20年以上契約している者からすれば、現在の「2年縛り」のルールにしても、「セット値引き」にしても、合理的な理由はあると思っていて、特に後者は、端末のイニシャルコストを負担する資力がなかった人間(新入社員の頃の自分)にとっては本当にありがたかった。

上記記事にあるようなルールの見直しに踏み込むとなれば、当然、月々の料金にも、端末の初期導入時のコストにも影響が出ることになるだろうが、携帯電話サービスの性質(長期間同じ事業者との契約を継続することによる有形無形のメリットは多い)を考えると、これらの見直しによって直ちに競争促進効果が発揮されるとは到底思えず、結局は、制度見直しによって積まれたコスト分を消費者が負担することになるだけではないか、という気もするところである。

既に述べた通り、約款を用いたBtoCビジネスの場合、契約条件はどうしても”横並び”になりがちだし、サービスが成熟すればするほど、「品質」面で差を付けるのもどうしても難しくなる。したがって、ここまでの介入を招くことになってしまったことについて事業者側にも教訓とすべきところは多々あると思うのだけれど、統制経済下の国家ではないのだから、介入する側にも「民間事業者のサービスへの根幹への介入は例外中の例外」という大原則だけは踏み外してほしくないな、と思うところである。

*1:「携帯電話料金4割下げ余地」発言に思うこと。 - 企業法務戦士の雑感

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