記事

当日指導と家庭訪問が生徒を追い詰めた 玄関先で話をした後に自殺 発端は二ヶ月前の指導から 鹿児島県奄美市

1/2

2015年11月4日、鹿児島県奄美市の市立中学校1年だった真守(享年13、仮名)が自宅のベランダで首をつった。その日、真守は学校で担任から指導を受けた。帰宅後も担任が家を訪ねてきた。玄関先で、二人で話した後の出来事だった。両親は、市に対し、調査委員会の設置を要望。18年12月、調査委は報告書を作成、発表した。「自殺した当日の指導と家庭訪問時の対応が不適切であり、真守を追い詰めたことは明らか」と、教員の指導が真守の自殺の要因とした。その後、遺族は、市教委は報告書をどう受け止めるか、などについて質問状を出した。

市教委がこのほど回答した報告書では、明確な判断材料はなかったものの、「経緯をいじめと判断したこと」の問題点が指摘されている。この点についての評価を質すと、市教委は、「重く受け止める」としながらも、真守をいじめた側とした点は、「当時の判断としては、瑕疵がなかった」と回答した。遺族は反発し、予定していた教育長との面会をキャンセルした。

放課後に担任が家庭訪問。生徒は泣きながら自室へ?その後、自殺

自殺当日、真守は17時40分頃、帰宅した。18時から弟と一緒にテレビを見ていると、生徒指導主任でもある、担任教諭が家庭訪問した。「お母さんいるの?」と聞かれたが、仕事から帰宅していないことから、「いません」と答えた。

祖母が顔を出すが、詳しい家庭訪問の理由は説明しなかった。その後、祖母は、真守が泣いていたのを見た。担任が帰ると、真守は自分の部屋がある上階に上がった。18時23分、祖母は心配し、母親・佐祐理(仮名)に〈早く帰ってきて 大変〉とLINEでメッセージを送った。担任と真守が話していたのは長くて20分だ。

佐祐理の帰宅後、家中を探した。なかなか見つからない。ようやく自室とは違う階数のベランダで見つける。そのベランダからは学校が見える。立っているように見えたため、「なんでそんなとこに立っているの?」と声をかけた。近づくと、自殺を図っていることがわかり、あわてて、心肺蘇生した。祖母は119番通報し、病院に搬送されたが、死亡した。

父親は単身赴任。翌日、遺体と対面。涙を流す 「寝ているようだった」

父親・利直(仮名)は別の島で単身赴任をしていた。親類から「大変なことが起きた。真守が自殺を図った」との電話があった。

「何を言っているんだろう、と思ったんです。その後、妻からも電話があり、『まもるが。まもるが。どうしよう、どうしよう』と言うだけ。別人のようでした。妻の声が耳について離れませんでした。その夜は虫の声が大きく聞こえ、一睡もできませんでした」

利直が真守と最後に会ったのは10月。次男の運動会の時だ。次は、11月初旬か、11月下旬に来ようと思ったが、次男のサッカーの試合がある下旬と決めた。しかし、真守と会えなかった。

「上旬にすればよかったと思いました。最後の会話は覚えていません。電話で話しているが、何を話していたのか。新しいスパイクを買うという話だったかな。妻を通じて、日曜日の試合で、PK(ペナルティキック)を止めた、という話は聞いていましたが」

ゴールキーパーだった真守が使っていたスパイクとグローブ

真守はサッカー部員。ポジションはゴールキーパー(GK)。「もともとは好きなポジションではなかったんですが、試合をこなすにつれて好きになり、『俺、GKやるわ』『3年間、GKで頑張る』と話していました」(佐祐理)というほど、サッカーが好きだった。自宅などでよくスパイクの手入れをしていた。

翌日、利直は真守と対面。涙を流した。

「寝ているようにしか見えなかった。なんで自殺したのか。真守が利用していた自宅のパソコンの検索履歴を調べたんです。自殺に関連するなにかがあるんじゃないか、と。でも、大好きな釣りとサッカーに関するものしかありませんでした。パソコンは、他の家族と過ごす居間に置いてある。一人になる時間も少なく、いつ誰が入ってくるかわかりません。検索もしていなかったんでしょう」

真守のゴールキーパー姿を写した写真

校長は口頭で「指導が影響した」と言うが、文書になし。詳細調査を要望

学校は基本調査もした。「子供が自殺したときの背景調査の指針」に沿ったものだ。調査によると、担任は家庭訪問時に、「嫌な思いをしている人もいるが、誰にでも失敗はあることなので、改善することができればいい。部活動も勉強もよく頑張っているので、これまでの自分を貫いていけばいい」などと言った。「祖母が立ち会った」と書いているが、指導の際には二人きりだった。

また、指導やその不満については触れているものの、ちょっとしたことで言った「死にたい」や、眠気覚ましでシャーペンを手に刺したものを「自傷行為」とあげているが、それらは自殺の前兆を示すものではないと利直は語る。

「これらをあげるということは、うちの子に問題があるようにしているのではないか。『死にたい』は、不満が溜まった状況で思わず吐き出した程度の発言と考えるのが自然であり、眠気覚ましでシャーペンを手にさす行為は、著名人の逸話に影響を受けてその真似事を眠気覚ましに行っていたと、真守は話していたことがありました。調査の説明に家に来た際、校長は口頭で『真守くんの書置きを見ると、今回(11月4日の指導)の件が関連している事が推測できますので、学校長として非常に申し訳ないという思いでいっぱいだし、残念であるという気持ちでいっぱい。』と言ったのですが、指導の影響については文面にはありませんでした」(利直)

そのため、より詳しい調査を市長に要望した。

あわせて読みたい

「指導死」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    石破氏「日韓の歴史を学ぶべき」

    石破茂

  2. 2

    中露側との連携に舵切った文政権

    赤池 まさあき

  3. 3

    米にも露呈した文大統領の異質性

    木走正水(きばしりまさみず)

  4. 4

    元オウム死刑囚の帰依心消えた夜

    篠田博之

  5. 5

    日米を敵に回し北朝鮮選んだ韓国

    AbemaTIMES

  6. 6

    「GSOMIA報道は感情的」に反論

    小林よしのり

  7. 7

    文大統領が韓国を滅ぼす可能性も

    自由人

  8. 8

    GSOMIA破棄 米では日本批判なし

    NEXT MEDIA "Japan In-depth"

  9. 9

    住職の煽り運転めぐる報道に指摘

    猪野 亨

  10. 10

    小室圭さん 2千万円の追加借金か

    女性自身

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。