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自治体が街中に"ブロンズ像"を増やすワケ

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■地方創生は、規制改革で実現される

地方自治体が中央政府に財政依存する中で、地方を活性化させるための方法にはどのようなことが考えられるのか。そのための方法として規制改革によって地域の自由度を高めることは極めて有効である。

アベノミクス第3の矢「規制改革」は進んでいない一方、トランプ政権は新たな規制1本につき規制22本を廃止した。(時事通信フォト=写真)

安倍政権は国家戦略特別区域会議を創設し、19年2月14日までに全国で315認定事業を実行している。都市再開発やコンセッション方式導入などの派手な案件から、NPO法人設立手続きの迅速化のような地味な案件まで、その内容は様々である。

これらの全国にばらまかれた規制改革の果実は、補助金のばらまきとは対照的に中長期的に多くの果実を結んでいくことになるだろう。地方にとっては自らが発展していくための自由な環境を得ていくことに直結する。

しかし、規制改革を断行することには既得権者の抵抗もあるため、それらが政治的な支持を得ることは容易ではない。かつてはアベノミクスの第3の矢として位置づけられた規制改革であるが、第1の矢である金融緩和などと比べればとても大胆に進められているとは言えない。特に最近は、規制緩和は過当競争を招くとして、何でも無闇に反対するような一部の世論すらもある状況だ。

そのため、規制改革の果実を一部の狭い範囲の関係者だけでなく、多くの人に感じられる政策を進めるべきだろう。たとえば、筆者は海外に出かける際にUberを利用するが、米国でもカタールでも同サービスは利用することができる。類似のライドシェアサービスも次々と誕生しており、インドでもOlaというライドシェアサービスがUberを上回る普及率を誇っている状況だ。

一方、Uberの利用は日本では禁止されており(※)、出前サービスのUber Eatsしか使えない。これは時代遅れで極めてナンセンスな規制の1つであり、多くの国民が規制緩和の意義を実感する機会を奪うものと言えるだろう。

※編集部註:タクシーに準じた営業は認められているが、自家用車で乗客を運ぶ「ライドシェア事業」は認められていない。

■地方の発展には、自由な発想が不可欠

また、規制緩和についても日本のやり方は非常にスピードが遅い。たとえば、米国では、トランプ大統領は17年の政権発足早々に「2対1ルール」と呼ばれる大統領令を施行した。これは新しい規制を1つつくる場合、いらない規制を2つ廃止することを義務付けるものである。

Uberがあれば、地方の買い物難民も少しは救えるのでは……。(時事通信フォト=写真)

その結果として、17年12月のホワイトハウスの発表によると、僅か1年の間にトランプ政権は新たな規制1本につき22本の規制を廃止するという驚異的な成果を生み出している。また、連邦政府は計画されていた1579本の規制について、635本を撤回し、244本が無効化され、700本が延期された。これらの改革によってトランプ政権は17年だけで将来にわたる81億ドルの規制による経済損失を回避したとされている。

地方が発展していくためには、自由な発想を生かした自治体経営が不可欠だ。それは地域における新たな産業を生み出すとともに、積極的な経済効果を生み出していくことにもなるからだ。統一地方選挙に候補者を立てている主要政党はどの規制を廃止するのかを明示するべきだろう。

そうでなければ地方議員が政党から公認・推薦を受けることが単なる党派を示すだけで政策的な意味がないこととなってしまう。有権者も首長や議員候補者らに対して、どのような規制を廃止する提案するつもりがあるのかを積極的に問うべきだ。

■ふるさと税問題は、返礼品合戦だけではない

総務省はホームページ上でふるさと納税について「地方で生まれ育ち都会に出てきた方には、誰でもふるさとへ恩返ししたい想いがあるのではないでしょうか。育ててくれた、支えてくれた、一人前にしてくれた、ふるさとへ。都会で暮らすようになり、仕事に就き、納税し始めると、住んでいる自治体に納税することになります。税制を通じてふるさとへ貢献する仕組みができないか。そのような想いのもと、『ふるさと納税』は導入されました」と謳っている。

しかし、ふるさと納税の現実は非常に厳しい。改正地方税法が通常国会で通過し、19年6月からふるさと納税は事実上の総務省による認可制になることとなった。

背景には一部の地方自治体がアマゾンギフト券などの金券を返礼品として配るなどして多額の寄付を集めたことなどもあり、疑問に思った多くの国民から制度のあり方自体に根本的な疑問が投げかけられたことがある。また、ふるさと納税制度は返礼品問題に見られたモラルハザードだけでなく、さらに根深い問題を内包している。

アマゾンギフト券という金券をバラマキ、金を集める地方自治体。

第一の問題点はふるさと納税の使途の妥当性である。たとえば、震災からの復興を目指す福島県飯舘村などは17年に村のホームページ上に「村では、復興の拠点として村のほぼ中心地に、いいたて村の道の駅 までい館を整備し、その復興拠点に、家族・愛・絆を感じる彫刻を復興のシンボルとしてぜひ建設したいと考えています」としている。

充実した返礼品のラインナップによって同村は18年度に9700万円のふるさと納税による収入を見込んでいる。しかし、道の駅に設置された彫刻(ブロンズ像)の購入費用として2990万円が使用されることを実際に知っていた寄付者は多くないであろうことは想像に難くない。

復興という観点から同村独自の理屈があるのだろうが、控えめに言ってもその妥当性については様々な意見があるものと思う。ふるさと納税は1度地方自治体側に渡ってしまえば自主財源となるため、首長一任などの形で事前に利用使途が明示されていないケースもある。今後、同制度の健全化を図るため、寄付者に対する使途のアカウンタビリティを確保することが課題となる。

■地方自治は、民主主義の学校という虚実

第二の問題点は減収自治体に対する地方交付税による補填である。地方交付税交付団体は減収分の75%が地方交付税による埋め合わせを受けることができる。つまり、ふるさと納税の利用者の懐が減税で潤うと同時に、本来は税金が流出しているはずの地方自治体に中央政府から資金が追加で流れ込んでいるということになる。

もちろん、25%は税収が減少するために同自治体の全体の税収は減少するものの、当該住民はできるだけふるさと納税を使い倒したほうが中央政府からの補填というばらまきを得るという構造がある。このような財政上の緩衝システムがアマゾンギフト券などを返礼品とする地方自治体に寄付する歪な構造への批判が起きにくい状況を間接的に生み出してきているのだ。以上のように、ふるさと納税には問題も多いため、その制度のあり方を根本的に見直すことが必要である。

「地方自治は民主主義の学校」と呼ばれているが、現在の日本は学校の理念やその運営が滅茶苦茶な状態になったまま放置されている。19年は統一地方選挙だけでなく参議院議員選挙も予定されているが、我々は本当に大人として投票するだけの学びをしてきたのだろうか。新元号「令和」が始まる年、地方自治運営に関する真剣な議論が行われることに期待したい。

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渡瀬裕哉(わたせ・ゆうや)

早稲田大学招聘研究員

国内外のヘッジファンド・金融機関に対するトランプ政権分析のアドバイザー。都市政策についても研究をしている。 

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(シンクタンク「パシフィック・アライアンス総研」所長 渡瀬 裕哉 写真=時事通信フォト、Aflo)

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