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バロンズ:貿易戦争、テクノロジー業界に飛び火

Barron’s : Trade War Involves Huawei And U.S. Tech Companies.

バロンズ誌、今週のカバーに決済関連企業を取り上げる。シリコンバレーの間では、2013年にモバイル・ウォレットいわゆる”おサイフケータイ”に関する議論が白熱したものだ。米国で、アップルやその他IT企業がデジタル決済で金融機関に食い込むと考えたためだ。

18ヵ月後、アップル・ペイが登場したが、アップルは既存のクレジットカード会社であるビザやアメリカン・エクスプレスと提携、既存の決済システムに破壊的な変化をもたらすに至っていない。

既存の決済サービスの代表格であるクレジットカード会社は、むしろ成長を続けている。例えばビザは、2018年に5,400万もの加盟店舗数を抱え、カード発行枚数は33億枚に及ぶ。IT関連企業でクレジットカードに相当する発展を達成したのは、オンライン決済サービスを提供するペイパルだろう。

同社の加盟店舗数は2,200万、利用者数は2億7,700万人を数える。株価でもFAANG(フェイスブック、アマゾン、アップル、ネットフリックス、グーグルの親会社アルファベット)は過去3年間で127%高だったが、クレジットカード会社ビザ、マスターカード、そしてペイパル、MVPの3社は154%高とFAANGを上回る。今後、決済業界はこのままMVPが優勢を保つのか。詳細は、本誌をご覧下さい。

当サイトが定点観測する名物コラム、アップ・アンド・ダウン・ウォール・ストリート、今週は米中貿易摩擦の激化とそれに伴う経済の影響に焦点を当てる。抄訳は、以下の通り。

貿易戦争、不吉な局面に突入—The Trade War Takes an Ominous New Turn.

貿易戦争に勝利することは有益でも容易でもない、特に21世紀においては——トランプ大統領は2018年、そのような発言を行った。足元の貿易摩擦は、米国と勢いづく中国との世界覇権をめぐる戦いとも言える。同時に、貿易戦争での武器は関税という伝統的な手法から、テクノロジーに移った。

つまり、かつては追加関税引き上げに伴い、企業や消費者は以前より高い金額で購入するか、買い控えするか選択する余地があった。 現状では、主要な売り手が主要な市場から締め出される状態となっている。

華為技術(ファーウェイ)がまさにこれに相当し、米大統領令により禁輸措置を受けた。米国がファーウェイを米国内の5G市場から締め出すだけでなく、輸出規制に踏み切った結果、アルファベット傘下のグーグルはアンドロイドの技術支援を停止した。ファーウェイに90日の猶予が与えられるなか、同社は独自のオペレーション・システム(OS)を開発する意向を表明したが、アンドロイドのために作成されたアプリが作動する保証はない。

その他企業からも取引停止に追い込まれたファーウェイは、数ヵ月分の在庫があったとしても、半導体などハードウェアでも四面楚歌に追い込まれたも同然だ。

しかし、米国のテクノロジー企業にも大きな打撃を与えうる。ファーウェイは米国から半導体が必要なように、米企業にとってもファーウェイは大事な取引先であるためだ。

習主席は、2018年7月にトランプ政権が中国の通信機器大手である中興通訊(ZTE)への禁輸措置の解除に至ったように、自ら交渉に乗り出す可能性がある。トランプ陣営は、既にファーウェイ問題が通商交渉の取引材料となる示唆を与えている。両氏は、6月末の20カ国・地域(G20)首脳会議に出席する予定だ。

〜5月25日から国賓として訪日したトランプ大統領、安倍首相とゴルフを楽しみつつ日米貿易合意を7月頃予定の参院選まで待つ意向を表明。

通常、交渉というものは両者に利する環境を生み出す。しかし、習主席とトランプ大統領は共に敗北を喫するだろう。問題は、どちらが最も打撃を受けるかだ。

ロンドンに拠点を置くTSロンバードのエレノア・オルコット氏は「歴史が証明するように、禁輸措置により米国のテクノロジー企業を防衛することは、最終的にこうした企業の競争力を阻害する」と語る。同氏によれば、中国企業から米国テクノロジー企業のアクセスを禁じた折、海外企業を米国から遠ざけたという。また、米企業自体も研究開発(R&D)費用を削減してしまった。

米株市場は、ファーウェイへの禁輸措置をにらみ下落している。ダウは2011年以降で初めて、5週連続の下落を喫した。米10年債利回りはというと、23日に一時2017年10月以来の水準へ低下した。原油先物や銅先物も急落し、米5月IHSマークイット製造業PMI・速報値も分岐点となる50を維持するとはい、2009年9月以来の水準に落ち込んだ。

米経済を振り返ると、アトランタ地区連銀のGDPナウによれば、4〜6月期の成長率は年率1.3%増と、前期の3.2%増から大幅に鈍化する見通しだ。Fedは景気減速局面で対応し、利下げに踏み切るのだろうが、貿易戦争では、どうなるかは神のみぞ知る。

——米国のテクノロジー企業のうちファーウェイとの取引停止を表明したのはグーグルのほかクアルコム、ブロードコム、ザイリンクスなど。このうち、ブロードコムでファーウェイへの売上比率が5.3%と最も高いとされ、その他ではマイクロン・テクノロジーが13.0%でした。

そもそも、ファーウェイが2018年に行った部品調達700億ドルのうち、米国企業が110億ドルを占めたのだとか。米企業からの輸出が金額だけではなく、どれほどコアな部品かが問われるわけですが、ひとまず6月末のG20が今後のカギを握っていることでしょう。

(カバー写真:Open Grid Scheduler/Flickr)

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