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【読書感想】フェイクウェブ

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フェイクウェブ (文春新書)

Kindle版もあります。


フェイクウェブ (文春新書)

内容(「BOOK」データベースより)

社会をより豊かにすると信じられてきたインターネット。ところが今や個人や企業を操り、その情報や資産を奪おうとする「フェイク」があふれている。ネットの闇に潜むサイバー攻撃者の手口を、セキュリティ対策企業の現役トップが徹底解説。誰もが被害者になりうる時代の必読書。

「うそはうそであると見抜ける人でないと(インターネットの掲示板を使うのは)難しい」と、当時『2ちゃんねる』の管理人だった、ひろゆき(西村博之)さんが言ってから、もう20年くらい経ってしまったんですね。

 「ウソを見抜く力」が磨かれるよりもずっと早く、インターネットは普及していって、世の中が便利になるのと同時に、人を陥れてお金儲けをしたり、政治的な意見を拡散したり、という事例も増えていきました。

 その一方で、SNSなどで、「知り合いだけのグループを作って、外部からの人間や情報を遮断する」という形で、自衛する人も増えた、とも言えます。

 僕は長年ネットに入り浸っているので、ありがちな不正請求にはそう簡単に引っかからないつもりではいるのですが、世の中には、そういう手口に慣れていない人というのも、少なからずいるのです。

 ネットでのそういう詐欺は、低コストで多くの人に対してアプローチできるし、法律ギリギリのところで「違法」にはならないことも多いのです。

 東京の中心部に僅かに残る料亭街。そこには今でも数軒の歴史ある置屋が立ち並び、東京では見かける機会の少ない芸者衆の姿を目にすることができる。その花柳界のベテラン芸者のもとに一通のお知らせが届いた。

 芸歴40年以上になるさくら(仮名)がスマートフォンに買い替えたのは、そのお知らせが届く2ヶ月前。ようやく操作にも馴れ、好きな本をいつでもインターネットの通販大手のアマゾンで買えるることに便利さを覚え始めたばかりだったという。アマゾンで購入したものの代金は、携帯電話会社が通信料と一括で請求してくれることになっているから、支払いの手間が掛からないことも気に入っていたと語る。そこに不思議なショートメッセージが届いた。

<料金の未払いがありますので、至急03・XXXX・XXXXまでお電話ください。アマゾン・ジャパン・カスタマーセンター>

 未払い料金? さくらは訝しがりながらも、スマートフォンの操作で何か間違いがあったのかと思い、ショートメッセージに書かれていた都内の電話番号に電話を掛けてみることにしたと、当時の様子を振り返る――。

「はい。アマゾン・ジャパン・カスタマーセンターです」

 いくつもコールしないうちに、事務的な男の声が返ってくる。

「弊社の有料コンテンツの利用代金が未払いになっておりますので、至急お支払いいただけますでしょうか」

「あの、コンテンツとはなんのことでしょう?」

「お客様がご利用になった、音楽配信サービスや占いサービスのことです」

「あの、請求書も何も届いてないのですが、なにかの間違いじゃ……」

「お客様が請求書は送らないで欲しいというご希望でしたので、そのようにしていたのですが」

「……。未払いはいくらでしょうか?」

「延滞料を含め、29万9600円です」

「えっ……」

 読んでいて、「それ、詐欺だから、騙されちゃだめ!」と僕は内心つぶやいていました。さくらさんの運命やいかに(この本では、その後の顛末も書かれています)。

 この手の不正・架空請求メールって、腐るほど来ますし、中には「3000万円もらってください!」なんていう伝統芸的な定型メールもあるのですが、まさか、こんなのに引っかかるやつはいないだろうに、と思うんですよ。

 ところが、最近、職場で聞いた話では、30代くらいの人でも、あやうく払ってしまいそうになった人がいたのです。

 その人は、アダルトサイトからの請求に、もしかしたら、自分の子どもが興味本位で購入してしまったのでは……と心配したそうです。

 こういう手口がなくならないのは、結局、引っかかる人がいるから、ということでもあるのでしょう。

 こういう古典的なものばかりではなく、ネットで稼ぐためのノウハウ(「手口」と言うべきか)は、日々進化しつづけているのです。

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