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オバマ大統領が日米首脳会談後すぐにアフガニスタンを電撃訪問、「米軍将兵9万人全滅」を心配してか?

◆オバマ大統領は、野田佳彦首相との初の首脳会談(ワシントン時間4月30日午前=日本時間5月1日未明)の後、昼食会を済ませて直ぐに、アフガニスタンを予告なしに電撃訪問(5月1日夜)して、首都カブールでカルザイ大統領と会談し、「パートナーシップ協定」を結び、その後、カブール郊外のバグラム空軍基地内で、米国民向けに演説(現地時間4月2日午前4時)している。野田佳彦首相とゆっくり首脳会談などしていられないといった、そそくさぶりである。
 この背景には、アフガニスタン駐留の米軍(将兵9万人)が、極めて厳しい立場に立たされているという極めて緊迫した状況がある。読売新聞が5月3日付け朝刊「国際面」(6面)で「アフガン危うい撤収計画」「米大統領電撃訪問 現地治安なお課題」(ワシントン=白川義和特派員)という見出しをつけて、精一杯、米軍の苦境ぶりを伝えていることが証明しているように、タリバンの攻撃にさらされている米軍は、ほかの国連派遣軍ともども「全滅」の危機に直面している。  米軍は、タリバンを「テロ組織」と決め付けて、「掃討作戦」を継続してきた。アフガニスタンとパキスタンの軍事情勢に詳しい現地からの情報によれば、オバマ大統領は「駐留米兵の撤収を予定通り進める」「アフガン戦争が幕引きに向かっている」と強調したというが、実態は、「まったく逆」である。アフガニスタンから撤退どころか、アフガニスタン国内で「全滅」されそうになっているのだという。

 万が一、「将兵9万人が全滅」という最悪の事態にでもなれば、今年11月に行われる大統領選挙でオバマ大統領の再選も難しくなる。だからこそ、オバマ大統領は、野田佳彦首相との首脳会談も、そこそこにアフガニスタンに飛んで行ったのである。

◆読売新聞は「アフガン危うい撤収計画」「米大統領電撃訪問 現地治安なお課題」というこの記事に続けて、「タリバン攻勢を宣言 米・アフガン協定に対抗」(イスラマバード=横堀裕也特派員)という見出しをつけて、タリバンが、オバマ大統領とカルザイ大統領との間で結ばれた「パートナーシップ協定調印」に反発して、「駐留米軍への攻勢」を宣言し、本格的に攻撃をかけることを報じている。

 残念ながら、この記事のなかで「駐留外国軍撤収を求めて戦ってきた旧支配勢力タリバン」という記述は間違いである。タリバンは、「駐留外国軍撤収を求めて戦ってきた」わけではない。正確には、「駐留外国軍の全滅、皆殺しを目指して戦っている」のである。「1人の将兵も生かしては帰国させない」というのだ。ただし、「米軍が敗北を認めれば、無事に帰国させる」と言っている。ところが、プライド高い米国、米軍は、絶対に敗北を認めようとしていない。

 従って、オバマ大統領が立てている次のような「米軍の撤収計画」は、実現不可能な絵に描いたモチなのである。
 ①2012年 駐留米兵9万人を6万7000人に削減、以後、順次撤収。 
 ②2013年 戦闘任務終結。

 これをタリバン側から見ると、「2013年 全滅につき戦闘任務終結」とも読める。

 また、「旧支配勢力タリバン」という記述も間違っている。米国のカルザイ政権は、アフガニスタン国民にとっては、「米国の傀儡政権」以外の何ものでもない。これに対して、タリバンは、とっくのむかしにアフガニスタン全土を事実上、実効支配していることを見逃してはならない。

 そのうえ、タリバンの生みの親は、パキスタン軍統合情報局(Directorate for Inter-Services Intelligence)である。パキスタンで最大の情報機関(諜報機関)の名称で、短く 「Inter-Services Intelligence 」とも呼ばれ、略称の 「ISI」で知られている。だから、駐留米軍などの動きは、筒抜けである。タリバンは、駐留米軍など外国軍を全滅した後、その勢いを持って、パキスタンの米国傀儡政権に総攻撃をかける作戦を実行していく計画という。

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