- 2019年06月06日 11:36
【読書感想】少子化する世界
2/2(フランスの)家族手当は、子ども(20歳まで)が2人以上の場合、家族に支給される。家族手当は長い間、所得の多寡にかかわらず同額で支給されていたが、オランド政権のもと、2015年7月に所得制限が設けられた。
このことが出生率の低下につながったとする見方もあれば、所得制限の影響を受けたのは20%の富裕層のみで理由とはいえないとする見方もある。
日本の児童手当と比較して注目すべき差は、「14歳以上に加算する」フランスの家族手当か、「3歳未満に厚く」する日本の児童手当かという点である。
日本では保育所の保育料こそ3歳児から下がるが、子どもの成長を具体的に考えてみただけでも、食費、被服費、教育費、住居費、いずれも年齢が上がるにしたがってお金がかかるのが普通である。
一昔前の日本なら、30~40代といえば所得水準もぐっと上がって家計自体が成長するから、これでもよかったのかもしれない。
しかし、日本の子育て世代の所得水準は上がるどころか前の世代に比べて大きく減っているところからして、子どもが大きくなるにつれて減額される手当は、子育て世代の実情に沿っているとは言い難い。フランスの家族手当の方が子育て費用のかかり方に対応できているといえる。
最初に読んだときには、「とりあえず子どもを産んでくれれば、小さいときはサポートするけど、あとは自己責任で」っていうのが日本のスタンスなのか、ひどいな……と思ったのですが、読み返してみると、おそらく、高度成長期の日本なら、親の収入も上がっていくので、子どもの成長とともにお金がかかるようになっても、やっていけたんですよね。
そういう意味では、悪意があるのではなく、「時代に合わなくなっているものが、そのまま使い続けられている」だけなのでしょう。
ドイツでは、2016年に生まれた新生児のうち18万4660人、全体の23%の母親が外国人だったそうです。
この割合の大きさへの驚きに隠れてしまいがちなのですが、ドイツでは、母親がドイツ人という子も増えてきており、少子化対策の効果がみられています。
保育所に関するドイツの特徴は、2013年8月から、1歳以上のすべての子の「保育を受ける権利」が保障されるようになったことである。これを、「保育施設入所請求権」という。言い換えれば、1歳になれば誰でも保育所に通えるようになった。
2014年にドイツの保育所を視察した時点では、「ひとまず、どこか1つには入れるように枠は確保できるが、自宅と職場との利便性確保などの観点から、選べるほどではない」という評判を耳にしたが、それでも「子の権利」として認めてしまうところが徹底している。
ドイツにはかつて、「3歳までは親が育てる」という社会通念が日本と同様にあり、それ以前に子どもを預けて仕事をする母親を「冷たい」とする風向きが強かったが、これはそうした考えをひっくり返すことになった。なお、保育所の数を増やすことについては2005年に保育所設置促進法ができており、政府から自治体への補助効果などが進んだうえでの「権利化」である。
ドイツの子育て支援は資金面でも充実している。ドイツには「児童手当」「児童控除」「児童加算」などの現金給付策があり、児童手当は、原則として所得の多寡にかかわらず18歳未満のすべての子どもを対象としている。
児童控除は、子ども1人当たりの年間の控除額のほか、養育にかかった費用の課税対象からの除外も認められている(2012年以降は、親子の境遇にかかわらず、とされている)。
「3歳までは親が育てる」「子どもを預けて仕事をする母親は『冷たい』」と、これまでの日本と比較的近い価値観を持っていたドイツでも、親へのサポートを改善することによって、それなりの効果は出ているのです。
「子どもを持つことが幸せな人ばかりではないし、個人の自由が認められる社会になればなるほど、子どもが減るのは必然」だと僕自身は考えていました。
もしかしたら、人類は、自らの「産まない」選択によって滅ぶ、最初の生物になるのではないか、とも。
しかしながら、こうして選択肢が広がってきた社会をみてみると、「それでも産みたい、育てたい」という人はたくさんいて、うまくサポートしていけば、国も個人も許容できる範囲で安定するのではないか、という気がしてきたのです。
日本も、これまでのやり方に固執するのではなく、もっといろんなことを試してみても、良いのではなかろうか。
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