
[ロンドン 4日 ロイター] - ユーロ圏諸国が外貨準備におけるドルの圧倒的な優位に立ち向かうつもりなら、米中通商紛争が好機になりそうだ。
第2次世界大戦後に規模、流動性、格付けの面で米国債と互角に勝負できる金融資産はない。米国債の市場規模は16兆ドルを超え、最もグローバルな証券として、現金と等しいリスクフリーの資産とみなされるまでになった。
ただ中国は、米国との通商紛争が激化し、貿易面で米国と敵対しながら同時に米国の最大の債権国であることに、不快感を覚えている兆しが見える。
最近のデータによると、中国の3月の米国債売却額は月間としては2年半ぶりの高水準だった。これが一時的な動きでなければ、中国が外貨準備をドルからどこへ移すかを巡って憶測が高まり、候補リストのトップに来るのは国債取引で世界最大級の規模を持つユーロ圏だろう。ユーロ圏国債の市場規模は米国債のほぼ3分の2に上る。
既に中国が欧州への関心を強めている様子がうかがわれ、銀行関係者はアジアからの需要が記録的水準に達したのは中国がスペイン、フランス、ベルギーの国債を購入したためだとみている。
銀行筋によると、中国は欧州の政府機関債の購入も増やしており、特にAAA/A1の格付けを持つ欧州安定メカニズム(ESM)の債券の購入が目立つ。
インターナショナル・ファイナンシング・レビューのデータによると、ESMが最近起債した20億ユーロの10年債は、購入者に占めるアジア投資家の比率が33%と、昨年の4─5%から大幅に上昇した。