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- 2019年06月18日 08:22
“AI”導入を成功させたいなら、“AI”で解決しようとするな
1/22019年3月27日、レッジは「AI TALK NIGHT vol.7」を日本マイクロソフト株式会社と共催しました。
日本マイクロソフト テクノロジーアーキテクト 鈴木 敦史氏、Surfaceビジネス本部 プロダクトマーケティングマネージャー 森下 諒氏、レッジ CMO 中村 健太らによって、
・AIを導入するにあたって必要なこと
先駆者がつまずいたところ
を焦点にディスカッションが展開された。
スピーカー
鈴木 敦史
日本マイクロソフト株式会社 テクノロジーセンター テクノロジーアーキテクト / 上智大学理工学部 非常勤講師
森下 諒
日本マイクロソフト株式会社 Surface ビジネス本部 プロダクトマーケティングマネージャー
中村 健太
株式会社レッジ CMO
モデレーター
橋本 和樹
株式会社レッジ 代表取締役社長
デバイスの進化が、AIの進化を加速する
イベント最初のテーマは、「AI×デバイスのビジネス活用と社会実装」。AIの社会実装や発展には、“デバイス”の存在が欠かせないというのが、登壇者3人の共通認識だという。
――森下
「AIが社会に浸透し、人々の生活に真の意味で寄り添ったといえるのは、極論言えばユーザーがインターフェースを意識しなくなったときなんです。
たとえば ”からあげを食べたいな”と思ったら次の瞬間には頭に埋め込まれたチップが近くのコンビニを教えてくれる、とかですね。もちろん、現時点でそんな世界を実現するのは技術的にも難しいですし、倫理的な問題も解決できていません。
とはいえ、いまできる範囲で可能な限りユーザーにインターフェースを意識させないよう努力する必要はあります。
そこで重要になるのが、従来のマウスやキーボードといったクラシックな入力方法に縛られない最先端のデバイスです」
話題を呼んでいるHoloLensも直感的な入力ができるデバイスの1つだ。HoloLensは、まさに理想のインターフェースを作りたいという想いから誕生したと森下氏はいう。
Microsoft HoloLens
HoloLensとは、マイクロソフトが開発した Windows 10 を搭載した世界初の自己完結型ホログラフィックコンピューターです。HoloLens を頭に装着することで、現実世界の中にあたかもそこに存在するかのように、仮想オブジェクトであるホログラムを 3D で目の前に表示することができ、手のジェスチャーや音声コマンドによって操作できます。
――森下
「HoloLens が開発されたのは、HoloLens の生みの親であるアレックス・キップマンが、『2D のディスプレイにとらわれない世界を実現したい』と思ったことがきっかけでした。
現実空間そのものをキャンバスにして、我々が普段ごく自然に物理的なモノを扱うように、デジタル情報を3D で見て、掴んで、操作できることが理想の UI であると考えられます」
――鈴木
「入力を音声としたデバイスはいくつか製品として出ていますが、その裏にはデバイスの進化があります。
言葉を認識するAIの精度がいくら向上しても、言葉をデジタルデータにするデバイスが進化しなければ、AIの活用は難しいでしょう」
AI導入の現場でも、インターフェースを考えることは非常に重要だと中村は話す。
――中村
「AI導入を進めるうえで、インターフェース周りで問題にぶち当たることが非常に多いです。
たとえば、部品の種類の名前がAIでわかったからといって、それだけが役に立つ企業はほとんどないんです。重要なのは、部品を判別した段階で人間にどのタイミングで見せるのか、何を発想させて、どんな行動を起こさせたいのかです。
どう情報を受け取るのか、情報をどう人間にわたすのかなどは、事前に考えないと後々つまずきます」