- 2019年06月08日 11:15
バブル世代は、なぜセクハラの元凶なのか
2/3■「通報がない=良い会社」は間違いである
【白河】同じ職場の女性営業の方々は、皆さんセクハラに耐えているんですか?
【近藤】そうですね。うちの場合、セクハラ上司と話をすることすら嫌だって鬱に近い状態になった人、それで退職した人、コンプライアンス部門に匿名で相談した人もいます。しかも、何人も。でも「匿名だから実在しないんじゃないか」と言われてしまうみたいで……。会社が動かないんですよね。
【白河】それは通報窓口が機能していないですよね。報復が怖くて実名でなんて絶対通報できない。本来は通報したら調査が入るべきだし、報復禁止措置があるべきですが。
【佐々木】うちも社内外にホットラインがあって、先輩で通報した人もいたんですが、話にならないと言っていました。コンプライアンス室に50代男性しかいないから、仕方ないって。
【中野】うちみたいな40人規模ぐらいの企業なんて、コンプライアンス室もホットラインもありませんよ。
【白河】それは措置義務違反! セクハラ対策については、大企業ではかなり整備されているのですが、窓口はあっても機能していない。また中小企業ですと、窓口や研修がない場合も多いです。
企業には措置義務があります。防止のために相談窓口を設置する、研修を行うなどです。しかし「窓口がある」=「法的にOK」ではセクハラ・パワハラは防げないことがわかります。窓口があっても「通報しにくい」なら、それは機能していないのです。法的にはOKかもしれませんが、放置しておくと、生産性が落ち、退職者が出るなど、職場にとっては大きなマイナスになります。まったく「通報がない」のが良い会社ではなく、「ちゃんと通報があり、調査し、対応し、懲戒がある」のが良い会社です。
■セクハラを受けた女性が上司に謝る、不可思議な縦社会
【羽田】前職は大手金融系なので、本社は整備されていたのかもしれません。ただ、現場レベルで適用されていたかと言うと疑問です。私、2016年末に前職を辞めた理由がセクハラなんですよ。
【白河】そうなんですか?
【羽田】毎日毎日セクハラを繰り返されて、仕事を続ける気力がなくなってしまったんです。決定的だったのは、心底嫌になっていた時期に、「肩ももうか」って支社長に手を置かれた日の出来事でした。私は「やめてください」って手を振り払ったんですが、その日の夜、上司にあたる同じ年の男性に「謝りに行こう」と諭されて。彼のさらに上司から「あの態度は何だ」と怒られた、と。その話を聞いて、私はもうこの会社にはいられないと辞める決意をしたんですよね。
【中野】それで、謝りに行った?
【羽田】はい。
【白河】ひどいですね。支社長はどんな反応だったんですか?
【羽田】わかったならいいよ、みたいな。立場的な部分も含めて、上司の気持ちもわかるんですよ。上司ももっと上の人に気遣って、部下を守れない。ただ、これを耐え忍ぶ意味ってなんだろう、と。実は、それまでも匿名でコンプライアンス室に通報したり、本社宛てで手紙を出したりしたことはあるんです。でも、会社は絶対に動かなかった。本社としては、支社長をそこに配属すると決めた役員の名前にも傷がつくからという事情もあったらしくて……。
■人材不足や社内政治で、セクハラは繰り返される
【羽田】結局、社内政治が優先されるんですよね。でも、辞める前にどうにかしたいなと思ってて。
【近藤】どうしたんですか?
【羽田】初めは実名でコンプライアンス室に言おうかとも思ったんですが、会社が動かないなら社長を動かそうという発想になったんです。社長宛てに抗議文を送っても秘書止まりになる。だから、社長の自宅を調べて。辞職願を出し、休職中に社長の個人宅宛てで手紙を出しました。支社でセクハラが多発していて、本社に掛け合ってもこういう対応ですって。
【白河】英断ですね。支社長は?
【羽田】それからは人事異動が早かったようです。支社長は降格して本社のどこかに飛ばされ、営業所には新しい支社長がきて雰囲気がガラリと変わったと聞きました。
【佐々木】結局、そこまでやらないと会社は動かないんですね。
【白河】#MeTooのムーブメント以前に……。勇気がいりましたよね。報復が怖いから、辞めるときに思いきったんですね。
【羽田】ただ絶望的なことに、その支社長は以前も別の営業所でセクハラで降格になっているんだそうです。そこからまた昇格して支社長になっているので、今回もまたほとぼりが冷めたら、役員の誰かにひっぱりあげられて出てくるのかなって。会社としては人材不足もあるんでしょうし、社内政治もあるんでしょうし、セクハラ対策だけでケアできる話ではないなと感じます。
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