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トランプ大統領、農産物の関税撤廃を主張(西谷玲)

首相官邸。(撮影/編集部)

10連休が終わった。安倍晋三首相はこの間に訪米、トランプ米大統領と会談した。妻のメラニア氏の誕生日を祝い、トランプ氏とゴルフもした。トランプ氏は5月に訪日も予定されていて、喫緊の課題はなかったが、トランプ氏は貿易交渉について、訪日時までに合意にこぎつけることをつきつけ、農産物の関税撤廃も主張した。

安倍首相のトランプ氏との「ゴルフ外交」は海外からは奇異の目で見られていて、それで相手から要求されてばかりとはますます情けない。

こんなふうにトランプ氏から要求されて、「お買い物」をしたものの代表的な例がF35戦闘機だ。米ロッキード・マーチン社製で、高いステルス機能と電子戦能力を持つ。通常離着陸型のA型と、短距離離陸や垂直着陸が可能なB型がある。

F35といえば、A型が4月に、航空自衛隊三沢基地所属の1機が青森県沖で墜落したのが記憶に新しい。操縦していたのはベテラン隊員だった。

そもそも、F35は米議会付属の政府監査院が昨年、未解決な欠陥が1000件近くあると指摘していた。そしてすでに国内配備された13機のうち5機で、機体の不具合により7件の緊急着陸が発生している。なぜ今回このような事故が起きたのかについては詳細な調査と分析、原因の究明が必要だ。

だが、結果が出るどころか機体の大部分の引き揚げすらまだ実現しない前に、岩屋毅防衛相は4月のシャナハン米国防長官代行との会談で、調達計画を変更しないと早々と表明した。

 F35はもともと、42機を配備する予定だった。だが、安倍首相とトランプ氏が2018年11月にアルゼンチンで会談した際、「F35戦闘機を多く買うことについて感謝したい」とトップセールスを展開した。その結果、1兆2000億円以上かけてA型63機、B型42機の105機が追加されることになった。増大する中国軍の脅威が念頭にあったが、トランプ氏が再三強調する米国の対日貿易赤字の縮減につなげる狙いもあった。

この大量追加購入は完全に官邸主導で行なわれた。防衛相経験者によれば「航空自衛隊は100機なんて望んでいなかった。詳細な検討プロセスもなく、いきなり官邸が決めた」という。

最近、防衛装備品で急増している調達のやり方が対外有償軍事援助(FMS)という取引契約だ。08年度は637億円だったが、16年度は4858億円になった。

FMSは政府間の取引で、重要な機密が含まれる装備品の場合、米政府が窓口となって契約を進める。日本は最新鋭の装備品を手に入れられるが、代金は日本政府の先払い。いつ装備品を受け取れるかも明確ではない。先払いで日本が米国に払いすぎた費用が精算されない問題も起きている。

会計検査院は、米国と交渉して改善するように求めている。購入した後も、定期点検や整備などは米国によって行なわれることが多く、当然その人件費は日本の出費となる。今後の原因究明も軍事機密が多いため、どれほど日本側に情報が提供されるかわからない。

安倍首相はトランプ氏の言うことを聞くばかりではなく、言うべきことを言わねばならない。何度もゴルフをするほどの親密さを強調するならなおさらだ。

(にしたに れい・ジャーナリスト、2019年5月10日号)

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