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巨人・澤村拓一投手の一軍昇格に球団内も賛否両論 - 新田日明 (スポーツライター)

是か非か。巨人・澤村拓一投手の一軍昇格が波紋を広げている。出場選手登録された17日の中日ドラゴンズ戦(ナゴヤドーム)で3点リードの9回から登板すると三者凡退で終わらせ、981日ぶりのセーブポイントをマーク。さらに翌18日も9回から2試合連続の登板で2安打を許しながらも無失点に封じ、勝利後にはベンチ前でチームメートたちとハイタッチを交わした。チーム事情でリリーフへの再々転向となったが、脆弱なブルペン陣を救う力投を見せたことで首脳陣の評価は上々のようだ。


(laymul/gettyimages)

宮本和知投手総合コーチは17日の試合後、澤村の登板内容について報道陣に「涙が出そうになった」と思わずポロッと口にした。ここまで右腕が二転三転で配置転換させられた背景を考えれば、投手コーチとしては確かにそう言いたくなるのかもしれない。

だが、やはりこのタイミングにおける澤村の一軍昇格には異論が飛び交っているのも事実だ。一部週刊誌の報道によって4月中旬に澤村が東京・新宿の繁華街で飲酒後、見知らぬ男性に暴力行為を働いていたことが判明。相手側と和解が成立したとはいえ、大きな不祥事を引き起こしたことに変わりはない。

しかも澤村は2014年にも同じように酒に酔って一般男性に暴力を振るう飲酒トラブルを引き起こしている。わずか5年の間に2度もこのようなグラウンド外での〝飲酒暴行事件〟を起こしながら、出場停止処分などの厳罰が与えられることもない。そしてこのような喧騒の中でも、しれっと一軍へ戻って来られる巨人の環境は極めて特殊と言わざるを得ないだろう。

ちなみに一部週刊誌による報道で澤村の2度目の暴力沙汰が明るみに出たのは同誌発売日の6日。この飲酒トラブル発覚で〝渦中の人〟となりながらも、それから僅か11日後の17日に澤村は一軍再昇格を果たしている。これでは多くの人が「モラルがないのでは」とツッコミを入れたくもなるのも当然といえば当然かもしれない。

そう考えると澤村に対して宮本コーチが「涙が出そうになった」と発した言葉にも美談とは受け取れず、やはり大きな違和感を覚える人は多いようだ。

澤村の一軍合流によって投手陣の中に過去の黒歴史を呼び起こされそうな面々もいる。まず1人目は今季ここまで先月23日から今季4勝目で足踏みし、勝ち星に見放され続けている山口俊投手だ。巨人への移籍1年目となる2016年7月に飲酒トラブルで書類送検され、球団から残りのシーズンの出場停止と減俸処分を言い渡され、大きな非難を浴びたのはまだ記憶に新しい。

ブルペンを支えている高木京介投手も野球賭博事件に関与し、NPB(日本野球機構)側から1年間の出場停止処分を受けたものの、マイナスから這い上がって再び今の立ち位置を築き上げた。

Gの黒歴史リレー

球団内からは次のような声も出ている。

「この山口と高木を含む一軍投手陣の中に2度目の飲酒トラブルを引き起こした澤村が騒動発覚直後にもかかわらず入ってきたことで一部のネットユーザーたちが、ヘンなところにスポットを浴びせようとしている。

たとえば山口―高木―澤村という〝Gの黒歴史リレー〟の実現で、すでに一部でも話題になっていますよ。重い出場停止処分を食らってから復帰を果たしている山口と高木にとっては、ロクなペナルティも与えられずに一軍昇格を果たした澤村の存在は心中穏やかでないかもしれない。場合によっては自分たちの過去の〝罪歴〟が澤村の一軍再合流によって蒸し返されてしまうわけだしね」 

それだけではない。澤村が2度目の飲酒トラブルについて「チームメートやスタッフたちにきちんと謝罪していない」との情報も飛び交っている。これが事実だとすれば、やっぱり問題だ。巨人全体のイメージを低下させ、そこに所属するチームメートやスタッフ、関係者らに多大な迷惑をかけているのは言うまでもなく、頭を下げるのが筋であろう。至極当然の行いをないがしろにしてしまっていることで一軍再合流後の澤村を「孤立が深まり、ほとんどの主力選手から距離を置かれてしまっている」と指摘する関係者もいる。 

原辰徳監督の手腕ならでは

しかしながら一方では意外にも、このタイミングにおける澤村の一軍再合流を評価する意見も少数ながら球団周辺から出ている。そのうちの巨人OBの1人は「原辰徳監督の手腕ならでは」と言い切り、こう続けた。

「粗相を犯した澤村を反省させるべく二軍で〝塩漬け〟にしてしまえば、まず間違いなく彼の野球生命は終わってしまう。日のあたらない世界にいると澤村という男が性格上ダメになることを原監督は知っている。それならば嵐のようなバッシングを浴びることも覚悟した上で、あえて一軍に引き上げてマウンドで投げさせようとしたのだろう。

もともと澤村はいい意味でも悪い意味でも強いハートの持ち主。表に出ることで自分に対する実際の風当たりがどれだけ強いのかを体感させ、そこで反省することをあらためて感じながらマウンドで〝懺悔(ざんげ)の快投〟を続けさせる。それが狙いだと思う。

活躍し続ければ自軍にとって貴重な戦力になるし、他球団からトレード要員として目星を付けられるかもしれない。いずれにせよ、原監督はぶっ叩かれることを覚悟の上で澤村をあえて一軍に昇格させた。つい先日メディアの前で澤村に関し『孤独感は味わわせない』とはっきり言ったと聞いたが、その強い決意の表れだろうね」

スーパーヒールのごとくG党からも冷たい視線を浴びている澤村が原監督の狙い通り、非難を賞賛に変えられる日は来るのか。これからも続くイバラの道を乗り越えられるか否かは、本人の心構えにかかっている。

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