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退院した患者に冷たい日本のリハビリ環境

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復帰の仕方は一人ひとり違う

――仕事復帰のタイミングは退院後になるのでしょうか。

理想は退院直後ではなく、リハビリしながら徐々に仕事復帰、だと思います。

夫もそうですが、退院後もずっと後遺症は残るわけで、「病院でのリハビリ終了=仕事復帰」というわけにはいきません。かといって、心身がどういう状態にまで回復したら復帰できるのかの線引きも難しい。夫の場合は、倒れてから約9カ月後に、一人で仕事に行けるようになりました。

となると、結局はそれぞれの状況や症状に合わせた復帰の仕方を組み立てていくしかないのですが、夫は片麻痺でもなんとかできたし、まして同じ病室にいた夫より若い患者さんたちが十分できるのは見ていてわかりました。彼らなら退院直後でもたぶん、仕事はできたと思うんです。

夫、轟夕起夫さんの仕事は映画評論家。取材や試写で出掛ける際、片手でも開け締めできるリュックが見つからなかったことから、三澤さん自らがデザインと試作を重ね、オリジナルバッグ「TOKYO BACKTOTE」を完成させた。それに伴い、ブランド「WA3B(ワブ)」も立ち上げる。
「TOKYO BACKTOTE」ペットボトルや折り畳み傘は、背に手を回しただけで取り出せる仕様だ(画像=三澤慶子)

リハビリの一環で職業訓練もできるといい

能力も働く意志もある人が仕事に復帰できなかった場合、退院後、その負担が家庭にもやってきてしまいます。ただでさえ後遺症でつらいのに、やりたい仕事もできない本人を見るのは、家族としても非常につらいことでしょう。

三澤慶子『夫が脳で倒れたら 』(太田出版)

そういった意味でも、病院でのリハビリ期間中から緩やかに仕事復帰していくのがベストではないかと思いますが、身の回りのことができるようになるまでを支援してくれる「回復期リハビリテーション」病院から仕事復帰までの支援が手薄なのが現状です。

「回復期リハビリテーション」で支援してもらえるのは、基本的には“家庭復帰”までです。それでも仕事復帰支援をどこでも受けられない現状では、現役世代にとっては結局、回復期リハビリテーションが仕事復帰の訓練施設にならざるを得ません。

たとえば、厚生労働省とタッグを組んでもらうようなかたちで、回復期リハビリテーションでの支援をもっと充実させて、職業訓練的なことまでできればいいのにと思います。

この問題については、いろんな人に考えてもらいたいので、夫も私もなるべく、体験したことをどんどん話していきたいんです。患者本人や家族が語らないと、どんな支援が必要かなんてわからないですもんね。一緒に住んでいる私だって、いまだに夫の後遺症についてわからないことだらけですから。

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三澤慶子(みさわ・けいこ)
ライター
北海道生まれ。SSコミュニケーションズ(現 KADOKAWA)にてエンタテインメント誌や金融情報誌などの雑誌編集に携わった後、映像製作会社を経てフリーランスに。手がけた脚本に映画『ココニイルコト』『夜のピクニック』『天国はまだ遠く』など。半身に麻痺を負った夫・轟夕起夫の仕事復帰の際、片手で出し入れできるビジネスリュックが見つけられなかったことから、片手仕様リュック「TOKYO BACKTOTE」を発案、2018年にブランドWA3Bを立ち上げる。

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(ライター 三澤 慶子 聞き手・構成=小泉なつみ)

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