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コンパクトカーの〝常識〟を破る「MAZDA3」

あのトヨタでさえ、マツダのクルマづくりには一目置いている。なぜか。〝小さな会社〟ならではのチャレンジに、学ぶことが少なくないからだ――。デザインから車体設計、エンジンまで、すべてを一新した新世代商品の第一弾「MAZDA3」にも、数々のチャレンジがあるんですね。

※「MAZDA3」

「MAZDA3」には、ファストバックとセダンの2つのボディタイプがあります。どちらのタイプも、ひときわ目を引くのは、鮮やかな動きのあるボディーサイドです。

光の移ろいやリフレクションの動きによって、力強く、かつドラマティックな表情を生み出しています。

一般的に、クルマのボディーラインには、溝や折れ目などのキャラクターラインを入れ、動きを表現するのですが、「MAZDA3」には、キャラクターラインがありません。これが、最大の特徴といえるのではないでしょうか。

以前、マツダ常務執行役員でデザイン・ブランドスタイル担当の前田育男さんから、「アーティスティックな表現をするのに、従来通りのキャラクターラインを入れた造形でやってしまうと、うるさくなってしまうんですね。だから、キャラクターラインを入れずに、光の当たり方で表情を出すようにしました」と聞いたことがあります。

ところが、これが簡単ではないんですね。


「MAZDA3」に見られるようなボディーサイドの鮮やかな動きを出すには、デザイン部門と生産部門が息の合ったつくり込みをする必要があります。なかでも、クレイモデラーとデジタルモデラーの「共創活動」は欠かせません。

手でつくったクレイモデルをデジタルデータに置き換えて、リフレクションの検証をし、再びクレイモデルをつくる作業を何度も繰り返しながら、デザイナーが意図した光の反射をつくり出す、といった作業です。
CADデータと照らし合わせて、デザイナーが意図した光の反射が再現できているかどうかを検証するには、「ゼブラ投光器」という道具を使います。

また、ボディパネルをプレス成型するための金型づくりも重要です。加工精度も問われます。

「鉄板をプレスしたあと、定着させるのがむずかしいんですね。曲げてももとに戻ろうとする力が働くからです。光は正直なので、ズレは許されません。ごまかしは一切、きかないんですね」と、「MAZDA3」主査の別府耕太さんは述べました。

「MAZDA3」のデザインが、生産部門を大いに泣かせただろうことは想像に難くありません。

「『いったい、どうやって量産するんだ』と生産部門は悲鳴を上げました」と、別府さんは振り返りました。

チーフデザイナーの土田康剛さんは、何度も生産部門に足を運んで、デザインの意図を生産現場に理解してもらうために時間を割いたとは、別府さんのコメントです。

「工場にもっとも足を運んだデザイナーといってもいいかもしれません」

キャラクターラインのないデザインは、ジャパンオリジナルです。欧州メーカーは、とてもマネできないといわれています。その独自性は、世界に存在感を示すカギといっていいでしょう。

デザイントップの前田さんは、「まだまだですよ。これからもっと極めていきます」と「MAZDA3」の発表記者会見の席上で述べましたが、マツダデザインをさらに極めるには、デザイナーだけでなく、生産部門もまた、これまで以上に進化していかなければなりません。そのチャレンジはすでに進められているといいます。

大手自動車メーカーに、ここまでこだわったクルマづくりができるかどうか。トヨタがマツダにほれ込む理由がわかるような気がしますね。

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