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【読書感想】ロジスティクス4.0 物流の創造的革新

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 自動運転なんて、まだまだ先の話だろう、と思っていたのですが、早ければ、あと5年くらいで、自動運転トラックが実現する可能性があるのです。
 著者は、「完全に自動運転だけで物流を維持する」のは、すぐには難しいので、ある程度人間のサポートを必要とするだろう、とも述べていますが。

 しかしながら、高速道路での部分的な自動運転であっても、物流のコスト構造に相応のインパクトを与えることは間違いありません。長距離トラックのドライバーを「長時間運転」という重労働から解放できるからです。走行中に寝ることも、会社から指示を受けることも、副業をすることも可能になります。特定の区間、「ただトラックに乗っているだけ」のアルバイト的なドライバーが増えるかもしれません。結果として、トラックドライバーの人件費は確実下がります。


 個々の労働者として考えると、仕事はラクになるし、自由な時間も増えるけれど、仕事は減るし、給料も下がる、というのは、はたして良いことなのかどうか疑問ではあります。
 それでも、この流れを押しとどめていくことは、もう難しいですよね。効率化できた企業が「勝ち組」になっていくでしょうし。


 さらに、消費者のニーズをあらかじめ予測し、それに合った商品を準備する、ということも行われるようになってきています。
 注文される前に、その客さんが買いそうなものを、あらかじめ近くに準備しておくのです。

 アマゾンは、ユーザーの情報をマーケティングに活かすことにも積極的です。スマートスピーカー”アマゾン・エコー(Amazon Echo)”は、人工知能”アレクサ(Alexa)”を搭載しており、音楽の再生だけではなく、メッセージの送信、天気予報の確認、レストランの検索、家電製品の操作、アマゾンでの買い物といった様々な機能を提供していますが、ユーザーの情報を入手するための端末としての側面もあります。アマゾン・エコーが設置されていれば、その音声情報や登録データを通じて、住所、家族構成、家にある家電製品、好きな音楽・食事、普段よく見ているテレビ番組、最近の話題った多様なユーザー情報を入手できるからです。アマゾン・エコーの普及を通じて、住環境や家族構成に応じた戦略的なプロモーション、商品・サービスの垣根を越えたタイアップ、テレビの前にいる視聴者の属性に応じたCMの入替なども可能になるわけです。そう考えると、アマゾン・エコーは、消費者の家の中での行動を見える化し、マーケティングに活かすことのできるデマンドチェーン系のプラットフォームと捉えるべきなのかもしれません。

 こういうのは、「なんだか見張られているみたいで、気持ち悪い」のですが、使ってみると便利なのは間違いないので、結局、多くの人が受け入れていくと思われます。
 便利さと安さを拒絶するのは、本当に難しいから。

 米国の3PL(サード・パーティ・ロジスティクス)事業者であるジェンコ(GENCO)/現フェデックス・サプライチェーン(FedEx Supply Chain)も「物流+商流」で自社ならではの価値を提供しているプレイヤーです。同社は、返品されたものを回収し、必要に応じて返金処理を行うとともに、通常商品やアウトレット商品として再販売可能なものを選別した上で、再梱包・再出荷する、リバース・ロジスティクスをコアビジネスとしています。元々はその作業を代行するだけでしたが、現在では返品されたものを買い取るサービスも提供しています。荷主からすれば、再販売の手間を解消できるだけではなく、早期に資金を回収できます。他方、ジェンコからすると、安値で買い取り、高値で販売すれば、物流サービスを提供しただけのときよりも多くの利益を得られます。リバース・ロジスティクスの最大手であり、返品されたもののマーケットプライスを一番よく知っているジェンコであればこそのビジネスモデルといえるでしょう。


 ジェンコは、2015年に大手物流会社のフェデックス(FedEx)に買収され、買い取った商品を中国などの新興国で売るようになったそうです。
 人間というのは、いろんなアイデアを思いつくものだな、と感心せずにはいられません。
 
 現時点では、人は「モノ」を食べなければ生きていけないし、デジタルデータで送れないものは、人の手に届けるしかないのです。
 そんな「制限」のなかで、未来の物流は、どこまで行くのだろうか。

 

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