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子どもが失敗を恐れる原因は親の対応にあり?!チャレンジ力を育む正しい子育てとは

2020年度の大学入試改革を象徴とする教育改革を控える日本では、この年を契機に「賢さ」の中身が大きく変わります。
これからの子どもたちには、親世代が経験してきたような、記憶力や知識をもとに「正解」を早く見つけ出したり、テストの点数を競ったりすることだけではなく、いろいろな人を納得させられる答えを自分で導き出す思考力が問われます。

WHO(世界保健機関)が各国の学校の教育課程への導入を提案している「ライフスキル」という考え方があります。ライフスキルは「人生で起こるさまざまな問題や要求に対して、建設的かつ効果的に対処するために必要な能力」とされ、学力テストでは測れない「非認知能力」になります。
「ライフスキル」は、生まれ持った資質や才能ではなく、日々の接し方の中で身につけられる後天的なスキルであること、その身につけ方をまとめた「自分で決められる賢い子供 究極の育て方」(サカイク著)の内容から、先の見えない「不確実な時代」を生きる子どもたちが身につけておくべきスキルについてお伝えします。

■失敗やミス=いけないこと ではないと大人が認識しよう

「できなかったことができるようになる」というのは勉強でもスポーツでも大事なことです。「チャレンジが大切だ」と聞いて反論する大人は少ないでしょう。それなのに、現実には学校でも家でも、自分から何かに積極的にチャレンジする子どもは少数派のようです。スポーツの現場でも「失敗したくないからイヤ」という子や、やる前から「どうすればいいですか」と正解を欲しがる子も増えているという声を聞きます。

本来は好奇心旺盛なはずの子どもたちが、チャレンジすることをためらってしまう理由の1つには、「失敗したらどうしよう」という不安があります。
周囲の大人たちが子どもの失敗を過剰に恐れ、先回りして失敗しそうな原因を取り除いてしまうことで、かえって不安が増幅し「失敗したくない」「ミスをしたらどうしよう」という気持ちが強くなり、それがチャレンジを妨げてしまうのです。大人たちが子どものチャレンジ精神をスポイルしてしまっているのです。親御さんの中には「わが子が失敗する姿を見ていられない」というかたもいるでしょう。

昨今の少子化も影響し「子育てに失敗したくない」という意識が強くなっていたり、「一度正規ルートを外れると戻れない」という印象の強い現代の日本社会への不安を抱えていたりすることで、親自身が子どもの失敗を過剰に恐れ、子どもがつまずきそうな要因を先回りして取り除きたくなるのも理解できます。

しかし、失敗やミスを「いけないこと」と捉えているうちは、子どもたちが思い切ってチャレンジできる環境を整えているとはいえません。親が先回りしてつまずきそうな要因を取り除いた道を歩んできた子は、大きな失敗や痛い思いをしてこなかったため、社会に出てから経験した失敗の痛みに耐えられず心が折れることも……
日常生活やスポーツの中で小さな失敗を繰り返すことで、失敗から立ち直る練習をするのもよいでしょう。子ども自身、本当に困ったときにはじめて気がつくこともあるのです。

■チャレンジし続ける姿勢がやり抜く力をつける

子どもが自ら進んでチャレンジをするかどうかに関わっているといわれているのが、自己肯定感と言われています。長所や短所はあっても、ありのままの自分を大切にできる気持ち、自分をまるごと肯定できる気持ちを指す自己肯定感は自信につながり、「よし、やってみよう」と挑戦できるのです。
勉強でもスポーツでも、この先壁にぶつかったとき、それを乗り越えるためには挑戦する力が必要になります。その時点での自分の知識や経験を生かし、周りと協力して乗り越える力は、成長するために必要なスキルです。チャレンジは必ずしもうまくいくとは限りません。それでも1つの失敗を引きずらずに挑戦し続ける姿勢は「やり抜く力(GRIT)」を生むのです。
ペンシルべニア大学のアンジェラ・ダックワース教授の研究によると、GRIT=やり抜く力 は、生まれ持った才能ではなく、失敗を恐れず挑戦し続けることで後天的に身につけられる力だとまとめられています。

■ネガティブワードが子どものチャレンジする「一歩」を奪っている

「チャレンジ精神も生まれ持った気質でしょう」と考える親御さんもいるかもしれませんが、先に述べたように子どもがチャレンジするかどうかで大事なのは「自己肯定感」です。自分をまるごと肯定できる気持ちが子どもの成長のポイントなのです。自己肯定感の高い子は、自信に満ちあふれていて何事にも積極的に取り組めます。

学校の勉強は予習をしっかりやれば自信を持って授業に臨めますが、社会では予習だけでは足りないケースや不測の事態が起きることも。ましてやこれからの「絶対的な正解」がない時代においては、「間違えても、また挑戦すればいいや」というマインドを持っているほうが、さまざまなチャレンジを経て自信をつけ、新たな課題に挑む意欲を生み、結果として成長につながるのです。


成長を阻む親の言動として以下のようなものがあります。
「何やってんだ」
「どうしてできないの?」
「あーあ」
みなさんもテストの返却やスポーツの現場でつい声に出して言ってしまっていませんか。ため息交じりのネガティブなリアクションは、子どもたちからチャレンジする力を奪っている可能性があります。結果だけを評価された子どもは、次第に臆病になり、「失敗して怒られるくらいなら」と、チャレンジすることをやめてしまいます。ミスに目を向けるよりも、その過程にあるチャレンジを評価してあげれば、子どもは「がんばった自分」を認められたことで心が満たされます。

きょうだいやほかの誰かとの比較は子どものチャレンジ精神をスポイルするので、あくまでその子自身のチャレンジや成長を認めてあげましょう。そうすることで、子どもは「次は○○にチャレンジしてみようかな」という気持ちになるのです。

教育改革、学習指導要綱 文部科学省
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/koudai/detail/1397733.htm
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/index.htm

ライフスキル教育
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/002/003/010/009.htm

やり抜く力 ——人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける(ダイヤモンド社) より

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