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いずれはそれも当たり前に

箱根老舗旅館でたった1人の入社式-初めての新卒採用を実施/神奈川(小田原箱根経済新聞)
 箱根芦之湯温泉に1662年に創業した「鶴鳴館 松坂屋本店」(箱根町芦之湯、TEL 0460-83-6511)で今年、初めての新卒採用が行われた。
 
 慢性的な人手不足が続いていた同館。人員確保のために派遣社員を入れるなどして乗り切って来たが、どんなに優秀な派遣社員でも必ず期限がある。新人が派遣されると、その度に教育する必要があり時間も労力も大変だった。
 
 同館の若旦那である松坂滋彦さんは「ホテルや旅館で働きたい」と考えている新卒者を採用することでこの問題を解決することにした。昨年9月、遅いと分かりながらも大学やホテル学科のある専門学校を回り採用活動を始めた。
 何というか、わかりきったことではあるのですけれど、こういうニュースを目にすると悲しくなっちゃいますね、現役の非正規雇用としては。本文で伝えられているように箱根のある旅館では派遣社員を取っ替え引っ替えしながら人員確保していたところを、新卒採用に切り替えたそうです。そんなことをしなくても元からいる派遣社員を直接雇用すれば業務に切れ目もなく円滑に進みそうなものですが、それは雇用側のプライドが許さなかったのでしょう。キヤノン本体だったかグループ会社だったかは忘れましたが、正社員の採用セミナーに「派遣社員等で現在キヤノンに勤務中の方の参加はご遠慮下さい」などと臆面もなく掲げていた企業もありました。手垢の付いた派遣社員を正社員として登用するよりも新たに外部から、可能なら初々しい新卒者を新たに取ってくる方が、どこでも好まれるものなのかも知れません。非正規雇用の扱いってのは、そういうものです。
ホテル滞在中に中国人ツアー手配か…河野容疑者(読売新聞)
 群馬県藤岡市の関越自動車道で7人が死亡したツアーバス事故で、自動車運転過失致死傷容疑で逮捕された千葉市中央区新宿、運転手河野化山容疑者(43)が、休息のため石川県内のホテルに滞在中、中国人向けツアーの手配をしていたことが3日、バス運行会社の関係者らの話で分かった。
 
 群馬県警は、河野容疑者がツアー手配のため十分な休息を取らなかった可能性もあるとみて、詳しく調べる。
バス事故、運転手は日雇いか…1回ごとに報酬(読売新聞)
 群馬県藤岡市の関越自動車道で7人が死亡したツアーバス事故で、バスを運行していた陸援隊の針生裕美秀社長が、国土交通省関東運輸局の特別監査に対し、河野化山容疑者(43)=自動車運転過失致死傷容疑で逮捕=について「人手が足りない時、都合がつけば運転を頼んでいた。1回ごとに報酬を払っていた」などと答えていたことが分かった。  同省は、道路運送法上禁じられた日雇いにあたる可能性があるとみて調べている。
 
 道路運送法に基づき定められた「旅客自動車運送事業運輸規則」では、運転手の教育や健康管理が不十分になり、安全確保ができなくなる恐れがあることから、運転手の日雇いや、2か月以内の期間を決めての雇用を禁止している。

 さて、例のツアーバス事故の続報です。別の報道によればドライバーは中国残留孤児の子だとも伝えられています。言うまでもなく中国残留孤児と言ったら元々は日本人だったはずの人々なのですが、近年の中国残留孤児とその親族に対する日本側の冷淡な扱い、時には露骨に差別的な態度を取る人々を見るに、まぁ酷いものだなと思うことしきりです。それはさておき、前日までは休暇だったはずの河野運転手、調べによると中国人向けツアーの手配をしていたとのことで休息が十分でなかった疑いが持ち上がっています。まぁ休息が十分でも深夜の長距離運転は危ないですし、そもそも道路側の安全管理や緩すぎる規制にも問題があったのではないかと色々ツッコミどころはありますけれど(参考、あんな格安料金では安全対策にコストはかけられないだろうなと)、自身のコンディション管理という面では運転手側の落ち度と言えるのかも知れません。

 例えば従業員に副業を禁止している会社も少なくないわけです。副業のせいで、本業に支障が出たら困りますからね。そういった点では、夜間運行の前日に副業のため忙しくて休養が不十分みたいなことはあってはならない事態と言えるでしょう。しかるに、ここで伝えられるように「日雇い」であった場合はどうなのか、常勤フルタイムであれば副業禁止規定が合理的であるとしても、今回の運転手の場合はあくまでも「日雇い」です。日雇いでしかない人間の副業にまで雇用側が干渉するとしたら、いくらなんでも横暴というものです。副業に走らないように従業員の行動を管理したいのなら、それは継続的な雇用の上でないと筋が通りません。本業単独で十分に生活できるような報酬を出しているのならいざ知らず、副業も併せてようやく生活が成り立つような状況を放置しておきながらでは、副業禁止なんてあり得ない話です。

 道路運送法では、運転手の教育や健康管理が不十分になり安全確保ができなくなる恐れがあるとの理由から、運転手の日雇いや2か月以内の期間を決めての雇用を禁止しているそうです。この辺も、今回の事故がなければいずれ規制緩和で自由化される、好きなように非正規雇用で済まされるようになっていたのではないかと思われるところです。いや、今回の事故があってさえ、記憶が風化した頃にはいずれ規制緩和されるものなのかも知れません。単に雇用側の言い分を受け売りしているだけなのに、さも経済のことが分かった風な顔をしている人も多いですし、ひたすら雇用側に便宜を図ることを以て経済政策と、この国では信じられているようですから。製造業などへの労働者派遣が解禁されたように、いずれは運転手の日雇い派遣だって当たり前になる、その危険性と規制の必要性を説く声があらば「運転手の雇用を奪う」などと称して囂々たる反対が巻き起こる、10年後にそういう時代が到来していたとしても何ら不思議ではありませんね。

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