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日本の若者たちが"恋愛不要"になった理由

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■恋愛離れの理由6 親との仲が良すぎる

【原田】男女ともに選ぶ側に回ったという話や、インスタのストーリーが恋心を冷めさせるという話など、いくつか「若者の恋愛離れ」の今の時代っぽい原因が出てきたけど、他にも若者の恋愛離れの原因になっている今っぽいことってある?

【Cさん】「親子仲の良さ」が恋愛離れに影響していると思います。今の若者は親子仲がとても良いと思います。

【原田】え? 親子仲が良いと恋愛離れするの? 確かに今の若者たちは親子仲が本当に良くなってきているよね。例えば、「母の日市場」が年々かなり伸びている(図表1)。この主たる要因は、昔は青年男子が母親にプレゼントを贈る、なんてケースは少なかったのに、今は至極当たり前のことになっていたりするから。

母の日市場、過去最高を記録

 

【Cさん】私も周囲の友人たちも、片思いの段階で両親に恋話をしますし、恋人ができたら両親に紹介するのが普通です。また、恋人にしたいと思う人は、両親に紹介して認めてもらえる人が良い、と言う友人も多くいます。そうなると、女・男遊びが激しそうな人ではなく、誠実で将来の見通しが明るそうな人を好むようになると思います。個人の嗜好で選ぶなら理想は低くても良いのですが、両親のことを考えると自然と理想が高くなってしまうのではないでしょうか。

【原田】確かに、まず前提として、今は親子仲が本当に良くなっているよね。僕の「マイルドヤンキー論」の重要なポイントの一つがそこにあるんだけど、かつて親に反抗することが多かった「ヤンキー」層が、親と仲良しな「マイルドヤンキー」層に変わった。なぜ、親子が昔より仲良くなったかは拙著『ママっ子男子とバブルママ』(PHP新書)に詳しく書いてありますが、要は昔のように古くさくて口うるさい親像が大きく変わってきている、ということはありそうです。

昔の「お見合い結婚」は個人と個人の結婚というよりも、家と家との結婚に近いものもあったと思うけど、今は親子仲が良くなって家と家との結婚に近くなっているのかもしれないね。ただし、昔の「お見合い結婚」のように、良家かどうかというステータス面というより、「親とも相性が合うかどうか」が恋愛や結婚の緩い前提条件になってきている可能性があるね。

親と子供が主従関係にあった時代に主流となっていた結婚スタイルが「お見合い結婚」。そして、子供が親との主従関係から逃れる時代が「恋愛結婚」だとすると、親と子供が対等なお友達関係になった今の結婚スタイルは「親も婚(親にも認定されないといけない結婚)」と言えるかもしれない。

昔は条件が良ければ親も認定してくれていたケースが多かったと思うけど、今は相手の親と相性が合わないといけないから、下手すると昔の「お見合い結婚」よりハードルが高くなっている可能性があるね!

■恋愛離れの理由7 昭和・平成型の“男らしい男”が減少

【Bさん】私は、今まで付き合った人数は3人。はじめて彼氏ができたのは中学1年生の時です。高校の時に二人目の彼氏と付き合って別れ、最近まで交際していた彼氏は、私のほうに好きな人ができたので振りました。

【原田】きっと大学生ということを考えると平均的な恋愛経験なんだろうね。今の好きな人はどんなところが好きになったの?

【Bさん】尊敬できるところです。彼は大学で野球サークルに入っていて、頑張って活動しているところがかっこよかったんです。二人で出かけるときはいつも行く場所を調べて決めてくれるし、しっかりしています。一方で、別れた彼氏のことは全然尊敬していませんでした。デートの時は全部私任せで、全く引っ張ってくれませんでした。

【原田】僕も20年間、若者研究をしていて年々感じていますが、女性を引っ張っていく昭和・平成型の男らしい男は、君たち令和世代の中では本当に少なくなってきているよね。

 少なくとも今から20年前頃までは、男女関係で男性が引っ張る、というのは当たり前のことでした。本当は引っ張るのが得意でない男性でも、社会からそう強要されていたと思います。

しかし、今は男性のほうが引っ張らないといけない、という感覚も若者の間で少なくなってきているし、事実として、自ら引っ張る男性も少なくなってきています。

どうして告白してくれないのか、どうしてプロポーズしてくれないのかと男性にヤキモキする女性が、昔以上に多くなってきている感覚があり、年々こうした恋愛相談を受ける件数が増えています。

今、ネットフリックスやフジテレビの深夜にやっている「あいのり Asian Journey」(2018年)は、1999年の放送開始直後の「あいのり」(フジテレビ)と比べると、男性から女性の告白シーンが大幅に減っていて、女性からの告白が多くなっています。また、男性が男同士の関係を最重要視し、男同士でお肌の手入れや眉毛の手入ればっかりしていて、恋愛する意欲が感じられないと、ある女性メンバーがぶち切れるシーンもあるくらいです(笑)。

こうした状況下、引っ張るタイプの男性が今の若者の中にいると、同世代の女性たちから希少価値があるとしてえらく高く評価されるようになっていると思います。

男尊女卑の感覚が今の若者より強かったものの、事実として引っ張ってくれていた昭和・平成型の男性。男女平等の感覚が強くなり、優しくなっているけど、どこか頼りない令和型の男性。どちらが女性にとって理想の男性像に近いんだろう?

昭和・平成型の男性が減り、令和型の男性が増えている中、少なくとも過去より若者が恋愛や結婚がしにくくなってしまっていることは事実です。

さて、次回は若者のデート事情について聞いていきます。

(サイバーエージェント次世代生活研究所 所長 原田 曜平 構成=梶塚美帆)

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