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オフショア・バランシング論の弱点:その1

今日の横浜北部はまたよく晴れました。朝晩がまだ涼しいのが救いですね。

さて、オフショア・バランシングについてまた一言。

トランプ政権が目指しているのかどうかはわかりませんが、そのやや撤退気味な姿勢から一つの可能性として見えてくる

「オフショア・バランシング」(offshore-balancing)

という大戦略レベルのオプションに対しては、当然ながらいくつかの説得力のある反論が存在します。

まず誰でも思いつくものが、

アメリカが撤退したら、その地域が不安定化する

というものです。そのネガティブな影響を強調するわけです。

その実例として使われるのが、なんといってもフィリピンにおける米軍のスービック海軍基地撤退です。

1991年フィリピン上院の判決を受けて駐留期間の更新を行わないことを決定されると、翌年後半までに米軍は完全に撤退することになるわけですが、その2年後にフィリピンが実効支配していたスプラトリー(南沙)諸島のミスチーフ礁に、中国が勝手に構造物を建造し、実効支配されて今に至っている事例ですね。

このような例を、リアリスト的な視点から

力の空白は埋められなければならないものだ

と見る意見もありますが、とにかくできた「空白」を誰が埋めるかで、その場所がモメる可能性が高くなるのは間違いないわけです。

もちろん中国側の動きや意図に気づいたアメリカがすばやくプレゼンスを戻しにくればよかったのかもしれませんし、同時期に撤退していたクラーク空軍基地の方は、2012年になってから米軍がようやく復帰しております。

いずれにせよアメリカのような国が、とりわけ戦略的に重要な地域において戦力を撤退させると、何が起こるかわかりません

そして国際政治において「予測がつかないこと」というのは、経済、とりわけマーケットなどにおいても、非常に嫌がられる要素であることは間違いありません。

このようなことを、2002年以降の国際金融用語では

「地政学リスク」(geopolitical risk)

などと呼んだりするわけです。

いずれにせよ、オフショア・バランシングのように

「米軍のような強力な国歌が戦力を(一時的にせよ)撤退させるのは、その派遣先の地域政治の安定性にとってはネガティブな影響が出やすい

という点が、OB論者たちの最大の弱点ということになります。

弱点はそれ以外にもいくつかありますが、時間もないので続きはまた明日。

(中心地)

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