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"転職で給料減った"は能力の問題ではない

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「安定期」向きの人が「成長期」の会社に入ると……

③安定期:わが社の儲かるビジネスモデルが確立し、計画的に仕組みと管理で組織を動かしていくようになります。伸びが落ちてくるので差別化・ブランディング、効率化を行うなどして、利益とビジネスモデルの寿命を保ちます。

④衰退・再展開期:市場の変化により、ビジネスモデルが終焉(しゅうえん)を迎える段階です。一部のリーダー企業はキャッシュを生み続けることができますが、それ以外の企業は、撤退するか、イノベーションにより新たな価値の創造を行うか、どちらかになります。

それぞれのフェーズで求められる資質は異なります。

「仕組み化しルールを決め、守らせる」という安定期に入っている会社に資質がフィットした人は、現在成長期で「売上が全てを癒す状態」、「勢いはあるけれども先々は安定的に読めず、ほころびが出ても何とか状況対応しながら支えていく状態」の会社は不安でストレスしか感じません。

つまり、安定期向きの人が成長期の会社に入ると、フラットな文化なのに階層をつくり、指揮命令系統で人員を動かそうとするなど、安定期の組織で成功したやり方を持ちこもうとして逆に浮いてしまい、居場所を失うのです。

フェーズをまたぐ経験をすれば高収入転職も

例えば、日系企業で外資系に買収された会社の、外資系企業が出す無理難題を論理的に納得させ折り合いをつけ、日系企業の体制を守る(ディフェンシブすると言います)役割を担い、成果を出したりした人は引く手あまたです。

松本利明『「いつでも転職できる」を武器にする』(KADOKAWA)

なぜなら、買収されたことで会社の地殻変動が起こり、組織が刷新され成長期に近い状態となるからです。この時期に手腕を発揮し、安定期を築き上げた人は希少価値が高い。「外資系企業に買われた後、日系企業側を正しくディフェンス出来る人材」と労働市場の中で「タグ」がつきます。

外資系企業の日本法人の経営陣でも外資系企業のトップダウンでくる無理難題(日系企業の視点から見るとですが)を、納得できる形で海外のより上位職の方に折り合いをつけられる人はごく限られています。

また別の例えで言うと、最初はある技術分野で、専門用語の世界で片言の英語でも折り合いをつけた経験があれば、その経験だけでも大きく評価されます。ディフェンスする機能がうまく果たせない企業は多いし、外資系企業に買収されるケースもゼロにはならないでしょう。対応出来る領域を広げていけば、より大きい企業でより高いポジションで迎えいれられるでしょう。

外資系企業の日本法人の社長だけではなく日系企業がどう海外子会社に方針を伝え、まとめていくかという、海外事業本部の責任者のポジションも見えてきます。

年収も2000万単位(それ以上の可能性もあり)。退職金も役員となると高くなります。

早期リタイヤも可能になるし、その知見を活かして出版する。大学等で客員教授の依頼があるかも知れません。数十名程度の会社からスタートしても、仕事の値札とマッチした会社を選んでいけばここまで登り詰めることも可能なのです。

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松本 利明(まつもと・としあき)
人事・戦略コンサルタント、HRストラテジー代表
日本人材マネジメント協会執行役員。外資系大手コンサルティング会社であるPwC、マーサー、アクセンチュアなどのプリンシパル(部長級)を経て現職。国内外の大企業から中堅企業まで600社以上の働き方と人事の改革に従事。『「稼げる男」と「稼げない男」の習慣』(明日香出版社)、『「ラクして速い」が一番すごい』(ダイヤモンド社)など著書多数。

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(人事・戦略コンサルタント、HRストラテジー代表 松本 利明 写真=iStock.com)

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