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解散権の濫用に警鐘を打ち鳴らす石破茂氏の議論は、実にオーソドックスで説得的

解散風が吹いたり止んだりしていることは、皆さん、ご承知のとおりである。

通常国会の会期延長はしないということが確定したようだから、そういう意味では解散風がぱったり止んだような感じだが、人が動けば風は起きるもの。

明日になれば堺市長選挙の結果が判明するのだから、週が明ければまた何らかの風が吹き出すものだと思っていた方がいいだろう。

その時々の風には惑わされず、それぞれにご自分の信じられる道を歩まれることだ。

そういう意味では、立憲民主党の枝野氏は立派なものである。

解散が100パーセントあるという前提ですべての動きをする、というのだから、紛れがなくていい。
参議院選挙の一人区での野党間の候補者一本化が既に終わったようだ。
選挙協力体制がどうなるのか、といった具体的なことは伝わって来ないが、それなりに選挙態勢は整ったということだろう。

内閣不信任案の提出は必ずある、ということでもある。

立憲民主党や共産党、その他の野党の方々からすると、現時点で安倍内閣を信任する理由はないということになるのだろうから、参議院選挙を目前にして内閣不信任案を出さない、という選択肢がないことは十分理解できる。

もっとも、内閣不信任案の提出をもって解散の大義が生まれるか、と言えば、そうはならない。

菅官房長官が多少ブラフを掛けたようだが、ここはアゴラに掲載されている石破氏の議論がオーソドックスで説得的である。

以下、引用
「何度か指摘しているように、本来の解散・総選挙について規定しているのはあくまで憲法第69条の「内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、または信任案を否決した時は10日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない」というのが原則で、第7条に列記されている天皇陛下の国事行為の中の一つである解散に「内閣の助言と承認」を必要とする、というのは、政治的な行為をなさらない天皇陛下による解散を行われるにあたっての形式要件を規定したものと解するのが自然でしょう。

国会閉会中でも衆議院解散は可能、とするのが政府の見解ですが、会期延長と解散が絡めて論じられるのは「国会開会中に衆議院が示した意思が内閣の意思と異なった場合、国民に判断を仰ぐ必要が生じる」からであるとされています。そうであるとすれば、衆議院において「衆議院の意思と内閣の意思が異なる」ことが明確にならなければなりませんが、与党が安定多数の議席を持っている場合、そのような事態は考えにくい、ということになります。この前提においては、選挙の際の公約を果たすため、与えられた4年の任期を全うするのが国民に対する責任であると考えます。

自民党の先人である故・保利茂元衆院議長は、第69条に明記されている場合に加えて、「予算案や、国の行方を左右する内閣の重要法案が否決されたり審議未了になったりしたとき」「その直前の総選挙で各党が明らかにした公約や政策とは質の異なる重要な案件が登場し、国民の判断を求める必要が生じたとき」に限り、7条解散が許されるとの見解を示され(1979年・保利衆院議長見解)、故・宮澤喜一元総理は「解散権は好き勝手に振り回してはいけない。あれは存在するが使わないことに意味がある権限で、滅多なことに使ってはいけない。それをやったら自民党はいずれ滅びる」と語っておられたそうですが(出典未確認)、この言葉の持つ重さと恐ろしさを感じます。

先日BS番組でご一緒した高安健将・成蹊大教授は、「解散して国民の判断を仰ぐ場合には、国民が判断するに必要な十分な情報と時間(解散から投票までは40日以内。公職選挙法第31条第3項)が与えられるべき」と述べておられましたが、これもまさしく然りと思います。

衆議院において与党が多数を占めている以上、不信任案は淡々と否決すればよいのであって、不信任案が提出されたこと自体が解散の理由となるというのは論理的にはおかしなことですが、一方において立憲民主党幹部からは不信任案提出や解散に肯定的な勇ましい発言も聞かれます。戦う相手が与党ではなく、対立する他の野党であるという思惑があるとすれば、政府・与党を批判する資格はありません。」(引用、終わり。)
私から付け加えるところがない、実に立派な論稿である。
もっとも、石破氏は、この文章に次の一文を付け加えていることにも注目しておく必要がある。

「いずれにしても、最高裁が統治行為論を用いて7条による解散を否定していない以上(苫米地事件最高裁判決 昭和35年6月8日)、総理がその気になれば誰も解散を阻止することは出来ません。」

石破氏はよく物が見えている人だなあ、と感心している。

解散権の濫用を戒めながら、しかし現実にはこれを抑止する手段がないことを正確に理解されている。
理論派の石破氏なら絶対にやらないことでも安倍総理ならやってしまうかも知れない、と警鐘を打ち鳴らしているようなものである。

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