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カネカ"育休転勤"問題にみる、社内事情のメールもさらされる時代 ~ビジネスパーソンの言語学㊼

最近、説明や謝罪時の、違和感のある言葉遣いが話題になりがちだ。当コラムでは、実際の発言を例にとり、公私の場で失敗しない言葉の用い方を考える。ビジネスパーソンのための実践言語学講座、いざ開講!


「育児休業休職直後に転勤の内示を行ったということはありますが、これは育児休業休職取得に対する見せしめといったものではありません」ーーー育休直後に転勤内示をしたとして批判を受けているカネカの角倉護社長が、授業員あてに送ったメール

発端は、元従業員の妻のTwitterへの投稿だった。「夫が育休復帰直後に転勤を言い渡された」「有給休暇の取得も拒否され、結局退職した」などと夫が勤務していた会社を告発。具体的な社名は書かれていなかったものの文末に「#カガクでネガイをカナエル会社」と添えられていたことから、CMでこのコピーをつかっている株式会社カネカだとされ、公式HPがシステム障害を起こすほどにアクセスが殺到。炎上騒ぎとなった。

そんななかカネカは角倉護社長名で「育休直後に転勤内示」を認めるメールを複数の従業員宛に送信。するとこれもマスコミに流出し、炎上に油を注ぐようなカタチになっている。

「育児休業休職直後に転勤の内示を行ったということはありますが、これは育児休業休職取得に対する見せしめといったものではありません。十分な意思疎通ができておらず、着任の仕方等、転勤の具体的な進め方について当該社員に誤解を生じさせたことは配慮不足であったと認識しております」

告発はあくまでも匿名であり、投稿者は夫が勤めていた会社がカネカだと認めたわけでもない。それでも社長名で釈明メールを送らざるをえなかったのは、“思い当たるフシ”があったからだろう。実際、このメールでも「育児休業休職直後に転勤の内示を行ったということはあります」と告発の一部を認め、「十分な意思疎通ができておらず、着任の仕方等、転勤の具体的な進め方について当該社員に誤解を生じさせたことは配慮不足であったと認識」していると述べている。

恐らく、炎上がこれでおさまることはないだろう。この件についてカネカは、調査・発表せざるを得ないだろうし、もし告発が事実だった場合、なんらかの処分をくだされる可能性もある。

カネカ側にも言い分はあるだろう。事実関係については、現時点ではわからないことも多い。ただひとつ確実なのは、もはやどんな社内事情も社内メールも外部にさらされる可能性があるということだ。経営者サイドはそれを心に留めておくべきだし、もっといえば、外にさらされて困るような言動は慎むべきだ。終身雇用が過去の遺物になろうという時代だ。同じように社員の「会社への忠誠心」や「愛社精神」も失われていると、認識しなければならない。

Text=星野三千雄

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