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『この世でいちばん大事な「カネ」の話』

 今日は西原理恵子氏が書かれた『この世でいちばん大事な「カネ」の話』という本の紹介です。どうしても彼女の作品となると、「下品」といった感想を抱く方(特に女性)がおりますが、そうした方にも是非読んでほしい作品です。



1 カネがないと自由になれない

 漢字にルビが振ってあり、言葉遣いも丁寧なので、今社会に出る準備をしている中学生にも読んでもらいという思いもあったのかと思います。

 高校生が自宅でいろいろ偉そうなことを言っても、親のカネで建てた家に住み、親のカネで作ってもらった食事を食べて生きている以上、最後のところで親の言うことを聞かなくてはなりません。そういう意味で、本当に真理だと思ったがカネがあると「自由」になれるというところです。

 実際、彼女はカネが無いが故におかしくなってしまった例を提示していきます。例えば、カネが無いがために、彼女から借りたカネを返すことができず、合わせる顔もなくなり、結果疎遠になってしまった友人など、自分の経験などを基に、カネの大切さを語っていきます。

2 発展途上国に対する視点

 発展途上国の例も提示されていますが、僅かのカネのために、アスベストなどの有毒物質がわんさかある、悪臭漂うゴミ捨て場で一晩中ゴミ拾いをしなくてはならない子供達など、カネがないが故に身の安全さえ、守れない事例も紹介されています。

 ある意味こうした部分は、よくある発展途上国のルポなどを見ても同じような話を読むことができます。この本の何と言っても最大の特徴は彼女自身が小さい頃、同じような貧困生活を経験しており、そこからはい上がってきたということです。

 どうしても、ルポには第三者的視線が必要で、できるだけ冷静に自分の見たことを記述しようとします。それはそれで必要なことですが、そうであるが故にどうしても他人事になってしまいます。

3 最下位なりの闘い方

 その点彼女は自分も同じ貧困生活を送ってきたとして、どのようにはい上がってきたかも述べています。

 武蔵美に入学したものの、自分の絵が学内で最低レベルであることを思い知らされる現実、しかし、最下位には最下位の闘い方がある、と必死に売り込みを行い、どんなつまらないイラストやカットでも喜んで書かせてもらった経験。

 実際、学内で成績の良かった同級生は、プライドが邪魔をして、エロ本のカットなどは書けなかったそうですから、本当、こういう話は私のような頭でっかちの人間にはタメになります。

 私自身、初めて中国に留学した当時の中国は、間違いなく発展途上国で、どこで食事をするか本気で心配しなくてはならなかったのが忘れられません。人間切羽詰まれば、英語でも中国語でも嫌でも話せるようになるものだと本気で思ったものです。

4 いじめに対する対処

 いじめにあっている子供に、「世界には食事もろくにとれない子供達が沢山いるのだから、そうした子供達に比べればはるかに幸せだ」と言うことがどれだけ意味があるかと述べたことがあります(苦しんでる人に、その人の幸せを説くことは可能か?)。

 基本的に学校という「世界」しか知らず、そこから抜け出せないという現実がある以上、かなり難しいかと思う一方で、学校とは違う別の「世界」を見せることができれば、それなりの効果があると考えています。

 別の世界があるとわかれば、最悪そこに逃げこめば良いわけですし、今いる自分の世界を相対化して見ることもできるようになります。こうした心の余裕ができるだけでも大分違うのではないでしょうか。

 それでもダメな時は、彼女自身も述べている様に、逃げるというのも1つの選択肢で、これも本当によく理解できます(『孫子』の兵法にもありますが、勝てないとわかった時は、勝てる準備をして再度望むべきで、それをしないで玉砕しても何にもなりません)。


 どうしても、「金融教育」となると株式売買などの話が前面で出てきますが、もっと現実に根付いたリアルなカネの話こそ、ネット(ヴァーチャル)全盛の今だからこそ求められているものではないのか、ふとそんなことを思ったが故の今日のエントリーです。

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