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21世紀の摩天楼・深センのビル群は驚嘆に値する‐日本の高度経済成長を凌ぐスピードで工業化一直線の中国の象徴

私は、いわゆる「励ます会」は2012年の2冊の本(「TPPはいらない」「原発廃止で世代責任を果たす」)の出版記念パーティ以外に開催していない。従って、1回行くと100万円近くなる海外出張は極力控えてきた。しかし、17年総選挙後の野党の再編を巡り働きまわり、クタクタになり体調を崩した反省から、活動のペースを下げることにし、その一環としてこの10連休の後半、近くの中国深センへ視察にいって来た。もっと長く行きたかったが、懲罰委員長として4/30の天皇の退位、5/1の即位の儀式に参加することとなり、後半だけの慌ただしい日程となった。

深センは長らく私の脳裡を離れなかった都市である。なぜなら1979年 鄧小平の改革・開放路線の象徴として経済改革開放特区に指定されて以来、目覚しい発展を遂げ、その名を世界に轟かせているからである。更にもう一つ、その陰に隠れる農民・農村・農業(いわゆる三農問題)とのかかわりにも強い関心があったからだ。ただ、これの件についてはほんの一部すら垣間見ることができなかった。

<鄧小平の改革・開放路線がキッカケ>

78年四人組の追放から復活した鄧小平は、日中平和友好条約の批准書交換のため来日し、日産の座間工場を訪問し、新幹線に乗り、中国国民に日本の姿を見せつけた。これを受けて、日本のODA、円借款が検討され始めた。中国が自力更生から、西側の経済体制を受け入れる方針に転換したのである。

円借款を契機とした、交通インフラ、エネルギー政策の体系づくりが始まった。最初のうちは、日本の発展と同じく、廉価な労働力を活かした繊維。その後食品加工、電気製品、半導体等の電子部品、自動車と発展していった。この間朱鎔基首相の下、2001年にはWTO加盟を果たし、広東省の中でも深センは民間企業が重きを占めるようになっていた。

<躍進する中国を象徴する人工都市深セン>

深センは湿地だらけののどかな漁村・農村で、人口は僅か3~4万人だったが、僅か40年の間に躍進する中国を象徴する大都市となった。

深センのある広東省は中国の面積の6.6%しかないのに、人口は1億1.16千万人と8%も占めており、日本の総人口に匹敵する。中国最大の消費市場であり貿易拠点でもある。その中心である深センは1,253万人(11.2%)と広東省の1割近くの人口を抱え、GDPも25%と4分の1に達している。

香港に近かったのが幸いしたのだろう。中国最大級のコンピューター・電子・通信関連産業が発達した。これらのIT等の製造業のみならず、近年は金融センター、物流センターとしての役割も重要性を増している。

中国にはまだまだ国有企業が多い中、99%が民間企業でアメリカから完全締め出しを食らった話題の華為(Huawei ファーウエイ)、騰訊(Tencet)等世界を舞台に活躍している。また、主要都市の中で最も起業が盛んな都市であり、中国の特許出願件数の約半分(46.6%)を占めている。それだけでは足らず、精華大学と連携をとり、研究も支援している。

<僅か40年でのどかな農漁村から世界有数の近代都市に変貌遂げた深セン>

道路は広く、街路樹も大きく、中央分離帯の生垣も整然としており、ゴミも落ちていない。とても発展途上国とは思えず、ニューヨークにいるのかと錯覚しそうになった。特区の指定からまだ40年である。急速に発展した人工都市であるにもかかわらず、人の往来も多く、町全体が活き活きしていた。秋葉原を真似て創りその30倍の規模の華強北の電気街・電気ビルは、機械好きには格好の場所で、あらゆる部品が揃っており長時間視察しても飽きることはなかった。こうしたところから新しいビジネスが生まれるのであろう。

今回は、短い時間の中でエコカーを手掛けるBYD、そしてAI(人工知能)の典型的企業Malong等を訪問した。この2つの企業を簡単に紹介しておく。

<世界一の電気自動車(EV)会社BYD>

Build Your Dreamsから命名したというBYDは、まさに夢を実現した企業といえる。創業は1995年とまだ四半世紀も経っていない。安徽省の農家に生まれたBYD創業者の王 傳福は、中国一の電池メーカを築き上げていたが、2003年 秦川自動車(国営企業)を買収し、電池と自動車の融合に乗り出した。そして2017年には、世界一の電気自動車(EV)会社にまで成長した。中国という巨大市場を擁している中、中国政府の積極的なEVへの移行政策も功を奏したのである。今やライバルの少ない、大型バス市場にも参入し、世界60ヶ国に輸出している。日本でも京都や福島で走っている。

渋滞の激しい都市間交通に向いているというモノレール(BYDではSky Shuttle busと呼ぶ)の開発に乗り出している。深センもこうしたEV化を支援し、タクシーや路線バスはすべて「緑ナンバー」のエコカーという徹底振りである。取締役の劉学亮氏によると、BYDは環境汚染、渋滞等の社会問題に対処することも念頭に研究開発を行っており、世界共通の難問解決に貢献することを企業の目的としているという。ただ経済成長だけを目指すのではないという姿勢の正しさに胸を打たれた。

日本では未だガソリン車が主流であり、彼我の差に驚かされた。トヨタは売上高3兆円を超えたというが、日本の自動車業界はEV化では完全に中国や世界の後塵を拝している。

<ITのメッカも牽引するMalong>

正直いって、Malongの説明はIT音痴の私にはそれほどよく理解はできなかったが、同社は極めて精度の高い画像認識AIの技術を持っている。その認識能力は人間と同等で、世界トップクラスだそうだ。これにより、顔認証は勿論のこと、買った商品をバーコードを読み取ることなく金額計算し、小売店を無人化できる。また、脊柱側弯症診断等病気の診察にも活用できる。更に膨大なデーターから我々の体形も測ることが出来るという。

世界が注目するイノベーティブな企業の一つとされており、Amazon、NVIDIA等そうそうたる世界企業が同社の後援企業となっている。日本からもソフトバンクが37億円の投資が行われたそうだ。当日は、共同創業者のアメリカ人のMatthew Scott氏も顔を出してくれた。投資の面でも人材の面でも国際化しており、10年後にはBYD同様に世界有数の企業になっているかもしれない。

<中国の光と影>

私が、アメリカと勘違いしかねない摩天楼という光の部分に感心したことはいうまでもない。しかし、やはりその陰に隠れる目には見えない負の部分が気になった。つまり、もとから住んでいる人のごく普通の農民・漁民のことである。更に農村から都市に入り込んだ農民(農工あるいは農民工と呼ばれる)は、工場の労働者や飲食店等のサービス業で相変わらずの低賃金で働いているに違いない。しかしこの影の部分は、中国語もできず時間も限られている私には今回は調べようがなかった。(この件は次号で論ずる)

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