- 2019年05月25日 08:48
トランプとバノンの対中政策は正しい
2/2再び繰り返すが、貿易はウィンウィン状態になりえる。ところがその一方が勤勉に働きつつも同時に不正をしていれば、その勝利はそもそもゆがんだものとなってしまうのだ。
貿易が玩具やソーラーパネルのようなものだけであれば、われわれはあえて見過ごすこともできる。ただしそれがF-35や5G関連の通信機器となれば無視できない。
しかもこれは目新しい問題でもないし、そこまで深刻ではない。それより重要なのは、われわれが「デュアル・ユース」の時代に生きているという点だ。
「デュアル・ユース」の世界は、モンテレーの海軍大学院のトップの戦略家の一人であるジョン・アキーラの言葉を引用すれば
「われわれに力と繁栄をもたらしてくれるあらゆるものは、同時にわれわれに脆弱性をもたらすもの」
である。
とりわけ中国のファーウェイなどによって製造された5G関連の機器は、 データや音声を超高速で伝達させることができるために、もし中国の諜報機関が中国の国内法によってアクセスを求められた場合には、スパイのための機器としても使うことができる。
実際のところ、 今回のファーウェイに関する議論において注目されるようになったのは、ファーウェイがこれまでエリクソンとノキアによって支配されていた5Gインフラの世界市場において立場を強めつつあるという点だった。
アメリカのクアルコム社は、ファーウェイに対してチップとソフトウェアの両方を供給しつつも、同時に世界において競合しているのだ。
ところが中国政府は、国内においてファーウェイとの他社からの挑戦--これは国内・国外の両方の企業を含む--を排斥し、これによってファーウェイを安価かつ速く巨大に成長するのを可能にしたのだ。
ファーウェイはこの影響力を使って西側の通信関連会社に低価格競争で挑み、その世界市場における台頭しつつある支配力を使って、次世代の5G通信のスタンダードを、アメリカのクアルコムやスウェーデンのエリクソンではなく、自社のテクノロジーで固めることを狙い始めた。
さらにいえば、デュアルユースの世界では、アマゾンエコーと同じようなファーウェイの「チャットボット」を自宅で使えば、その話がそのまま中国の軍事諜報機関に伝わることも懸念すべきだ。
われわれが中国からテニスシューズやソーラーパネルを買い、中国がわれわれの大豆とボーイングを買っていたような古き良き時代には、中国が共産主義か毛沢東主義、社会主義、さらには彼らが不正をしているかどうかは、誰も問題にしなかった。
ところがファーウェイがクアルコムやAT&T、そしてベライゾンなどと次世代の5G通信の分野で競争をし、しかも5Gはデジタルコマースや通信、ヘルスケア、交通、そして教育などの新たな土台になるとすれば、価値観、その価値観の違い、最低限の信頼性、そして法律なども重要になってくるのだ。
これはとりわけ5Gテクノロジーやその基準などが、ある国で一度採用されてしまうと、それを取り替えるのが極めて難しくなるという点で正しい。
さらにもう一つ付け加えておきたい。それは、われわれアメリカと中国との間に存在する価値観と信頼度の差は、縮まるのではなく、ますます広がりつつある点だ。
欧米諸国は貿易分野における中国側の不正を、ある程度までは見逃してきた。なぜなら中国が経済的に繁栄--貿易と資本面での改革によるもの--してくれば、政治的にもオープンになるはずだ、と思い込んでいたからだ。
十年前までは、まさにこのような状態であった。
ところが中国に長年住み、アメリカの中国国内のビジネスコンサルタントとして最も知見を持ったジェームズ・マグレガーによれば、ここ十年間で明らかになったのは、北京が「改革して開放する代わりに、改革して閉鎖的になりつつある」ということだという。
豊かになり、グローバル化における「責任あるステークホルダー」になる代わりに、中国は豊かにはなったが、南シナ海の島を軍事拠点に変えてアメリカを追い出そうとしている。そして顔認証のようなハイテクのツールを使って、独裁主義的な統治をますます効率よく行えるようにしている。
このような話のすべてが今回の貿易交渉において頂点を迎えつつある。
米中が今後互いにさらなる信頼を築けるかどうか、そしてグローバル化かこのまま進み、新たな時代にともに繁栄できるかどうかは、まだ誰にもわからない。
いずれにせよ、グローバル化は崩壊を始めるであろうし、そのおかげでわれわれはともに貧しくなるはずだ。
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こうして見ると、思ったよりも悲観的なのが印象的です。
この中国に対する厳しい見方、とりわけ「もう不正をするのはいい加減にしろ」という不満は、たしかにバノンと共通するものがありますね。
今回の米中貿易戦争案件が、いかにこれまでの国際的な常識を越えたものであるのかがよくわかります。
下の動画では、ドイツのロボット大手、クーカ社の中国による買収についても触れてますね。
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