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「たかが1戦」ではない未検査飼料問題が落とす影

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G1ウィークではなかったのが唯一の救い、だが、そういう”閑散期”こそ勝負時、と週末を楽しみにしていた者にとっては、実にショッキングなニュースだった。

「中央競馬の競走馬に与えられる飼料添加物「グリーンカル」から禁止薬物のテオブロミンが検出され、開催中の東京、阪神、函館3場で2日間に計156頭が一括で競走除外とされた問題は、現在の競馬の薬物検査システムの信頼性に深刻な影を落としたと言える。」(日本経済新聞2019年6月16日付朝刊・第29面、強調筆者、以下同じ。)

実際にレースが行われてから薬物検査で失格、ということにでもなれば、混乱は余計に大きくなっただろうから、事前に「一括で競走除外」にした、というJRAの判断を「英断」と評価する声は多い。

だが、土曜日の朝起きて、初っ端のレースから「競争除外」の表示とともに塗りつぶされた複数の馬柱を見た時のショックは大きかったし*1、1つのレースのためにローテーションを組んで調整してきた調教師や、貴重な乗り鞍を失った騎手*2、そして、自分が持っている馬を応援するために、遠方まで駆けつける手配をしていた馬主等、より密接な関係者にとっては「一度の週末」の話として片づけるには、あまりに大きすぎる話だったように思う。

「今回の件は、15、16両日の出走馬が確定済みの14日午後、添加物の発売元の日本農産工業から、販売先の各厩舎に、薬物が検出されたため回収したいとの申し出があって表面化した。競走馬の口に入る飼料やサプリメントは、検査済みでないと販売できない。検査は、「ロット」と呼ばれる単位で、製造のたびに競走馬理化学研究所での検査に付されるが、今回は昨年暮れから今年5月にかけて製造された製品が、未検査のまま4つの卸業者経由で流通。業者側は4月になって、今回のロットの検査を依頼した。卸業者も検査済みかを確認していなかった。」(同上)

ことの顛末は上記でまとめられているとおりだが、問題となった「グリーンカル」は、JRAの売店で販売され、「(公)競走馬理化学研究所の検査を実施しており、
競馬法に指定される禁止薬物の陰性を確認しております。」という表示まできちんと打たれているいわばお墨付き商品*3

Webサイトで「三菱商事のグループ企業」であることを高らかに謳っている発売元の日本農産工業も当然ことの重大さは理解しているようで、15日付で早々にリリースを出しているが*4、購入した厩舎サイドに落ち度はないことは明白な事案だけに、今後は関係者に対する補償がどこまでなされるか、という点に焦点が移ってくることだろう*5

いわゆる「走り損」ではなく、レースに出す前の競走除外で、加えてJRAは今回の競走除外馬に優先出走権まで与える整理にしたようだから、「来週以降のレースで取り返せばよいではないか」というのが、おそらく正論なのだろう。

ただ、関係者が「これ」と決めていたレースに出せなかったことは、多かれ少なかれ、その馬の競走人生に影を落とす。

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