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川崎殺傷で各局のカラ回り報道、現場にいない目撃者も出演か

スクールバスの車内を撮影しようとするカメラマン(REX/AFLO)

中学の卒業アルバムより

 川崎19人殺傷事件の犯行現場には多くの報道陣が詰めかけた。しかし、過熱するテレビ各局の報道姿勢に対して違和感を覚える視聴者は少なくなかった。

【写真】岩崎隆一容疑者

 事件発生直後に視聴者が耳を疑ったのは、『スッキリ』(日本テレビ系)で、〈連行される男を目撃した〉と紹介された男性が、電話取材に答えた一幕だ。

 岩崎容疑者はわずか十数秒の間に犯行に及び、自らの首に刃をつきたてた。病院に搬送後、すぐに死亡が確認されたことからも、傷の深さがうかがえるが、電話口の男性はこう説明した。

「自分は犯人をつけて歩いていた」「“もうどうでもいいや”って感じだった」

 証言が事実と大きく食い違う上に、呂律が回っていない口調だったため、ネット上では〈本当に現場にいたのか?〉〈酔っ払い?〉と話題になり、信憑性に欠ける男性の証言を流した番組に疑問の声が相次いだ。

 夕方のカリタス小の会見を生中継した『Nスタ』(TBS系)も批判を集めた。

 同校の内藤貞子・校長が、報道陣に「子供たちの写真を撮ったり、インタビューをしないでほしい」と要請すると、途端に音量を絞って“掻き消した”のだ。約10分後、井上貴博アナが「マスコミへの呼びかけの際に音声を絞ってしまったこと、手前どもの時間の都合ではありますが、大変反省しております」と謝罪した。

 翌29日朝放送の『とくダネ!』(フジテレビ系)では、笠井信輔アナが包丁に見立てた2本の棒を両手に持ちながらレポート。ストップウォッチで“実際に十数秒での犯行は可能なのか”を計測した。『スッキリ』の阿部祐二レポーターも同様の手法で時間を計って中継し、〈無神経すぎる〉との声が寄せられた。

 元読売テレビ解説委員長でジャーナリストの岩田公雄氏が指摘する。

「テレビの事件報道では、『速報性』と『臨場感』が求められがちです。また、分かりやすさや独自性を追いかけるあまり、不確かな情報でさらなる危険や混乱を招きかねません。被害者やその遺族が心を痛める事態になってしまうことさえあり得ます」

 事件報道のあり方が、改めて問われている。

※週刊ポスト2019年6月14日号

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