記事

自分一人で死ねばいい、はやっぱりずれている 米国の乱射事件が後を絶たない

川崎で起きた事件は本当に悲惨でしたが、これが日本社会が抱える矛盾が引き起こしたものであることは私たちは忘れてはなりません。

 だからこそ、自分一人で死ねばいいは、やっぱりずれているのです。
川崎殺傷「1人で死ねば」の声 事件や自殺誘うと懸念も」(朝日新聞2019年5月31日)

「事件が起きた28日の午後。フジ系の情報番組「直撃LIVE グッディ!」で、安藤優子キャスターが出演者に語りかけた。「社会に不満を持つ犯人像であれば」と前置きして、「すべてを敵に回して死んでいくわけですよね。自分1人で自分の命を絶てばすむことじゃないですか」。コメンテーターの北村晴男弁護士も「言ってはいけないことかもしれないけど、死にたいなら1人で死ねよ、と言いたくなりますよね」と続けた。」

 安藤氏の言う社会を敵に回してって、社会から阻害されていると思っているのですから、その容疑者にとっては社会は既に敵なのです。殺された方々にとっては筋違いも甚だしいのですが、後からの刑罰(死刑)ですら、全く抑止力はならないということでもあります。

 引き籠もりという社会的事象に対して、私たち社会は何ら有効な手立てをとることができていません。社会の中で居場所を失い、自暴自棄になっている人たち,、なりかけている人たちが社会の中に一定数、存在している以上、社会問題として考えなければ、こうした事件は繰り返されます。

 自分一人で死ねばいいとは、結局のところ、居場所がないんだからさっさと死ねと言っているだけです。このコメンテーターたちは、実際にそうしてくれれば喜ぶのでしょうか。

 昨日も引き籠もりの息子を父親が殺してしまったという事件がありました。
元農水次官「迷惑かけたくないと思った」 長男殺害容疑」(朝日新聞2019年6月2日)

「自宅で長男(44)を殺害したとされる事件で、●●容疑者が警視庁の調べに対し、「長男は引きこもりがちで、家庭内で暴力を振るうこともあった」という趣旨の供述をしていることが同庁への取材でわかった。「周囲に迷惑をかけたくないと思った」とも話しているという。」

 ただ引き籠もっているだけであればまだしも、居場所がないと感じている者にとってはその不満を他者にぶつけるという構図です。こうなってしまっては、誰にも相談できないし、相談したとしても現実の問題解決には至らなかったでしょう。外で何かしでかすよりは、という状況にまで追い詰められていたとすれば、いたたまれません。

2019年6月1日撮影

 米国ではまたも銃乱射事件が起きました。
米で今年150件目の銃乱射事件、バージニア州の市庁舎で12人死亡 4人負傷」(AFP2019年6月1日)

 今年で150件目ですか。あまりに病んだ社会です。

 日本は銃社会でないから、ここまでひどくはなっていないというだけで、病根は一緒。銃というものが野放しになっているからこそ、誘発された事件としかいいようがありません。それでも銃規制が進まないという歪んだ発想の中でますます混迷を深めていくでしょう。

 日本社会も考えなければならないときに、とっくに到来しているということを自覚しなければなりません。

 一人一人が居場所を見つけることのできる社会、一人一人が大切にされる社会、こうした社会を目指すべきであって、それは他人を蹴落とすことを前提とするような新自由主義経済社会、そこから生み出された格差社会の中からは、決して実現されることはありません。

 それがこの間、ずっと続いていたことではありませんか。社会の矛盾に目をつぶってはなりません。

あわせて読みたい

「川崎殺傷事件」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    清田コロナ不倫 球界も冷たい目

    WEDGE Infinity

  2. 2

    議員の保身? デジタル化せぬ国会

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

  3. 3

    真面目ゆえ命落とすナチス収容所

    紙屋高雪

  4. 4

    急患止めざるを得ない病院の悲鳴

    田中龍作

  5. 5

    共通テスト 鼻マスクで1人失格に

    ABEMA TIMES

  6. 6

    Amazon書籍レビューは中身より数

    Chikirin

  7. 7

    コロナ患者受け入れ 条件で断念

    中村ゆきつぐ

  8. 8

    スピルバーグ氏に見る残酷な一面

    Dain

  9. 9

    五輪判断 どう転んでも政府苦境

    内藤忍

  10. 10

    米議事堂襲撃 副大統領は間一髪

    WEDGE Infinity

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。