- 2019年06月15日 16:44
G20閣僚会合が軽井沢で開幕、焦点は海洋プラと水素エネ

環境とエネルギー転換を主なテーマとする「G20持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合(以下、軽井沢会合)」が15日から16日の会期で、始まった。議長国の日本からは原田義昭・環境相と世耕弘成・経産相が参加している。冒頭で世耕経産相はプラごみに関連してレジ袋有料化に触れ「東京オリ・パラに間に合う来年4月1日からの実施を目指す」と話した。また軽井沢会合に先駆けて14日から、企業や団体が技術を展示する「イノベーション展」が一般向けに開催されている。(サステナブル・ブランド ジャパン編集局=沖本啓一)
G20軽井沢会合は主要20カ国の環境担当大臣とエネルギー担当大臣や、国際機関などが参加する。各国のエネルギー、環境の両大臣が集まり閣僚会合を行うことは初めて。会合の冒頭、世耕経産相は「エネルギー転換の促進のため、イノベーションによって環境と成長の好循環を実現することの重要性、駆動力になるイノベーションの促進をテーマにする」と話した。
原田環境相は「環境対策は企業にとってコストではなく、競争力の源泉」と改めて確認。積極的なイノベーション加速に取り組む企業が資金調達をしやすくするため「ESG金融の拡大に向けた取り組みの促進、環境情報を利用した企業価値強化のための対話の基盤整備などの政策を検討する」と話した。
2日間の会期を通し、これらのテーマについて、G20一体の方針という合意を成果として得、29日から大阪で開催されるG20サミットに臨む構え。
有料レジ袋の義務化、早ければ来年4月
世耕経産相は海洋プラごみに関連し、先ごろ発表している有料レジ袋の義務化の法整備に関して言及した。「早ければ東京オリ・パラの開催に間に合う来年4月1日の実施を目指す」とし、実施にあたっては「レジ袋の素材、範囲を明確化、小規模店舗や中小企業への配慮をしながら早期に」と検討を急ぐ。
「イノベーション展」最新の技術を一般公開

軽井沢会合の会場付近では、14日から関連イベント「G20イノベーション展」が行われている。G20軽井沢会合に連動し、水素エネルギー、海洋プラスチックごみ対策、イノベーションが主要なテーマ。企業や団体、自治体などが90以上のブースを展開した。


水素エネルギーをテーマとしたブースではトヨタの水素自動車「MIRAI」のカットモデルや、北米同社ヘビーデューティートラックなどが展示された。福島研究フィールドの模型ブースでは、太陽光発電を利用して真水から水素エネルギーを抽出する過程をわかりやすく説明するなど、訪れた人たちが水素エネルギーへの理解を深める機会となった。水素エネはコストの壁がまだまだ高く立ちはだかる。あるブースの解説員は「時間はかかるが、行政が規制緩和に動き、コストも徐々に下がる。(水素社会の実現は)夢物語ではない」と楽観的な見通しを話した。


海洋プラごみ対策のブースが集まるフロアは、特に一般の見学者、報道陣が集まり、関心の高さがうかがえた。先日報道されたコカ・コーラとセブン&アイのボトルtoボトルに関するブースや、日本製紙の木質資源を利用し、密封可能な紙素材「シールドプラス」、LIMEX(ライメックス)の石灰石由来でアップサイクル、循環可能な素材を利用した製品など、最新事例が並んだ。



「G20イノベーション展」は軽井沢ショッピングプラザ駐車場で16日まで開催。一般公開されている。入場無料。