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気になる「マリカー」事件の真の争点

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公表された地裁判決文の中の損害額の”ブランク”

さてそうなると、本件訴訟の真の争点はどこか? という話になってくるのだが、地裁判決をよく読むと、認容された「1000万円」という損害賠償額が、実は「一部請求」(「(被告らは)7490万円の損害賠償義務を負うところ,原告は,被告らに対し,その一部である1000万円の支払を求める。」というのが原告の請求原因の記載となっている)である(37頁)、ということに気付く。

地裁判決では、裁判所が使用料損害と弁護士費用を合わせ、原告の一部請求の額との関係では、あたかも〝ニアピン賞”といった様相の「1026万4609円」という数字をはじき出したのだが、これは責任自体を争っている被告側にとってはもちろん、原告にとっても、念頭においていた「全部請求」の額とは大きな乖離がある数字。

原告・被告双方が第一審の主張の中で示していたはずの損害額算定の基礎となる数字は、公表されている判決文の中では〝●●●”となっていることもあって、なかなか推し量るのは難しいのだが、シンプルに考えるならば、第一審での「完勝」を受けた原告側が控訴審段階になって請求額を増額し、被告側もそこを主戦場として激しく争っている、そのため、知財高裁も「中間判決」という形で「侵害論」の結論を早めに出した上で、「損害論」をじっくり審理する(あわよくば和解決着を狙う)という進め方になった、ということなのかな、という推測は働くところ。

原告としても本件訴訟で「損害を取り戻す」ことを主目的にしているわけではなく、「フリーライド商法」への〝一罰百戒”効果が達成できればそれでよい、というのがおそらく本音だろうから、メディア等での報道の動向も見ながら進めていく、ということになるのかもしれないが、自分としては、「侵害論」で事実上の決着がついた今、最終的に被告が支払わされる金額のスケールがどのあたりの線で落ち着くのか、「真の争点」の行方を気にしながら、本件をもう少し追いかけてみることにしたい。

*1:https://www.nintendo.co.jp/corporate/release/2019/190530.html

*2:民事第46部・柴田義明裁判長、http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/072/088072_hanrei.pdf

*3:他にも被告の商号登記の抹消登記請求等も行っていたが、口頭弁論終結前に被告が自主的に商号を現在のものに変更したため、この部分は判決で命じられるまでには至っていない。

*4:もっとも「日本語を解しない者」に関してはさすがに「広く知られていたとは認められない」としている(51頁)。

*5:なお、被告側は被告商標に対する異議申立てが特許庁によって一度退けられた、ということも抗弁の根拠事実としていたが、被告商標に対しては現在無効審判2件が係属しており、本件での裁判所の認定等も踏まえて商標が無効化される可能性も高いように思われる。

*6:リンク先の判決文の末尾に実際の写真等が出ているが、被告側の使っているコスチューム等は、原告のキャラクターを精緻に再現したもの、というよりは、〝何となくそれらしい雰囲気を出した”という類のものだけに、著作権侵害を主戦場とすることなく、不正競争防止法だけでカタを付けた、というのは事案の解決の仕方としてはベストだと思うところである。

*7:この点に関しては、代表取締役A氏を代理しているのが内田・鮫島法律事務所だけに、さすが・・・と思わざるを得なかった。

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