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米国防総省が”念力兵士”創出に資金供与

ニューズウィークが、兵士の脳にチップを埋め込んでコンピューターと接続させ能力を拡大したサイボーグ兵士に仕立てるという研究を米国防総省の研究機関DARPA(国防高等研究計画局)が進めているという話を報じたのは3年前のことでした。

その成否は報じられていないようですが、なんと、今度はチップを埋め込むことなく、兵士の脳の働きで、コンピューターもキーボードも介さず、直接、攻撃用ドローンなどのマシンを操作できるようにするという、一見、奇想天外な研究プログラムを立て、選ばれた6つのチームに資金供与していることをDARPA自身がこのほど明らかにしました。これはDARPAのプレスリリースに添えられたイラストです。


そのプレスリリース、責任者Emondi博士のプログラム紹介と、これを報じたIEEE(米国電気電子学会)の機関誌SPECTRUMの記事などを総合するとこういうことです。

まず、プログラムの名称はN3と言います。Next-Generation Nonsurgical Neurotechnology(次世代非手術神経技術)の頭文字3つを取ったもの。

選ばれたのはカーネギーメロン大、ジョンズホプキンス大、PARC(パロアルト研究所)、Teledyneテクノロジー、ライス大、Battelleという一流どころ。

計画期間は4年以内とされ、供与される資金総額は明らかにされていませんが、SPECTRUMの記事では、そのうちの2チームについては「1948万ドル」「1800万ドル」の報告があると記しています。だとすれば、総額は100億円をはるかに超えるでしょう。

研究は、フェーズ1では、1年かけて頭蓋骨を通して脳みそに刺激を与え、記録したり、取り出したりする能力があることを論証することだそう。磁力、電気、超音波、光などの最新知識が総動員されます。

それに成功したチームはフェーズ2に進み、18ヶ月に亘って、脳と連動するデバイスを開発して、動物で実験するそう。そしてフェーズ3では人間でテストする段取り。

もし、このプログラムがうまく行けば、何が可能になるのか。Emondi博士によれば「(攻撃用に作られた大量の)ドローンの操作」「アクティブなサイバー防衛システムのコントロール」「複雑な軍事作戦の間にコンピューターと協働してうまくマルチタスクを成し遂げる」ことなどをあげています。

それを、脳とデバイスを結ぶインターフェースを組み込んだヘッドセットを装着することで実現させようというのです。必要な時だけ被ればいい。そして思いのままに攻撃用ドローンを自由自在に操作できる。これは世にいう「念力」の戦場での実現ですね。

冒頭に挙げた「脳にチップを埋め込む」方法について、博士は「最も効果的で最高の方法だが、手術が必要だ」とし、その広がりに限界があるのに対し、N3は手術を必要としないので「より多くの兵士が活用できる」と、その利点が幅広い兵士に適用できることを挙げています。限られた「サイボーグ兵士」じゃなく、多数の「念力兵士」誕生というわけです。

Emondi博士はSPECTRUMに「これはDARPAにとって海図なき分野だ」と語ったそうですが、DARPAは、今のインターネットの原型ARPANETを作り、GPSも開発して通信の新世界を開いてきたという輝かしい歴史があります。本人たちは「奇想天外な研究」だとは思っていないのでしょうね。DARPAのホームページにも、こうありますから。


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