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日本の不景気は女性差別が原因だ その1

女性がどのように働くか。

これは家計でも国でも、大きな問題となる。家計では女性がどれ位稼ぐかが、生活の安定度に大きく影響する。FPが書く本は例外なく女性が働く事を推奨する。これは当然のことで、一人で稼ぐより二人で稼ぐ方が安定度は高いからだ。 一般的には、税金や社会保険料(年金や健康保険)が発生しない103万~130万円未満で稼ぎを抑えるのは珍しくないが、専業主婦向けの優遇策は国の財政を考えれば10年もすれば全て消えている可能性がある(年金の3号被保険者や配偶者控除は散々廃止の議論がなされている)。こういった事情も女性が働いた方が良い理由だ。

ただ、働いた方が良いですよというアドバイスは非常にやりにくい。そんなことは本人には分かりきっているし、既婚女性が職を探して働く事が楽で無いと知っているからだ。小さい子供がいれば就業はさらに困難になる。

フォーリンアフェアの記事には以下のようにある。

ベビー・ギャップ 出生率を向上させる方法はあるのか
低い出生率は、先進世界の福祉国家体制だけでなく、国の存続そのものを脅かすことになる・・・男女間の差別解消に真剣に取り組まず、女性のための適切な社会サービスの提供に熱心でなかったイタリアや日本のような国は出生率を上昇させられずにいる。これに対して、GDP(国内総生産)の約4%程度を、子育ての支援プログラムにあてているフランスやスウェーデンは出生率の低下を覆すことに何とか成功している。出産奨励プログラムには大きなコストがかかるし、伝統的な家族の価値を支持する人々の怒りを買う恐れもある。だが、低出生率の罠にはまってしまえば、これまでとは不気味なまでに異なる人口減少という未知の時代へと足を踏み入れることになる。

記事にあるとおり、残念ながら日本は国を挙げて女性差別をしているようにしか見えない。女性管理職の割合は全体の8%で、職位が上がる程割合は下がる。部長に至っては3.1%だ。M字カーブと呼ばれる、出産・育児によって就業率が著しく下がる傾向も顕著だ。

かつて「ヤバい経済学」という本が統計データだけで相撲の八百長を暴いた事があったが、このデータを見れば分析するまでも無く女性差別がいかに酷いかわかるだろう。先日もある大手企業が子持ち女性が働きやすい環境を整えていて効果を上げている、という記事を読んで、ひっくり返りそうになった。管理職女性が急増した、とあるからどれくらいかと思ったら2%から3%に増えたという。割合で見れば1.5倍だが、全体では誤差の範囲だ。

池田信夫氏は、市場経済は弱肉強食ではなく、高度な管理が必要とされるシステムだと指摘する。市場経済を弱肉強食だと批判する多くの人が誤解している点はここだろう。これはサッカーと同じで、試合が成立するにはルール・ルールを守らせる審判・ルールを守る選手がそろって初めてゲームは成り立つ。しかし、女性の雇用(特に子持ち女性)に関しては、ゲームが成立していない。

女性が働く環境に関しては、明らかにもっと「管理」が必要だ。具体的にはクオータ制(管理職・役員に一定割合の女性割当の義務付け)など、労働環境において強制的にでも女性差別を減らす政策だ。

本来、市場経済に過剰な国の関与はいらないというのが正しい考えだが、女性差別によって生まれる非効率性は「市場の失敗」だ。

女性の働きにくさは、公害のように取引の当事者がコストを負担しない形で問題が発生している。つまり多くの企業が既婚男性に過酷な働き方を要求する事によって、女性に家庭での大きな負担が発生する、それにも関わらず女性が働く際には男性と同様な働き方を求められる、という状況だ。

既婚女性や子持ち女性が面接を受ける時には「子供が生まれたらどうするの?」とか「子供が風邪を引いたらどうするのか?」と必ず聞かれる。既婚男性や子持ち男性はそんなことを聞かれないにもかかわらずだ。

日本型雇用は専業主婦に支えられた男性が150%の状態で戦う事が前提のやり方だ。夫と子供(場合によっては親の介護まで加わる)を支えながら70%とか60%しか力を発揮できない女性が150%の男性と互角に戦えというほうが無理だ。150%で戦うことを強要される男性にも苦しい状況であることは間違いない。

この問題を解決するには、上に書いたクオータ制のような施策以外にも、サービス残業の問題や労働市場の非効率性など、解決すべき問題は沢山有るが、特に必要な事が市場経済の促進だ。

以前、資本主義は女性差別を助長していると指摘した、ジェンダーを専門とする社会学者の発言が話題になったが、これは間違いだろう。上で引用した記事の通り、女性差別をすると経済は悪化する。企業であっても、現在のような女性管理職の割合が1割未満しか居ないという事は、社員の数が男女半々ならば、本来昇進すべきでない無能な男性が4割以上も管理職についていて、昇進すべき有能な女性が4割以上も昇進していないという事なのだから、企業活動にとってプラスになるわけもない。

したがって、企業や政治家に向かって批判をするならば「あなた方は資本主義を信奉しているなら企業や国の成長にマイナスとなる女性差別を即刻やめるべきだ」と指摘するのが正しい批判のはずだ。

中嶋よしふみ
シェアーズカフェ・店長
ファイナンシャルプランナー
シェアーズカフェのブログ
ツイッターアカウント @valuefp

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