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焦点:外貨準備でドルに立ち向かうユーロ圏、通商紛争が好機に

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しかし中国の外貨準備運用部門が大量の資金を米国債からユーロ圏債に移せば、ユーロ圏では重大な供給不足が起き、当局は対応を迫られる。ロンバー・オディエ・インベストメント・マネジャーズの首席投資ストラテジスト、サルマン・アーメド氏は「今の状況を考えると、これほど大規模な米国債の保有を分散化するのは困難だ」と指摘。「ユーロ圏はリスクフリーの巨大市場ではない。20年後には違うかもしれないが」と述べた。

アーメド氏によると、ユーロ圏の主な問題は域内の信用リスクがばらばらな点。加盟19カ国はそれぞれ独自の財政政策を取り、財政赤字に関する規則の運用は甘く、理論上はユーロ圏から離脱する加盟国が表れることもあり得る。そのためドイツのように予算が均衡かもしくは黒字の国がある一方、南欧諸国などの国は債務が高水準に達している。

ユーロ圏国債市場は信用リスクと政治リスクが交じり合わさり、全体としては米国債に匹敵するとはみなしにくい。アバディーン・スタンダード・インベストメンツのファンドマネジャー、ロス・ハッチソン氏は、詰まるところユーロ圏には米国のような連邦政府としての性質がないと指摘した。

また、欧州中央銀行(ECB)による国債買い入れでユーロ圏国債市場には歪みが生じており、実際に入手可能な国債は見掛けよりも少ない。発行済みのユーロ圏国債は約9兆5000億ユーロだが、ECBが推計でその4分の1を保有している。

さらに最高位格付けを持つドイツ、オランダ、ルクセンブルクの国債は極めて品薄だ。

こうしたリスクがユーロの準備通貨としての魅力を削いでいる。国際通貨基金(IMF)のデータによると、中央銀行の外貨準備に占めるユーロの比率は2009年には26%だったが、2011年のギリシャ債務危機の影響もあって20%に低下している。

外貨準備におけるドル支配に対抗したいユーロ圏の当局者は先月、ユーロ圏の国際的な役割の強化について話し合う会合を開いた。ただ、加盟国が債務をプールして共通の債券を発行する「ユーロ圏共通債」構想は取り上げられなかった。

ユーロ圏共通債を巡っては市場関係者からその重要性を指摘する声が上がっているが、ドイツなど経済的に豊かな国は他国の債務を押し付けられるのを恐れ、導入に反対している。

(Sujata Rao記者、Dhara Ranasinghe記者)

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