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「言葉で人を動かす技術を持っている政治家がほとんどいない」暴言・失言を繰り返す政界に橋下氏と石原良純氏が苦言

 今年に入ってから相次ぐ政治家の暴言・失言を受け、自民党が失言防止マニュアルを議員に配布、参院選に向けて引き締めを図っている。そんな中、発言が様々な賛否両論を呼び起こしてきた石原慎太郎元東京都知事を父に持つ石原良純氏と、政治家を退いてからもTwitterで"炎上"を巻き起こしている橋下徹氏が、政治家と言葉の問題について語り合った。

石原:自民党のマニュアルには"異議あり!"なんです。こんな風になってしまって恥ずかしいと思わないのかなと。自分が実現したいことや夢を人に語り、賛同を得て、仲間を増していく。それが本来の政治家のありようだったと思う。僕は政治家の家に生まれ育ったから、そのために自分の時間を削って力を注ぐことの大変さもわかる。

だから皆さんよりも、ある意味では"性善説"。だからこそ政治家が一番の武器である言葉を使えないというのは考えられない。政治家の質が下がったのか、それとも僕も含めたメディアが発言を切り取ってしまうのが悪いのか。ちょっと考え直さないといけないと思う。

橋下:良純さんの思いはその通りだと思う。本当は自分で言葉を研ぎ澄まして研ぎ澄まして最大限に使って、世の中を動かしていく。それが政治家。だけど政党を運営する立場としては、マニュアルを作らざるを得ない状況になってしまっていると思う。今の国会議員の9割に対しては「過激なことは言うな」って言ったほうが早い。

石原:塚田発言の「忖度」だって、とにかく使わないが当たり前。あの言葉で去年一年間、どれだけ揉めたか。みんなが忘れ始めていたときになんで使うのか。幼稚だと思う。

ただ、こういう風になったのって、ここ20年くらいだと思う。それ以前は国会答弁も含め、どちらかと言えば"こういうふうに喋っていればいいや"という感じがあった。小泉総理になってからは言葉でやりとりするようになったと思うけど、竹下総理だって"言語明瞭・意味不明"と言われていた。

突っ込む人もあまりいなかったし、"まあまあ、まあまあ"っていう中で政治は回っていたから。ただ、本当はそれっておかしい。今回のマニュアルには"一行に切り取られるから気をつけよう"と書かれているが、一行で伝えられるのが正解だと思う。

橋下:昔は自民党一党で世の中を動かしていたし、失言くらいで政権が崩れることもなかった。それが小選挙区制になって、発言一つでも大きく動く状況になってきた。

ただ、言葉を使うことで世の中を動かせるのは石原慎太郎か橋下徹だけ(笑)。暴言だとか言われてきたけど、政治家として世の中に賛否両論、波を起こすのはすごく重要。全て計算して、切り取られることも全部わかった上で、だから。石原慎太郎さんのその能力は半端ではなかった。

石原:やっぱりうちの父親は作家だから、言葉のプロ。今の時代に若かったら、もっと活躍できたと思う。でも、その石原慎太郎をもって「彼は演説が上手い、天才だ」と言わしめたのが橋下さんだから(笑)。

橋下:いやいや(笑)。

石原:政治家になるなら当たり前の情熱があって、それをちゃんと伝えられる技術があるかどうか。選挙演説をちゃんと聞いている人ってあまりいないかもしれないけど、僕は家業だから聞くことが多かった。やっぱり面白い人と面白くない人がいる。だからテレビの討論番組なんかを見ていても、同じ政治家しか出てこない。

橋下:わざと過激なことを言って波風を立たせ、動かしていくという技術を持っている人はほとんどいない。思いだけでなく、膨大な勉強をして、50人、場合によっては100人のメディアに何を言われても理論的に答えられる、という状態を整えないといけないから。

反論するだけの勉強量もないのにビーンボールを投げちゃうから、ツッコまれてアワアワとなる。石原慎太郎さんにしても、知識を持った上で準備をして、どのライン行こうかと攻めていた。

研ぎ澄まされている一流のタレントさんのようにはいかなくても、球を投げるときには、"こういえばこう切り取られる"と分かった上で言わないと。僕も、「今の政治に必要なのは独裁だー!」というのが繰り返し流されて、「それでも市長って言えるのか!」と批判を受けた。

だけど、当然あそこを切り取られるとわかった上で言ったし、「いやいや、独裁と言われるくらいの力が必要でしょ」、と言い返そうということでバンと言った。それをわかってないひとが上っ面でハレーションを起こすようなことを発言するから良くない。

維新の会もそうだったけど、こっちは一つ発言をするときに一万くらい考えているのに、そこをわかっていない若手がただ真似をして、過激なことをTweetしようとするから。それがメディアに反撃されて謝罪に追い込まれてしまう。やっぱり全ての人ができることじゃないから、言葉で動かしていく人材と、賛成・反対の"一票要員"は区別しないといけないと思う。

石原:だからこそメディア側は隠れている奴を引っ張り出してきて、「君はどう思う?」とやらないと。その説明ができない政治家はナンボのもんだと、それを聞けないメディアもナンボのもんだと。だから日本は政治とメディアがとろい国だと言われる。残念ながら、そういう現実がある。

橋下:すごく勉強している記者はガンガン突っ込んでくるし、大阪ではバチバチにやってお互いに切磋琢磨していたから「そうだな、じゃあ変えます」「その意見、採用します」というやりとりがいくらでもあった。

それが永田町は政治家もしょうもないレベルだから、東京の、生ぬるい、肩書だけで商売やってるヤツが大阪に来て、しょうもない感想とか問うてくる。「アホか!」って。「報道ステーションです」って言ったら、皆が「ははーッ」ってなるかと思ったら大間違いだって。

それから、状況を読まずに自分の喋りたいことだけ言う政治家の演説はダメ。誰も聴かない。芸人さんだって、状況を見ながら、雰囲気に合わせて喋るはず。僕だって、今日は高齢者が多いなとか、子育て世代が多いなとか、寒いから早く帰りたいだろうなとか、そういうのに合わせながら喋っていた、でもそれができない人が多い。

石原:大きいネタが4つくらいあったとして、今日は興味がなさそうだからこっちを下げてこれとこれ、つなぎにこのちっちゃいネタを入れて…みたいに、構成を考えるはず。どこでこれを言えば笑うかな、とか。それを考えずに、どこいっても全く同じことを言う人がいる。話し手として信じられない。(AbemaTV/『NewsBAR橋下』より)

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