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- 2019年05月28日 07:39
「風邪薬」の正体とは?
■風邪を治す特効薬は存在しない
このところの寒暖差の激しい異常気象のせいもあるのか、久しぶりに風邪をひいてしまった。熱は微熱で少し咳が出る程度なので、いつも通り、会社に行き、病院にも行っていない。一応、市販の風邪薬を飲んではいるものの、効いているのか効いていないのか判らない程度の軽い風邪といったところだろうか。
ブログが書けないほどの風邪ではないので、この機会に風邪についての豆知識でも書いておこうと思う。
まず初めに、風邪を治す特効薬というものは世の中に存在していない。
こう言うと、「えっ?!」と驚く人がいるかもしれない。
病院に行って処方される風邪薬も、市販の風邪薬も、残念ながら、風邪のウイルスを退治する薬ではなくて、風邪の症状を和らげるという意味での薬である。
咳を止める薬、熱を冷ます薬、鼻水を抑える薬など、風邪の諸症状を抑えるのが、現在の風邪薬の役割であって、風邪のウイルスを退治することはできない。その証拠に、風邪の特効薬が発明されれば、ノーベル賞ものの快挙だとも言われている。
「俺はいつも風邪薬を飲んで風邪を治しているぞ!」と反論する人がいるかもしれないが、残念ながら、風邪を直接的に治す薬が無いことは医者も認めている厳然たる医科学的事実である。
では、風邪はなぜ治るのかと言うと、風邪をひいた本人の自己免疫力が風邪を治している。これも厳然たる事実である。
発熱というものは、風邪のウイルスと戦うために、身体が自ら体温を上げている状態であり、ウイルスが熱を出しているわけではない。人間の免疫力は体温が上がることで活発化するため、身体の免疫細胞がウイルスとの臨戦態勢になっていることを意味している。
こんなことは誰もが知っているであろう初歩的な医療事実だが、中には知らないという人もいるかもしれないので、念のため、書かせていただいた。
■風邪をひいたら風呂に入ってはいけないのか?
昔から、「風邪をひいている時は風呂に入ってはいけない」と言われることがある。私も子供の頃から何度も言い聞かされたが、個人的には、これも疑わしいと思っている。高齢者や乳幼児であれば、高熱がある時は(体力を奪われるので)風呂に入ってはいけないと言うなら理解もできるのだが、体温を上げることが風邪のウイルスと戦うために必要なことだと考えれば、通常は風呂に入って身体を少し温めた方が風邪の治りも早くなるのではないかと思う。
解熱剤というのも、40度近い熱があるならともかく、37~38度程度の熱なら、無理に熱を下げない方が風邪の治りも早くなると思われるし、実際にそう言っている医者も大勢いる。
無論、こちらも高齢者や乳幼児であれば話は別だが、普通の健常者であれば、熱を出し切った方が治りも早いと思う。私自身、風邪を引いて熱が出ても風呂に入り、解熱剤は飲まないようにしている。
■「風邪をひいたら、1に睡眠、2に○○○」の意味
さらに付け加えると、風邪に抗生物質(抗菌薬)は効かない。これも知っている人が大半だと思っていたが、私の周りでは知らない人の方が多いようだ。
「風邪に抗生物質は効かない」という真実を言うと、《何を馬鹿なことを言っているのか…》と怪訝そうな目で見られることが多いので、この場を借りて、書いておこうと思う。
風邪を引いて病院に行くと、風邪薬だけでなく、抗生物質まで処方されることがある。以前、私もこれに対し何の疑問も抱くことなく飲んでいたことがある。
今でも、病院で「抗生物質をもらったからもう大丈夫だ」と安心して帰路に着く人がいると聞くが、残念ながら、抗生物質は風邪のウイルスには効かない。これも厳然たる事実である。
黄色ブドウ球菌などに感染した扁桃炎等なら抗生物質は有効な治療手段と成り得るが、風邪のウイルスは細菌ではない。抗生物質が効くのは細菌のみであり、ウイルスには無効だ。
おそらく、風邪ではなく、細菌が原因の肺炎だった場合などを考慮して、保険として抗生物質が処方されているのだと思われるが、普通の風邪には抗生物質は効かない。ここでは省略するが、抗生物質には様々な副作用があるため、軽い風邪程度で頻繁に飲むのは考えものだ。
「風邪をひいたら、1に睡眠、2に○○○(薬の名前)」と言われる。
このキャッチフレーズからも分かる通り、薬よりも睡眠の方が重要だということは、結局、風邪は自分自身の免疫力を高めて治すしかなく、風邪薬は、その助けをしてくれる補助的な存在でしかないということでもある。
る。