記事

安全基準の緩和と「自己責任」

 群馬県藤岡市の関越自動車道上り線で起きた、観光バスの単独事故が招いた原因は直接には、運転手の居眠りですが、その背景にあるのは、規制緩和後のバス会社の急増があることは、既に常識となっています。
 安全で格安であれば、消費者にとって利益であることは、その通りですが、だからといって、安全についても低コストを実現しなければ、結局は、「リスクの高い格安」ということにならざるを得ません。
 新自由主義者(市場原理主義者)は、競争さえあれば、値段が下がるかのように主張しますが、そこには「安全」という視点は一切、ありません。
 あるのは、事故が起きれば、事後的に賠償請求をすることができる、というだけのものです。
 また、そのような格安の観光バスを利用することも、その観光バス会社を利用したことは、消費者の自己責任ということになります。
 事前規制を取っ払ってしまう以上、当然の帰結になります。

 規制緩和を推進してきた新自由主義者たちは、今回の事態をどのように考えているのでしょうか。
 特に、小泉純一郎元首相の忠実な御用学者であった竹中平蔵氏は、今回の事故について、どのような感想を持っているのでしょうか。
 今なお、竹中平蔵氏は、当時の構造改革路線は正しかったと言うのでしょうから、堂々と、「自己責任」と言ってもらいたいものです。

 ところで、司法「改革」においては、事前規制社会から事後救済社会への転換を提言していました。司法審(佐藤幸治会長)は、2001年6月に、そのような提言をしています。
 それにのっとり、弁護士人口の激増路線を推進してきたわけですが、佐藤幸治氏は、「このような事件が起きれば早速、弁護士の出番だ、だから弁護士人口の激増路線は正しかった。」と言うのでしょう。
 このような人たちであれば、その頭の中は、凡人では理解できないような思考回路があるようですが、

 事前規制を取っ払った
   ↓
 観光バスの料金が下がった
  但し、事故が起きても、後から弁護士に依頼して救済してもらってね。
     どのバス会社を利用するかは、自己責任だからね!
   ↓
 事故が起きた。それっ、弁護士の出番だ。
   ↓
 やっぱり、弁護士人口の激増路線は正しかったんだ!
(但し、賠償金を回収しうるかどうかも、自己責任だよ)


 本当に、このような社会を日本国民は求めたとは思えません。
 今回の事故が起きても、なお格安の観光バスの利用する人が減らないとあります。
 しかし、それはその格安の観光バスを利用したいというより、利用せざるを得ないからです。
 格差社会の中で、賃金の減少が、安全でなくても、格安の観光バスを利用せざるを得ず、それは、食品の安全にも、同様のことがいえます。
 事前規制を取っ払い、格差社会を助長しておきながら、すべてを「自己責任」という言葉で合理化しようとする新自由主義(構造改革)者たち。
 格差社会の中で、安全も放棄せざるを得ない中で多くの国民が生活しなければならないこの社会は、明らかに異常です

※頂いたコメントを参考にしました。ありがとうございました。

あわせて読みたい

「高速バス事故」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    巣鴨の縁日開催に「理解できず」

    佐々木康彦 / ITmedia オルタナティブ・ブログ

  2. 2

    ロックダウン渋れば損失は巨大に

    岩田健太郎

  3. 3

    「アベノマスク」政策炎上の正体

    千正康裕

  4. 4

    日本は既に緊急事態宣言の状態か

    自由人

  5. 5

    15日で変異 コロナの性質に驚愕

    大隅典子

  6. 6

    田嶋陽子氏に「時代追いついた」

    NEWSポストセブン

  7. 7

    自民議員 ABC予想の証明を称賛

    赤池 まさあき

  8. 8

    アビガンで勝負に出た安倍首相

    天木直人

  9. 9

    各国と異なる日本の死亡者数推移

    小澤 徹

  10. 10

    エコバッグ禁止令 全米に拡大か

    後藤文俊

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。