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元文部科学事務次官の前川喜平さん招き勉強会を開催


 立憲民主党は22日、政務調査会長主催の勉強会を国会内で開催。元文部科学事務次官の前川喜平さん(現代教育行政研究会代表)を招いて「憲法と教育行政―立憲民主党に期待する教育政策について―」をテーマに話を開きました。

 冒頭、あいさつに立った逢坂誠二政務調査会長は、「教育は、国家が存立するために欠くことができないもの。ところが、いま教育が非常におかしな状況になっている」と危機感を表明。今月10日に成立した、政府・与党が「大学無償化」法と喧伝する「大学等における就学の支援に関する法律」に触れ、教育費を下げる、無償化は必要だとの認識を述べた上で、同法にある支援策によって現在授業料の減免措置を受けている学生が対象外になる可能性があること、政府が認めた大学等のみが対象となることなど問題点を指摘。「こうしたことを含めていまの教育の課題、問題点について前川さんから話を聞きたい」と述べました。


 前川さんは、「38年間文部省、文部科学省で教育行政をやってきたが、教育と教育行政とは区別して仕事をしなければならない、教育行政官ではあるが教育者ではないというつもりで仕事をしてきた。教育行政は教育を支えることが仕事であって、その最終的な目的は人々の学習権を保障することだと思って仕事をやってきた」と振り返り、教育行政は憲法に基づいて学習権保障を進めていくことであり、それに当たっては「やらなければいけないこと」と「やってはいけないこと」があると言明しました。

 「教育行政としてやらなければいけないこと」としては、憲法第26条にある「教育を受ける権利」「教育の機会均等」の実現であり、この「等しく教育を受ける権利を有する」の「等しく」を具体的に示しているのは、憲法第14条より広い意味での、「経済的地位」という言葉が入っている、教育基本法の「人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位または門地によって差別されない」ことだと説き、「しかし、現実には厳然として差別がある。これは憲法26条の精神にもとる状態がずっと続いてきている。教育行政にいる者として改善することが当然やらなければならない仕事だと思ってきたが、なかなか実現しなかった」と述べました。

 「教育の機会均等」の第一歩が、民主党政権での高等学校の実質無償化だと評価する一方、経済的に厳しい家庭の子どもたちへの支援という意味では「給付型奨学金制度」の導入とセットでやるべきだったと主張。第2次安倍政権で同制度が実現したことの意義は認めつつも、その際の財源の求め方がおかしかったとして、全体としての所得再分配政策のなかで財源を生み出すべきだったと指摘しました。

 政府が今国会で強行した、いわゆる「幼児教育の無償化」や「高等教育の無償化」に関しては、問題点とともに優先順位が間違っていること、そもそも日本では国際的に見て幼児教育、高等教育における高財政支出の割合があまりにも低いことが根本的な問題だと指摘。子どもの貧困を解消するためには、貧困状態にある家庭への経済的支援に加えて、子どもを見守る社会的、文化的な環境の整備として、子ども食堂や学習支援等の取り組みを支援することが大事だと述べました。

 前川さんはまた、憲法26条2項の義務教育に関する規定について、現行では子どもが学校に行くことが義務であり、行かないことが悪いように捉えられかねないとして、すべての将来的には「国は、法律の定めるすべての人に無償の普通教育を受ける機会を保障する義務を負う」といったように、国が義務を負うという形で書き直すべきだと表明。すべての人が「無償普通教育」を受ける権利を持つことこそが、憲法が求める状態だと説きました。

 「やってはいけないこと」としては、「教育の自由を侵すこと、不当に介入したり干渉したりすること」だと述べ、学習指導要領解説の改定や道徳の教科化、教科書検定の基準改定など安倍政権下で進んでいる教育改革を問題視。「教師自身が学問の自由を持っている。自ら学習者であってほしいし、学び続ける先生こそがいい先生だ」と強調し、中央教育審議会など中立性や客観性を担保されるべき審議会の委員選定は、恣意的な判断が介入できないようにする必要があると訴えました。現在のこうした教育の行きつく先は戦前の修身、教育勅語の復活だと指摘、「戦前回帰が進んでいく。阻まなければ危ない」と警鐘を鳴らしました。 

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