- 2019年06月02日 11:25
秋吉 健のArcaic Singularity:スマートホームでスマートライフを。MNOも注力するスマートホーム構想の現状や課題から「未来の住宅」と人々との関わり方について考える【コラム】
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スマートホームの現状と課題について考えてみた!
筆者がスマートホームの話題を積極的に追いかけるようになり、かれこれ3年ほどになります。それ以前からもスマートフォン(スマホ)を使った自宅鍵の遠隔施錠(スマートロック)や家電品の遠隔操作などは単発的に発表されていたものの、すべてをまとめて操作したり、その仕組みを使った「さらに先」の提案ができている企業は非常に少なかったと記憶しています。
一般的にスマートホームと言えば、上記のようなスマホを活用した遠隔操作や自動制御による家電品の管理および稼働などを想像しますが、移動体通信事業者(MNO)各社が構想しているスマートホームは、もっと大きく社会全体を巻き込むような規模なのです。そしてその構想は荒唐無稽な未来のお話でもSFでもなく、現実にすぐそこまで来ています。
感性の原点からテクノロジーの特異点を俯瞰する「Arcaic Singularity」。今回はスマートホームの現状と課題、そして未来について考えます。

スマートホームが日本の未来を作る
■スマートホームとは何か
そもそも、スマートホームとは一体何でしょうか。例えばエアコンを外出先から遠隔操作で起動したり、スマホ操作で自宅の施錠を行ったりすることもスマートホーム技術の一環ですが、それ単体ではあまり大きな意味はありません。
現在のスマートホームが目指しているものは「住む人に快適で健康的な生活のサポートを行う住宅および家電製品」であると定義することができるかもしれません。
単に家電品を最新テクノロジーによって動かすだけではなく、IoT技術と組み合わせ、そこに居住する人々の行動や健康の管理を行い、積極的に人へアプローチする技術となっているのです。

住む人を健康にする家、とは
スマートホームへのMNO各社の取り組みや方向性もまた、それぞれの企業の特色を活かした特徴的なものとなっています。
NTTドコモは横浜市が推進するIoT オープンイノベーションパートナーズ「I・TOP横浜」プロジェクトの一環として、2017年よりand factoryとともにスマートホームの実証実験を行っています。5月にも第3回実証実験の結果報告を兼ねた内覧会が開催され、実際に被験者がスマートホームに1週間滞在し、問題点の洗い出しや改善点の検討などが行われました。
NTTドコモの取り組みの特徴は社会基盤としてのスマートホームの実現です。NTTドコモが開発したIoTアクセス制御エンジン「デバイスWebAPI」を活用し、120社を超える企業とコンソーシアムを設立。各企業の製品を1つのプラットフォームで管理・制御することで、家をまるごとAIアシスタント化してしまうという非常に大きな構想です。

実証実験に用いられたコンテナハウス。床面には感圧センサー、戸棚には開閉センサーなど、さまざまなIoTセンサーが張り巡らされている

各機器はスマホアプリで一括制御される
過去記事:NTTドコモと横浜市、and factoryによる共同プロジェクト「未来の家プロジェクト」がスタート!AIとIoT技術で快適な暮らしをサポートする実証実験【レポート】
過去記事:NTTドコモと横浜市、and factoryによるスマートホーム実証実験「未来の家プロジェクト」が第2段階へ!IoT技術で得られた「気づき」やアイデアを写真や動画とともに紹介【レポート】
auはすでに事業としてのスマートホームをスタートさせており、今年3月にはフランスベッドとの共同開発による「睡眠モニタリング機能付き電動リクライニングマットレス」を発表しています。
この他にも「au HOMEデバイス」として睡眠モニターやスマートロック、スマート電球などを販売しており、専用のスマホアプリで一括して動作状況の確認や健康状態へのアドバイスなどを得られるようになっており、各IoT機器を「センサーでみまもりセット」、「声で家電コントロールセット」などのセット販売とすることで導入価格を抑え、それぞれのセットを一括購入した場合は月額490円(以下、全て税抜き)から利用できるようにするなど、ランニングコストの低減についても積極的なアプローチを見せています。

フランスベッドと共同開発したマットレス。内蔵された睡眠センサーが利用者の睡眠状態を記録し、スマホアプリに送信することで健康へのアドバイスを行う

au HOMEデバイスは、使いやすく用途に合わせてセット販売される
S-MAX:「au HOME/with HOME 説明会 2019 Spring」デモンストレーション1
動画リンク:https://youtu.be/K_sHHf6fYSI
S-MAX:「au HOME/with HOME 説明会 2019 Spring」デモンストレーション2
動画リンク:https://youtu.be/LEK6h30y-g0
S-MAX:「au HOME/with HOME 説明会 2019 Spring」デモンストレーション3
動画リンク:https://youtu.be/ZJOEca9mH7I
ソフトバンクの取り組みは、さらに実用主義に徹しています。
家全体のスマートホーム化やスマートホーム家電のセット販売によるサブスクリプションモデルの場合、導入への敷居が高いことがネックとなりますが、ソフトバンク(ソフトバンク コマース&サービス)ではスマートスピーカーによる家電制御を中心に「+Style」ブランドとして展開・販売しており、より導入しやすくユーザーの好みに応じて手軽に機器の追加が行えるスタイルでアプローチしています。

主に中国などから品質が良く低価格なIoT製品(スマート家電)を輸入し販売を行っている

スマート家電はGoogle HomeやEchoなどで音声操作する
過去記事:ソフトバンク コマース&サービスの「+Style」にスマート家電が多数ラインナップ!AmazonアレクサやGoogle Homeで音声操作&連携。発売記念セールも開催【レポート】
■データが視覚化されることのメリット
ここ1~2年の取材の中で、1つの気づきを得たことがあります。それは「スマートホームが人々に問題点を視覚化してくれることのメリット」です。
例えば大ヒットとなったiRobotのロボット掃除機「ルンバ」の最新型では、「スマートマッピング」と呼ばれる技術によって、掃除をした場所や時間の情報記録され、利用者のスマホアプリへと転送されます。
利用者はそれによって、ルンバがいつ・どこを掃除したのかを視覚的に理解することができます。

掃除箇所が視覚化されることで、掃除をやり残した場所の把握ができるようになった
スマートホームでも「データの視覚化」は積極的に活用されており、NTTドコモは実証実験の中で血圧や体重、食事メニューのカロリーデータなどを、スマホアプリだけではなく洗面所に設置されたミラーディスプレイへ表示することで、毎朝の支度の際に利用者が簡単にチェックできる仕組みなどを提案しています。
こういったデータの視覚化が利用者に与えるものは「気づき」です。普段であれば何気なく過ごしてしまう日々の食生活や運動不足も、メニューのカロリー表示とともに食事内容へのアドバイスを読んだり、ミラーディスプレイなどに積極的に表示されることで否応にも知ることとなり、「これはまずい。もっとカロリーを抑えないと」、「運動もちゃんとしなければ」と、利用者へ気づきを与えてくれるのです。
そしてそれは、スマートホームが目指す最大の目的でもあります。



