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秋吉 健のArcaic Singularity:通信業界が“超えていく”その先へ。出揃った大手MNO各社の2018年度決算概況から通信業界の現在と未来を考える【コラム】

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MNO 3社の決算から5G時代の通信業界を考えてみた!

15日にKDDIの2019年3月期決算発表会が開催され、NTTドコモとソフトバンクを併せた大手移動体通信事業者(MNO)関連の2018年度分決算がすべて発表されました。いずれの企業も増収増益を達成し、非常に順調な業績推移を見せていますが、その内訳や今後の業績予測は三者三様(三社三様?)なのが実状です。

現在の通信業界は嵐の前の静けさといった雰囲気です。10日には通信料金と端末代金の完全分離が盛り込まれた改正電気通信事業法が成立し、各社ともに完全分離プランへの移行が粛々と進められています。それに加え、秋には楽天のMNO参入も控えており、価格競争はさらに激化するものと予想されます。

また技術面においても、5G次代を見据えたIoTやAIの活用、ロボット技術の商用化、自動運転やV2Xを中心とした自動車関連技術の実証実験も具体性を帯びてくるなど、2019年冬~2020年春に起こるであろう「戦争」への準備を着々と進めているような、そんな緊張した雰囲気の中での決算でした。

感性の原点からテクノロジーの特異点を俯瞰する「Arcaic Singularity」。今回はMNO 3社の決算および今後の事業推移を振り返りつつ、日本の通信業界の未来を考察します。

いよいよ5Gがやってくる

■巨大化を続ける大手MNO 3社

まずは各社の決算概況です。NTTドコモは2018年度通期として、営業収益が4兆8408億円で前年対比786億円の増収、営業利益が1兆136億円で前年対比267億円の増益となり、増収増益を達成しています。

KDDIは2019年3月期の連結業績として、売上高が5兆804億円で前年同期比384億円の増収、営業利益が1兆137億円で前年同期比509億円の増益となり、こちらも増収増益です。

ソフトバンクは2018年度連結実績として、売上高が3兆7463億円で前年対比1637億円の増収、営業利益が7195億円で前年対比815億円の増益となり、同社も増収増益です。

KDDIは営業利益として初めて1兆円を突破した

実に華々しい数字が並ぶ各社の決算となりましたが、その内訳を見てみれば、事あるごとに総務省や内閣府から値下げを要求されていた通信関連部門の売上高(営業収益)の伸びが大きいことが分かります。

契約数の順調な増加に加え、ARPU・ARPA(1ユーザー・1アカウント単位での月間平均事業収入)の増加や解約率の低下が収益増加の大きな牽引役となったようです。

筆者がとくに注目したのは解約率の低下です。例えばNTTドコモの解約率は0.65%から0.57%へ改善し、KDDIのau解約率は0.86%から0.76%へと改善しています。

NTTドコモは元々解約率が低めだが、その数字をさらに下げてきた

ソフトバンクは携帯電話事業単体での解約率を示していないが、光回線とのセット割による解約率の改善を大きくアピールした

この解約率の低下に大きく貢献しているのが、各社のポイントサービスを中心とした自社経済圏の確立なのは間違いありません。dポイントやWALLETポイント、ヤフーポイントといったポイントサービスによって様々な割引施策の実施と提携企業での利用を促し、ユーザーを囲い込むことに成功しているのです。

自社経済圏の強化への取り組みを最も強くアピールしていたのはソフトバンクです。ソフトバンクは決算発表の場でソフトバンクグループの系列企業でもあり、常にポイントサービスで強い連携を図ってきたヤフーを連結子会社化することを発表し、ヤフーポイントを使った経済圏をより強固なものとする戦略を打ち出しました。

NTTドコモは従来からの中期戦略2020「beyond宣言」を軸としてフィンテック分野やヘルスケア分野でも他社との協業や提携を強化し、KDDIは「通信とライフデザインの融合」をスローガンに金融やヘルスケア分野での他業種協業と連携の強化を戦略として打ち出しています。

いずれもポイントサービスを中心とした動きであり、まさにポイントを仮想通貨のように扱える巨大経済圏の構築を最大の戦略としているのです。

ヤフー代表取締役社長の川邊健太郎氏(右)と固い握手を交わすソフトバンク社長の宮内謙氏(左)

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