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【読書感想】小林カツ代伝 私が死んでもレシピは残る

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小林カツ代伝 私が死んでもレシピは残る (文春文庫 な 81-1)
作者: 中原一歩
出版社/メーカー: 文藝春秋
発売日: 2019/04/10
メディア: 文庫
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Kindle版もあります。

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内容紹介
伝説の「肉じゃが」「わが道をゆくワンタン」「黒豆」……没後5年を経た今も愛され、つくり続けられるのはなぜか。戦後を代表する料理研究家・小林カツ代。「家庭料理のカリスマ」と称された天性の舌は、どのように培われたのか。レシピ付き傑作評伝。
解説・山本益博

「小林カツ代という人は天才でした。紀元前、紀元後ではありませんが、カツ代前、カツ代後という言葉があってもおかしくない」(本文より)。

【目次より】
第一章 料理の鉄人
第二章 小林カツ代の家庭料理とは何か?
第三章 大阪大空襲
第四章 カツ代を育てたミナミの味
第五章 料理研究科・小林カツ代誕生
第六章 母として、女としての葛藤
第七章 天命

 僕は自分で料理をする、ということにあまり興味がなかったので、小林さんの名前と顔は知っていても、「有名な料理研究家」というイメージしかなかったのです。
 それでも、この本のなかに出てくる、『料理の鉄人』に、小林さんが出演した回のことは、よく覚えています。

 誰に挑戦するのか、と思っていたのですが、相手は中華の鉄人・陳建一さんで、テーマ食材は「ジャガイモ」というのをみて、これは番組側が有名な料理研究家に「忖度」したんだな、と思ったものです。

 結果は小林さんの勝利だったのですが、「そりゃ、いちばん弱い鉄人(陳さんすみません)で、中華ではあまり見ない食材がテーマだからなあ」って。

 それ以来、小林カツ代さんには、あまり良いイメージはなかったんですよね。
 
 後年、小林カツ代さんが「料理」というか、「女性のライフスタイル」に与えたさまざまな影響を知り、驚かされました。

 小林さんは、それまで、「お店の料理を家庭で再現する」ことを主眼に置いていた「料理番組」を、時間がない主婦が、効率的に、おいしい料理を、手に入れやすい材料をつくるためのものに改革していった人でもあるのです。

fujipon.hatenadiary.com

 そして、小林さんは、自らを「家庭料理」のプロだと認識しており、家庭料理はレストランで提供される料理とジャンルが別なだけで、けっして「格下」ではない、という啓蒙活動を続けてきたのです。

 料理研究家は、単に料理を作ることが目的ではない。家庭の台所という環境や事情を考慮し、それに見合った「手法」を開拓することも重要な仕事なのだ。けれども、どうしてカツ代は家庭料理というジャンルの確立に心血を注いだのだろうか。

 それは、カツ代自身が二児の母であり、右手に仕事、左手に家庭を持ち、忙しさに振り回されつつ、何とか均衡を保とうと右往左往した「ヤジロベエ」だったからに違いない。

カツ代は常々「料理は残酷だ」と言っていた。満足な料理を家族に提供できなかった日の情けなさ、惨めさ。それは、カツ代自身が、旧姓である「浅野」から、結婚して「小林」となり、主婦として初めて台所に立ち、料理がいかに大変な家事なのかを、心と体で思い知ったという実体験があったからだ。

 カツ代は生前、こんな言葉を残している。

「お金を払って食べるプロの料理は、最初の一口目から飛び切りおいしくなくてはならない。一方、家庭料理は違う。家族全員で食事を終えたとき、ああ、おいしかった。この献立、今度はいつ食べられるかなって、家族に思ってもらえる必要がある。家庭料理のおいしさは、リピートなんです」

 何度も何度も家族にリクエストされて、そのレシピは、その家の味となって家族の舌に記憶されるというわけだ。

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