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オフショア・バランシング論の弱点:その3

今日の大阪はほぼ真夏の蒸し暑さでした。

さて、連日のオフショア・バランシングに関する話を。一時的にせよ、アメリカのような島の大国がユーラシアにある世界三大戦略地域から軍事的・政治的に撤退することで、各地域のバランス・オブ・パワーの自律性に任せようとするこのオフショア・バランシングですが、「地域の同盟国たちをムダに攻撃的にしてしまう」ということの他に、もう一つ決定的な弱点だと指摘されがちなことがあります。

それはなんといっても、「同盟国たちが、アメリカのライバルとなる地域の潜在覇権国たちになびいてしまう」というものです。これを別の言葉でいえば、「バンド・ワゴニングしてしまう」ということです。まずこの「潜在覇権国」ですが、現在の三大戦略地域に当てはめると、皆さんもおわかりのように

東亜:中国
中東:イラン
西欧:ロシア

ということになります。そしてこの三カ国の周辺(≒リムランド)にあるアメリカの同盟国たちは、たとえば東アジアでは中国が台頭してくると、日本のように距離が離れていて、しかもそれなりに力のある国だと、中国に反発してわざわざ対抗しようとします。

これがいわゆる「バランシング」(直接対抗)ですね。そして前日のエントリーのように、アメリカの同盟国このバランシングの傾向が強く現れると、ムダに攻撃的なドクトリンを採用させることになるわけです。ところが中国に近い小国の中には、わざわざそんな大国に対抗しようとせず、近くの別の国に対抗の責務を追わせたり(バックパッシング)、さらには宥和政策をとって、その潜在覇権国の仲間(バンドワゴン)になったり、時には一緒になってその拡大を手伝ったりすることもあるわけです

アメリカの同盟国で、中国側になびいているといえば、わかりやすいところでは韓国がその典型です。

韓国の場合は安全保障をアメリカに頼っていながら、ビジネスでは中国への依存度が大きいわけですから、そこにジレンマが発生するわけです。

しかも隣に核武装した北朝鮮があり、しかも軍事的にはもう対抗できない潜在覇権国の中国があるわけですから、必然的に「中国側についた方が得策だ」となるのも、ある意味では当然の流れ。さらにはアメリカが一時的にせよ軍事的に引くとなれば、韓国としては中国側にさらになびくのは不思議ではありません。このように考えると、やはりOBに論者たちがいかに自分たちのアプローチを楽観視しているのかがわかります。

なぜなら、その撤退の結果として雪崩のように起こるであろう潜在覇権国への(元)同盟国たちによるバンドワゴニングという行動を予測できていないからです。ここまで書いて時間切れ。明日も続きを書きます。


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