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老後2000万円不足問題

 金融審議会の報告書をめぐって、国会の争点になり、マスコミも連日報道して大騒ぎである。

 麻生大臣は「政府の考え方と異なり、誤解を招く内容だから受け取らない」と言って、これも炎上。諮問しながら受け取らないとはかつてないことで、有識者が積み上げた議論の結果を、本来は政策に生かすべきだ。納得できなければそれを国民に正確に説明すればよい。

 総務省の家計調査の平均値から、機械的に不足額を割り出したに過ぎない数字を平気で明示したことは全く無責任の極みだ。高齢者の生活は、現役時代の貯蓄や子供の同居の有無、収入に応じた節約など、老後の生活スタイルによって大きく異なってくる。

 多様な生活状況や資産規模などを踏まえない説明で、公的年金への不安を助長する事は許せないことで金融庁の猛省を促したい。

 政府の提唱する「100年安心」は、年金制度の持続性についての言及で、個人の生活を年金だけで賄う事を保障したものではない。定年後の収入が現役時代より減ることは当然で、だから引退後の生活は公的年金を基本にしながら、資産の活用で賄われる。そもそも、国は年金で全ての支出を賄うことなど想定していない。

 辻元委員長などが「制度の長期的安心」と「個人の生活保障」を混同し、「安心安全詐欺」と口汚くののしっている。意識的かどうかはわからないが品位に欠けることはなはだしい。

 かつて年金未納問題で騒がれたことがあった。45%が未納なら国民年金は破綻したも同然と一部マスコミも書いたが、国民年金の上に、厚生年金、共済年金があり、これらに未納はあり得ないから、全体で計算すれば未納はわずか5%に過ぎなかった。

 少子高齢化で年金の給付水準抑制など今後の課題は多いが、老齢世帯の柱であることは変わりがない。

 支給開始年齢を遅らせ、毎年受給額を増やす制度もある。2009年から若者の負担を減らすため、高齢者に支払われる半分は税金から支払うことになっている。年金の将来の負担に備えるための膨大な「年金積立金」も在る。現状はまさに100年安心の制度持続は可能だが、今後を考えると、まさに与野党の建設的議論が必要な時で、そろって立ち向かい対処すべきだと私は思っている。

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