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【読書感想】現代に生きるファシズム

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現代に生きるファシズム (小学館新書)
作者: 佐藤優,片山杜秀
出版社/メーカー: 小学館
発売日: 2019/04/03
メディア: 新書
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Kindle版もあります。

現代に生きるファシズム(小学館新書)
作者: 佐藤優,片山杜秀
出版社/メーカー: 小学館
発売日: 2019/04/05
メディア: Kindle版
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内容(「BOOK」データベースより)
資本主義が崩壊し格差の広がった現代。各国指導者は再びファシズムに手を染めようとしている。それはバラバラになった個人を束ねる劇薬だ。効能バツグン、だからあぶない。しかし、日本人はあまりに無防備だ。多くがファシズムを独裁や全体主義と混同している。元外務省主任分析官・佐藤優と『未完のファシズム』著者・片山杜秀による白熱対談。「知」を武装し、来たるべき時代を正しく恐れよ!

 「ファシズム」というと、僕はすぐにヒトラーやナチスによるユダヤ人虐殺を思い出します。

 「ファシズム」=有無を言わせず、人々を指導者の命令に従わせる独裁体制で、反対者は徹底的に弾圧する、そんなイメージがあるのです。

 「ファシズム」=「悪」だし、怖い。
 
 ところが、この佐藤優さんと片山杜秀さんの「ファシズム」に関する対談を読んでみると、ヒトラー、ナチスのイメージがあまりにも強烈すぎて、「ファシズム」は誤解されている、あるいは、その悪しき面ばかりがクローズアップされているようなのです。

 佐藤優さんは、この本の「まえがき」で、

 世界をファシズムという妖怪が徘徊している。アメリカのトランプ大統領もロシアのプーチン大統領も中国の習近平国家主席もこの妖怪に取り憑かれている。わが日本の安倍晋三首相にもこの妖怪が取り憑き始めている。

 と仰っています。

 資本主義体制で、格差があまりにも大きくなってしまうと、底辺から自力で這い上がることが困難な社会になってしまいます。

 佐藤さんは、その状況を抜本的に転換する思想と運動の代表格として、「共産主義」と「ファシズム」が有効だと考えているのです。

 しかしながら、共産主義は、現状の世界においては、きわめて劣勢になっています。

一方、国家の介入によって、資本家が蓄積した富を再分配させ、労働者にストライキ権を認めず、生産性向上を志向するファシズムは、21世紀の現在も生命力を失っていない。ここで注意しなければならないのはイタリア型ファシズムとドイツのナチズム(民族社会主義)を区別することだ。

ナチズムもファシズムの一類型だ。しかし、それはゲルマン民族を中心とするアーリア人種の優越性という根拠のない神話に基づいていた。さらに「血と土」というドイツの土着の信仰が加わった。ナチズムは荒唐無稽なイデオロギーなので、ドイツ人が居住するドイツ、オーストリア、チェコのズデーテン地方以外には伝播力を持たなかった。

それに対して、イタリア型ファシズムは、国家介入によって資本家の利潤を社会的弱者に再分配し、戦争によって外国を侵略し、そこから収奪した富で自国民を豊かにするという民族や文化にとらわれない普遍的な社会理論の性格を帯びている。日本のリベラル派は、国家介入によって富裕層から税をより多く取り立て、社会的再分配を実現することを主張するトマ・ピケティ『21世紀の資本』(みすず書房)を礼賛したが、この主張はファシズムとの親和性が高い。

主流派経済学の教科書では、厚生経済学の分野で「パレート最適」についての説明がなされている。ローザンヌ学派(スイス)のヴィルフレド・パレートが提唱した理論だが、パレートはイタリア人でムッソリーニの経済政策に強い影響を与えた。第二次世界大戦前、パレートはファシズムの経済学者と認識されていた。それが現在では、福祉国家の理論家であると評価されているのである。ファシズムと福祉国家の間にも親和性があるのだ。

 いまの世界で、ナチズムの再現を支持する人は少ないはずです。共産主義国家も、結局、うまくいきませんでした。
 共産主義については、理論が間違っていたのか、人間に運用できるようなシステムではなかったのか、わからないところはありますが。  

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