現有勢力を大きく割り込みそうな政党は解散を何とか忌避したいだろうが、解散権の濫用に当たらないケースでの解散まで絶対にダメだ、ということは言い難い。
現行憲法に解散権の行使について何の明文の規定もないのに憲法の解釈で内閣の解散権を肯定する現在の内閣法制局や官邸の論理構成には法律実務家の一人として不満があるのだが、だからと言って7条解散が法的に無効だ、などとは言えない。
恣意的な解散、ただただ政治を混乱させるような解散、国会の存在を否定するような解散はいけないが、国民の信を問う必要が生じた場合の解散にまで異議を述べることはしない。
せいぜいが、解散権の濫用はいけませんね、と注意喚起するくらいである。
解散権が行使されたら、法的にこれを争う手段がない。
私は、憲法を改正して解散権行使の要件を明記した方がいいという立場に立っているが、憲法改正反対派の方々はそういう憲法改正にも反対されるのだろうか。
この通常国会では憲法審査会の審議が進まず、憲法改正の議論も相変わらず滞ったままのようである。
少なくとも国民投票法の改正ぐらい実現すべきだろうと思っているが、結局現在の国会では憲法改正の議論自体が行われない、ということになる。
これでは国会が機能していないじゃないか、これでいいのか、国民に信を問うべきではないか、ということになると、結局国会を解散して国民の信を問うべきではないか、ということになる。
国会の審議が進まない状況を根本的に打開するための一つの手段として、解散はあり得る。
不信任案の提出だけで解散する、というのは、確かに若干こじつけの趣があるが、国会の審議が野党の抵抗で進まないから国会を解散する、と言ってしまえば、それなりに解散の大義があることになる。
野党の皆さんがどんなに嫌がっても、解散はある、と踏んでおいた方がいいだろう。
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- 2019年05月31日 14:29