記事

安易な「第三者委員会主義」への戒め。

2/2

短いコラムながら、上記以外のコメントについても、まさに「御意!」と申し上げるしかない見事な現状分析と指摘だけに、読者の皆様にも是非ご一読をお薦めしたいところである。

・・・で、これに自分自身が気になっていることを付け加えるならば、そもそも「何でもかんでも第三者委員会にやらせる、という風潮自体がおかしくないか?」というのが今の問題意識。

これが、例えば調査前にメディア等に大々的に報道されたような事案で、中村弁護士も指摘されているような「世の中の期待」(これは当然、不祥事なんだから皆頭下げろ、首にしろ、といった〝悪い意味”での期待である)の重圧がのしかかっているような場面であれば、「中立的な第三者」に調査を委ね、解明された事実の下できちんと責任判断をしなければいけない、という要請は当然出てくる。

また、調査対象者が会社の最高幹部レベル、という場合も、社内調査だとどうしても萎縮効果が生じてしまうから、第三者の力を借りる、というのは理解できるところ。

しかし、最近の「第三者委員会報告書」の中には、まずきちんと社内の統制システムを機能させて調べ尽くすのが先なのでは?と思うものも結構見受けられるような気がする。

特に、現場レベルで起きている類の話*3を調査対象とするケースなどは、現場のことを分かっている社内の人間がまずきちんと調べた上で進めていかないと、いくら「第三者」を立てても、なかなか問題の本質にはたどり着けずに終わってしまうだろう。いくら「弁護士」の看板を持っている人でも、誰しもが調査対象の会社なり、業界なりの内情に必ずしも通じているわけではないのだから・・・。

また、子会社で起きた不祥事の調査を親会社が「第三者委員会」に投げる、というのも、個人的にはちょっと違和感があって、それ自体がグループガバナンスが機能していないことを表してしまっているように思えなくもない。

もちろん、自社のリソースだけでは十分な調査ができない、という時に外部のコンサル会社等から人を出してもらう、というのは有効な対策だし、フォレンジックのような踏み込んだ調査をするために専門的な業者を使うのも当然あり得ることだとは思うのだけれど、そこであえて「法律事務所」に依頼をかける必要は本来ないはず。

業界的には、上記で中村弁護士が釘を刺したような風潮もある、と聞くところだし、一義的にはそれが依頼を受ける側のモラルの問題だ、ということは言うまでもないのだけれど、そもそも依頼する側が安易に「第三者委員会」に依拠してしまうことも、問題の背景にはあるような気がしてならない。

自分は、何らかの「不祥事」と言えるような事象が起きた時にもっとも評価されるべきは「立派な第三者報告書を作らせた会社」ではなく、「トップが自ら主導して的確な社内調査を行った会社」だと思っている。そして、多くの場合「外野から見守る」立場になる我々が、対象会社の安易な「第三者委員会」への逃避を招かないような風潮を作っていかないといけないのではないかな、と、今強く感じているところである。

*1:もちろん、自分が興味がなかった、というだけで、記事としていいとか悪いとか、という話ではないので、誤解なきよう・・・。

*2:記事リンクは、https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20190527&ng=DGKKZO45212770U9A520C1TCJ000

*3:品質偽装などはその典型だし、先般話題になったNGT48の話なども、本来は中できちんと処理すべき話だと思う。

あわせて読みたい

「不祥事」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    BLOGOSサービス終了のお知らせ

    BLOGOS編集部

    03月31日 16:00

  2. 2

    なぜ日本からは韓国の姿が理解しにくいのか 識者が語る日韓関係の行方

    島村優

    03月31日 15:41

  3. 3

    「いまの正義」だけが語られるネット社会とウェブ言論の未来

    御田寺圭

    03月31日 10:09

  4. 4

    カーオーディオの文化史 〜ドライブミュージックを支えた、技術の結晶たち〜

    速水健朗

    03月30日 16:30

  5. 5

    BLOGOS執筆を通じて垣間見たリーマンショック後10年の企業経営

    大関暁夫

    03月31日 08:27

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。