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50代からの給与減少が意味するもの

多くの大手企業は50代になると役職定年などと称して給与水準が下がる仕組みを取り入れています。給与のピークは概ね40代後半から50歳代前半で55歳から60歳にかけて一気に下落します。企業によっては半額近くになるところもあるようですが、おおむね平均下落率は25%程度のようです。

一方、定年は希望があれば65歳まで働けると法制化されていますが、企業側にとっても人材不足と技術の伝承という課題の中で経験豊富なベテランが比較的安い賃金でかつてより長期的に仕事ができる環境が生まれてきています。

企業は事業の運営において総人件費という枠組みを考えています。企業内のマクロ人件費政策において雇用期間が長くなった際、比較的高い人件費のベテランをどのように配置するかは腕の見せ所となります。その一つの対策は賃金ピークを以前よりも引き下げその代わり、長期に雇用できる仕組みを作ることで生涯年収はさほど変わらないというプログラムはその一つかと思います。

さて、給与はどうして上がるのでしょうか?ベアという考え方は物価上昇率が低くなっている昨今、実感を得るほどではありません。よって職能を上げないとなかなか給与が上がっていかないと考えるべきでしょう。(安倍首相は過去、企業にベアをお願いしてきましたがあれは本来であれば政府がお願いすることではなく、物価スライドがもともとの根拠であります。首相は日銀が2%の物価が上がると言い続けたことを背景にお願いしてきたわけで、一種の出来レースだったのかもしれません。)

例えばファミリーレストランやスーパーのレジを打つ人が30年勤務しても時給が2000円になることはないでしょう。理由はその職制における価値は1000−1200円程度という相場があるからです。これは職能と給与がある程度リンクしているとも言えます。

警察ものや銀行ものの小説を読んでいるとよく内部の昇級試験の話が出てきます。あれは試験結果で職能を明白に分け、ランク付けをする一つの手法であります。一方、海外では転職をすることで職能を売り込むという手段を使います。

ユニクロのファーストリテイリング社は入社時にグローバル社員と地域正社員に分けていますが、それは厳しい試練を乗り越えながら将来能力があればより高い職制につき、高い給与をもらえるチャンスを掴むか、ワークライフバランスをより重視するかという選択性であるとも言えます。

さて、若いうちは単純労働ではない限りしばらくは給与は上がるものです。ある程度の経験を積むとチームリーダー、課長、次長、部長…といった役職が付きます。が、役職はピラミッド構造になっており、上に行けば行くほどポジションは少なくなりますのであぶれる人は当然生まれます。

あぶれる人が与えられるラインは主に2つです。1つはラインから外れること、もう1つは子会社、関連会社に出向することです。ラインから外れるケースでよく見かけるのが担当部長という肩書ですが、これは要は組織としての部長職ではなく、社内の身分制度から部長と同程度とみなし、対外的に肩書がないと格好が悪いので担当部長と命名するのであります。

もう一つは出向です。サラリーマンの性ともいうべき「出向人事」はドラマなどでまるでその人の人生を否定するようなイメージであります。私だってある意味、カナダ会社に出向でしたが、結局、本体が潰れ、私が生き残ったわけで必ずしもドラマや小説の話のとおりではありません。

大企業ほど子会社、関連会社の数は多く、出向先が大企業というケースも大いにあります。例えば三井住友銀行のVPから東芝に出向した車谷会長は氏の腕次第では三井住友時代よりもっと面白い人生を描けるかもしれないのです。

50代から給与が減少する対策は雇用側と非雇用側両方に改善の余地があると思います。

まず、雇用側は総給与という考え方をどこかで考え直さねばならないでしょう。これは会社の中で強い部門が弱い部門を支えるという考え方が背景にあり、強い部門をより強く伸ばすことを抑制する力がかかってしまいます。結果として能力がある人のやる気を十分に引き出せないことも起こり得ます。

雇われている側の場合、社会人人生のゴールはない、という気迫が必要です。一般に言われるのは2-30代の時は業務量に対して給与は安め、40−50代になると実務が減り、業務量より給与が高めと言われています。これは組織の上に立つことで面倒な仕事は若い社員にやらせることで自分を高みに持っていくのですが、誰もが高みに見合うクオリティの仕事をしているわけではない点です。
例えば私は自分の会社を運営していますから極端な話、今の給与以上を80歳になっても85歳になっても働く限り稼げる仕組みは作っています。つまり、生涯、給与が上がり続けるモデルともいえ、生涯年収は極端な差となるはずです。

私がいまだに一部のスタッフの給与計算をし、レンタカー客のアテンドをし、クルマを拭き、マリーナの顧客のクレーム対策をしているのは上から下まで実務を理解し、繰り返す作業をすることで次のビジネスにつなげるためなのでしょう。こんなことで給与が上がるのか、と思われますが、この基礎を積み上げた力こそ、アイディアの宝庫となるのです。

50代になるとなかなか昔のような実務はできなくなります。しかし、立ち向かう気持ちは必要だと思います。また企業側も50−60代の社員をどう活用していくのか、真剣に考える時が来たと思います。

では今日はこのぐらいで。

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