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下げるべきはリスク 〜 食品中の放射性物質検査における独自基準について その3 ~

これまで、2回にわたって食品中の放射性物質検査における独自基準について考えてきました。簡単に振り返ると、独自基準に見合った管理体制をとれているのか(その1)。独自基準を設定しても、リスクは変わらないのではないか(その2)ということでした。


さて、それではリスクの程度が変わらないにも係らず、基準値を下げるという施策をとった場合、どのような問題が生じるでしょうか。そのことを示す資料をご紹介します。

農業環境技術研究所の第27回土・水研究会 リスク論から眺める 農業環境をめぐるトレードオフ (独)農業環境技術研究所 永井孝志


ここでは、放射性物質は取り上げられていません。農薬やカドミウムなど従来からのリスク論の対象だったものです。しかし、読むと分かりますが、放射性物質へのリスク管理においても通じる内容です。スライド資料からいくつか紹介してみましょう。

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英国におけるALARPの概念図、リスクに対し無制限に対処するわけではない
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ALARAで下げるべきはリスクであり、基準値の低減は手段の1つでしかない
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基準値の低減を求めすぎると費用対効果に問題が生じる
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コスト的に見合わない客土という方法を選択

さて、ここで基準値を下げることが目的かしたために、コストに見合わない客土(土壌の入れ替え)を選択してしまう、と紹介されています。実際、同様のことが福島で発生しています。4月28日付けの朝日新聞の朝刊に次の記事が掲載されていました。

〈耕論〉福島で食を考える 朝日新聞 http://digital.asahi.com/20120428/pages/shasetsu.html (ログイン必要)

ここでは、福島の果樹農家の方へのインタビューで果樹園の土壌を順次入れ替えている事を話しておられました。しかし、記事を読む限りでは、客土を行わなくても新基準を満たす可能性は高いように思われます。しかし、「安心」のため、本来なら必要のない客土という手段をとり、そのことで消費者への理解を求める形になっています。このように、基準値の果てしない低減を求めることは、多大な労力を必要とします。そのコストは被災地である福島の方々が中心になって負うことになります。しかし、忘れてはいけないのは、基準値の低減によって、私たち消費者のリスクには殆ど変化がないと言うことです。


本当に、基準値より低い独自基準を設定する必要があるのか、考え直す必要があると思います。

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