- 2019年06月11日 07:00
発売後6週で1500万本を突破 -『ファイア ワンデイ ブラック』に見るキリンの「ものづくり」
2/2先行優位性よりも「誇れる1本」を目指した
――『ファイア ワンデイ ブラック』は、プロモーションにマツコ・デラックスさんを採用しています。マツコさんはこのCMで、「美味しいだけじゃダメ」「美味しくって多くなくっちゃ」というセリフと共に、「なんで今までこれをやらなかったの、キリンは!」とも言っています。なぜ他社に遅れてのタイミングでのリリースになったのでしょう?

山中:実は、これまで当社でもペットボトルコーヒーは何度か出していたんです。もちろんペットボトルコーヒーの需要が増加したタイミングで、早急に商品を市場に出したい、という想いもありました。しかし、急いで自信のない商品を出したところで、お客様に受け入れてもらえないことには意味がありません。
そこで、まずはこれまでに出してきた商品の反省や、競合が追随して出した商品の売れ行きの状況などを踏まえつつ、商品開発にあたりました。そうして2017年の秋頃に「大容量」「常温でも美味しい」といったコンセプトが決定し、同年末から中身づくりに着手し、そこから約1年半でリリースするに至りました。


――コンセプトが決定してから、商品ができてリリースするまでには結構時間がかかったんですね。てっきり、取材前には「AIでちょちょいと商品開発したんじゃないか」なんて思ってしまっていたのですが……
山中:先程お伝えした味覚センサー「レオ」を使ったのは、約1000本の試作を重ねて、そこから「これならいけるぞ」と決めた1本に対してだけです。中身開発のほとんどは、人の手で行いました。
――1000本ですか……。そこまで試作品を作ってできた商品だったんですね
山中:開発には本当に苦労しました(笑)。
これはあくまで個人的な見解ではありますが、こうした商品開発の過程には、当社の「ものづくり」の精神が表れているように思います。
少し話は変わりますが、「キリン」と言えば『一番搾り』を筆頭に、「ビールの会社」というイメージを持っている方も多いと思います。私は担当ではないのでそこまで難しい話はできませんが、ビールを作るには温度や湿度など、非常に細かな環境条件が重要になってきます。
2016年にスタートした、『47都道府県の一番搾り』プロジェクトを覚えている方も多いかと思いますが、これは“その土地の風土で楽しめる味わいを表現したビールを発売する”というものでした。
当社では、そうしたプロジェクトにも見られるように、多くのお客様に喜んでもらえるような商品を、人の手で作ってきました。だからこそ、ものづくりへ強いこだわりを持っている社員も多いです。
ビールって、工業的なイメージがあるかもしれませんが、本当は、多くの人の手が関わっているんです。そしてそれはもちろん、『ファイア ワンデイ ブラック』にも。本当は、この商品の中身を作った担当にも、話を聞いて欲しいと思うくらい、本当に悩みながら作ったんですよ。

2016年に期間限定で発売したキリンビールの「47都道府県の一番搾り」。地域ごとに、「その土地の風土で楽しめる味わいはなにか」を表現した特別なビール。(現在は製造を終了しております)
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「『ファイア ワンデイ ブラック』の商品開発にはAIが利用されている」と聞き、てっきり「AIがスマートに開発した商品」なんじゃないかと思って話を聞いたところ、まだまだ商品開発には人の手が大きく関っているようでした。
そして、「ものづくり」へのこだわりを持って作った商品の良さを、AIが証明する。開発担当者にとっては、人の味覚という不確かなものだけでなく、AIが客観的なデータにして表すことで、1つの自信につながるそう。さらに、営業担当者にとってもそれは、お客様に良さを伝える際の良き説得材料になっているのだとか。
取材開始時に頂戴し、ちびだら飲みしていたコーヒーは、取材の帰り際、すっかり常温になってしまっても、美味しく飲めました。我々が何の気なしに飲んでいるほかのさまざまな飲料にも、開発者のいろんな想いがこもっているのでしょうね。

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