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腐臭漂う国会に巣食う議員という名のゾンビ!――劇作家・朝倉薫

映画「アベンジャーズ エンドゲーム」を観た。

宇宙の人口を半分に消滅させた悪役"サノス"がその隠された本心を口にしたときは、言語道断の怒りを感じた。その程度の気持ちであんなひどいことをするとは。まんまと脚本に乗せられたわけである。

丸山議員の言語道断な戦争発言

共同通信社

さて、言語道断という言葉だが、本来は言葉で言い表わせない深い真理の意味だ。転じて言葉に出来ないほど酷い言動の意味にも使われる。

丸山穂高衆議院議員の「戦争発言」が、野党と所属政党からの議員辞職勧告の国会提出にまでになっている。

「ロシアが戦争終結後に侵略して奪い取った北方領土を取り戻すには戦争しかないと思いませんか?」と、酔った酒の席でしつこく尋ねたらしい。動画でメディアに流され、本人も認めているから、ここは〝らしい〟ではなく事実だ。

30代の、しかも東京大学を卒業して経産省に入った優秀な人材? 床屋談義ならいざ知らず、これは国会議員の発言としては言語道断、恥知らずとしか言えないだろう。

〝戦争で取られたから戦争で取り返す〟。平和な時代に生きるぼくたちには、口が裂けても言えない言葉だ。安倍晋三総理だって百田尚樹くんだって思っていても口にはしないだろう。「女を呼べ」だとか女性の乳房をどうだとか、下品極まりない。心に思うのは自由だが、フーテンの寅さん曰く「それを言っちゃあおしまいよ!」である。

次はイタリアを外してドイツと日本だけで戦おう

写真AC

40年ばかり前にヨーロッパを旅した時、フランクフルトの居酒屋でドイツ人のオヤジに、「お前の親父は銃を手入れしているか?」と訊かれた。

何故かと聞いたら、「次に戦争する時にはイタリアの弱虫を外してドイツと日本だけで戦おうと親父に伝えてくれ!」と、肩を抱かれた。周りのオジさんたちも涙ぐんでうなずいていた。あの時ぼくは、あることを思い出して笑いが引きつった。

ドイツは第一次大戦に敗れ、復興の夢をヒットラーに託して第二次大戦にリベンジしたのだ。

あれだけ壊滅的な敗戦を迎え、東西に引き裂かれて、世界中に懺悔したドイツの街中で、まだ懲りないで戦争をしたがる人間がいたのだ。平気で銃を磨けとか、次は負けないなどと、オヤジたちが居酒屋で物騒な話をワイワイやっていることに、西洋から始まった民主主義の正体をみたような気がした。

Getty Images

比べて日本は、有史以来中国に倣った律令国家で、言論の自由などという言葉は明治時代にようやく芽生えて、昭和の軍事体制で再び封殺され、第二次大戦後にアメリカに占領されたおかげで何とか体裁が整った程度だ。いまだに民主主義の正しい使い方も知らず教えずで、右往左往しているのが現状だろう。

言論の自由だと居直るな

さて、丸山議員の話に戻るが、言論の自由の範疇に収まると本人は主張しておられる。ワイドショーは待ってましたとばかり騒ぎ立てている。ワイドショーは床屋談義であり井戸端会議の延長だろうから、盛り上がって当然だが、まてよ、問題はそこじゃないよね?戦争とは、言論つまり「話せばわかる」を問答無用と暴力に訴えることだ。

たとえ暴力で奪われた土地や人でも。相手が国家であるなら、言論を駆使して世界中を味方につけ、相手に納得させる方法を平和憲法を掲げる日本は実践しているわけだ。ロシアや北朝鮮に対して気の遠くなるような努力を続けている人たちがいるのが現状だ。

口に出してはならない言葉を吐いて、それを言論の自由だと居直ってはいけない。病気が理由であるなどと後から言い訳をせず、説明責任を持つのが議員の責任というものだろう。

それにしても、同年代の政治家・小泉進次郎氏は利口だ。迂闊な言葉は決して口にしない。彼も、制度や災害に対しては声高に怒りの声を上げる。あんな制度は改善しなくてはならない!それはカッコいい、庶民は拍手喝采である。だが、決して彼は誰も傷つけていない。なぜなら、庶民の怒りを代弁しているだけだからだ。何の解決方法も示さなくても、大衆は怒りの声だけで満足する。たとえ彼が当の庶民を口減らしし、国民を六千万人に減らすと、アベンジャーズの敵役サノスと同じことを言っていたとしてもだ。 丸山議員も〝失言チャンピオン〟櫻田義孝議員と一緒で、ヘマをしても平気だと思っていたのだろう。ただ違うのは、30代の生意気盛りな若者議員だったということだ。ワイドショーのネタ要員に放り込んだ所属政党のトップの冷酷さと政権政党の対応を冷静に見極めることが、大衆に課された問題ではないか?

いずれにせよ、現実にファンタジーを持ち込んではいけない。

それは映画やぼくらの舞台に任せて、政治家は平和を守り、貧困をなくし、老人を幸せに死なせてくれ!

朝倉薫(あさくら・かおる)
劇作家、演出家、劇団主宰、音楽プロデューサー。
1948年8月2日、熊本生まれ。92年に音楽プロデューサー、雑誌編集から転身を図り劇団を立ち上げる。その後は作家、脚本、演出家として「沈まない船」「桃のプリンセス」「ガラス工場にセレナーデ」などの舞台を手がける。舞台はパイオニアLDC、ポニーキャニオンなどからビデオ化された。元祖アイドル声優だった桜井智は劇団員から育てた。現在も劇団「朝倉薫演劇団」を主宰する。

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