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灘中学の生徒に「格差社会と自己責任論」について、ビッグイシューが出張講義

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路上生活からビッグイシューと出会い、アパートに入居している吉富さんの話を聞く

自衛隊での一部の先輩からの不条理なしごきや、その後働いたスーパーマーケットでは1日18時間以上といった苛酷な労働・・・といったリアルなエピソードが紹介され、生徒の皆さんは驚いた様子で「確かに、それなら辞めるしかないな…」という様子で吉富さんの話に吸い込まれていきます。

転職を繰り返すうちに辿りついた日雇いの建設現場では、持病を理由に突然クビになり、寮も失って路上に出てしまいました。吉富さんは、「人と繋がるのを諦めたら、ホームレスになった」と話します。


しかし東京に辿りついた後、先輩の路上生活者に紹介され、ビッグイシューの販売を始めるように。今ではステップハウス(※)を経て、自力でシェアハウスに住めるようになったと言います。

そんな吉富さんに、「雨の日はどこでどう過ごすのか」「インフルエンザになったらどうしていたんですか」といった日常のことから、行政のこと、ビッグイシューの運営のことまでたくさんの生徒から様々な質問が途切れなく飛び出しました。

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Q:後悔していることや、これをやっていればよかったということはありますか?

仕事の面では、建設業に携わるのであればクレーンなどの免許を取っておけばよかったと思うことはあります。
大きなところでは、社会とつながりを持てなくなったことが反省ポイントかな。
多くの人と繋がっておくことは本当に大切だと思います。

Q:ビッグイシュー販売者の収支はどんな感じなんですか?

月の収入としては生活保護の水準には及ばないんですが、得た収入のうちシェアハウスの家賃が2万5千円、あとは食費などの生活費です。自炊して節約して、少しずつですが貯蓄もしています。

Q:アルバイトのほうがビッグイシューより割がいいんじゃないですか?

今僕は48歳なのですが、これまでのところ、風貌や年齢制限で応募しても断られてきました。40歳を過ぎると、住まいが確保できても、なかなか再就職は難しいですね。

Q:福祉や社会保障を利用しようとは思わないんですか?

僕の場合は、若かったこともあり「就職活動を頑張りなよ」と言われました。
今は、僕より必要な人に必要な支援が行きわたったらいいなあと思っています。

Q:路上生活で命の危険を感じることはあるんですか?

酔っ払いや暴力団員に絡まれることはありました。モノを取られることもよくあります。
特に若い人は野宿者を貶めてもいいと思っているのか、嫌がらせはしょっちゅうですし、僕はないですが仲間には包丁などで襲撃された人もいます。
ホームレスの人のことを怖い人という人もいますが、ホームレスの人のほうが世間の人を怖がっているんじゃないかな。

Q:ビッグイシュー日本やビッグイシュー基金の活動規模は?

ビッグイシュー日本の社員は16人、基金のほうは10人くらいです。
ビッグイシューは赤字ながら年間40万部ほど雑誌の発行をしています。
基金のほうはNPO法人として、年間5000万円ほどの寄付をいただきながら、「路上脱出・生活SOSガイド」といった生活困窮者向けの冊子を10万部以上配布するなどの活動をしています。(スタッフ)
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授業のアンケートで「自己責任論」が少数派に…

たくさんのことを伝えたあっという間の50分でしたが、授業後のアンケートの結果によると、心境に変化が出たことが伺えます。

「ホームレス状態になるのは自己責任と思うか」という問いに対しては、「とてもそう思う」「まあそう思う」と、自己責任論が6割を超えていましたが、授業後は「あまり思わない」「全然思わない」が自己責任論を逆転しました。


また、「ホームレス状態の人がいるのは仕方のないことだ」という質問についても、同様に「とてもそう思う」「まあそう思う」と過半数が答えていましたが、授業後には逆転しました。


生徒のアンケートからも、気づきがあったことが伺えます。

<授業前に抱いていたホームレス状態の人へのイメージ>

「自己の努力の終大成が将来の幸福感に直結するのであるから、かわいそうだとすら思わない。もっと努力してちゃんとした生活を送るべき」

「努力できない人種だと思うので仕方がないがかわいそうではない」

など、日本有数の進学校で日々並々ならぬ努力をしているからこそ感じるコメントが散見されましたが、授業後のアンケートでは、それぞれ気づきを得たことが伺われました。

<授業後>

「過酷な労働環境で働けなくなった人たちがホームレスになってしまうと聞いて、そんな人に努力しろとは言えないと思った」

「『仕方がない』で済ませてはいられないと分かった」

「年齢で職につけないっていうのは考えたことがなかった」
など、「自分と置かれた環境が違う人がいる」「貧困層だからといって努力していないわけではない」ということを踏まえた声があがりました。また、これから自分ができることとして
「直接、ホームレスの人たちを助けることはできなくても、せめてホームレスの現状を知り、差別や偏見を交えて“ホームレス”を捉えることがないようにしたいです」

「将来、国の制度を変えるような職につくつもりはないが、金が富裕層に一極集中するような社会を変えるため、世間の一個人として、声を上げたいと思った」

「ホームレスの方と触れ合う機会がない僕にはホームレスの方を作るような職場を減らすことなど間接的にホームレスの方を減らすようなことができそう」
等の自分事に置き換えた声が多く挙がりました。

ビッグイシューでは、街に出て路上生活者を見かけた時、ニュースで非正規雇用の人たちのことがニュースになった時、また大人になって仕事をするようになった時など、何かの折に「こんな授業を受けたな」「どうしてこのようなことが起こっているのか」と思い出し「自分に何ができるのか」を考えるきっかけとなる授業を目指します。

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